
司法書士の口述試験とは?質問例や合格率、対策のポイントを解説
試験詳細
2025年10月02日


司法書士の口述試験は、筆記試験とは全く異なる雰囲気と、独特の緊張感がある試験です。
・司法書士の口述試験ってどんな試験?
・実際に聞かれた質問は?
・合格率はどれくらい?落ちたらどうなる?
こんな疑問をお持ちの受験生も多いでしょう。
毎年ほぼ100%に近い合格率だと言われている口述試験ですが、決して落ちない試験ではありません。
「分かっているのに、とっさに回答できなかった」
「緊張して大失敗してしまった」
という事態を防ぐためには、油断せずにしっかりと対策することが必要です。
今回は、
・司法書士の口述試験の概要
・口述試験の合格率
・合格するためのポイント
について取り上げました。
口述試験対策に悩んでいる方は、是非ご一読ください。
【目次】
1.司法書士の口述試験とは?概要を解説
司法書士試験の最終関門である「口述試験」は、筆記試験に合格した受験者のみが受けることができる試験です。
ここでは、口述試験の概要について解説します。
受験資格 | 今回又は前回の筆記試験合格者 |
日程 | 令和7年10月14日(火) (※例年、午前・午後の部に2回に分けて実施) |
会場 | 受験票に記載(筆記試験後に法務局が指定) |
持ち物 | ・口述試験受験票 ・黒のボールペン又は万年筆 |
服装 | 自由(スーツ着用の受験生が多い) |
科目 | ・不動産登記法 ・商業登記法 ・司法書士法 |
試験形式 | 個別面接(受験生1人に対して、2人の面接官) |
試験時間 | 15分程度 |
合格発表日 | 令和7年11月4日(火)午後4時 |
1-1.日程や会場
口述試験は、例年「10月中旬から下旬頃」に実施されています。
なお、2025年度(令和7年度)の口述試験は「令和7年10月14日(火)」に実施されることが、正式に決定しています。
集合時刻は、筆記試験合格者に届く受験票に記載されます。
働きながら受験する方は、事前に休暇取得を申請しておきましょう。
試験会場は、各地方法務局が指定する会場です。
詳細は、筆記試験合格者に届く受験票に記載される予定です。
1-2.持ち物や服装
試験当日は、次の物を持参しましょう。
・口述試験受験票
・筆記用具(黒のボールペン又は万年筆)
口述試験当日の服装は、特に指定されていません。
ただし例年、大半の方はスーツを着用して試験に臨んでいるようです。
*受験票は、筆記試験の結果発表後に発送されますが、令和7年(2025年)10月9日(木)までに到着しない場合には、当該法務局の総務課まで問い合わせをしましょう。
1-3.試験形式や所要時間
口述試験は、個別面接形式で実施されます。
受験生1人に対して、2人の面接官が付き、口頭で質問に回答します。
試験時間は「15分」程度で終了する受験生が多いです。
1-4.出題科目
口述試験では、次の科目が出題されます。
・不動産登記法
・商業登記法
・司法書士法
いずれも筆記試験の知識で対応できますが、大きく異なるのは「口頭で回答する」という点です。
本来の自分の力を発揮するためには、筆記試験とは異なる対策が必要となるでしょう。
口述試験に合格するためのポイントについては、後述します。
1-5.過去の質問例(過去問)
過去の口述試験で実際に出題された問題について、いくつか紹介します。
・「不動産登記の質問をさせていただきます。不動産登記では、当事者申請主義が取られていますが、その理由を説明してください。」
・「共同申請主義が取られている理由や、共同申請主義の例外を答えてください。」
・「次に商業登記の質問に移ります。定款の絶対的記載事項を答えてください」
いずれの問題も、筆記試験を通過している方にとっては、決して難しい問題ではありません。
ただし、口頭試験特有の緊張感などによって上手く回答できなかったという声も、例年耳に入ってきます。
また、口述試験で出題される「司法書士法」は、筆記試験で手薄になりがちな分野です。
特に「司法書士の使命(第1条)」「司法書士の職責(第2条)」は暗唱できるようにしておきましょう。
1-6.合格者の発表
口述試験の合格発表(最終合格発表)は、例年「10月下旬から11月中旬」に行われます。
なお、2025年度(令和7年度)の口頭試験合格者(最終合格者)は「令和7年11月4日(火)午後4時」に発表されます。
合格発表は、法務省ホームページに掲載される他、各地方法務局でも掲示されます。
2.口述試験の合格率はほぼ100%?落ちたらどうなる?
司法書士の口述試験は、筆記試験に合格した者のみが受けることができる試験です。
そのため、受験生全体のレベルが高いこともあって、口述試験の合格率は、ほぼ100%に近い数字だと言われています。
ただし、口述試験で不合格となるケースも全く無い訳ではありません。
例えば、経験したことのない口頭試問に対する緊張や焦りから、大きな失敗をしてしまう可能性もゼロではないからです、
口述試験は、司法書士になるための最後の関門です。
合格率が高いからと言って、油断することなく、万全の準備を整えて臨むことが必要です。
なお、万が一口述試験に落ちてしまった場合は、筆記試験の免除を受けることができます。
申請すれば、次回試験(翌年度試験)の筆記試験が免除されます。万が一不合格となってしまった場合は、必ず申請しましょう。
3.司法書士の口述試験に合格するためのポイント
司法書士試験の口述試験対策のポイントは、次の3つです。
・大きな声でしっかりと話す
・質問内容が分からなかったときは聞き返す
・口述形式の回答に慣れておく
口述試験では、試験官との会話形式で試験が実施されます。
緊張する中でも、大きな声でしっかりと話すことは、合格の重要なポイントです。
また、もしも質問内容が聞き取れなかったときは、正直に「もう一度質問をお願いします」と聞き返しましょう。
例えば、事例型の問題などでは、質問が長くなるケースも珍しくありません。一度では、事案を正確に理解できない場合もあるでしょう。曖昧な状態で回答するのではなく、しっかりと問題を聞き取って、正確に回答することが大切です。
口述試験は、筆記試験とは異なる対策が必要になります。
筆記試験で万全の知識を身に着けていても、「分かっているのに言葉にできない」という口述試験特有の壁にぶち当たるケースは珍しくありません。
自信を持って口述試験に臨むためには、受験指導校の実施する口述模試を活用するなどして、面接形式の回答に慣れておくことが必要です。
司法書士試験の有終の美を飾るためにも、油断せずしっかりと対策を進めていきましょう。
4.司法書士の口述試験合格後の流れ
口述試験に合格すると、いよいよ司法書士としての第一歩を踏み出すことになります。
ここでは、口述試験合格後の流れについて説明します。
4-1.新人研修
口述試験に合格した後、まず行われるのが新人研修です。
この研修は、司法書士として登録するために必須の研修で、日本司法書士会連合会が実施しています。
新人研修には、次の3種類があります。
実施スケジュール | 実施方法 | |
中央新人研修 | 12月〜1月にかけて実施 ※グループによって異なる | eラーニング (パソコンやスマホから受講可) |
ブロック新人 研修 | 12月〜1月にかけて実施 ※地域によって異なる | 地域によって異なる |
司法書士会 研修 | 地域によって異なる | 司法書士事務所への配属研修や、集合研修で実施 |
※司法書士の新人研修については、こちらの記事で詳しく解説しています。
4-2.特別研修(認定考査)
認定司法書士を目指す場合は、特別研修を受講して、認定考査に合格する必要があります。
【認定司法書士とは?】
司法書士の中でも、「簡裁訴訟代理等関係業務」を取り扱うことが認められた司法書士のこと。認定司法書士になれば、簡易裁判所の管轄となる訴額140万円以下の事件について、代理人になることができます。
特別研修は、例年5月末〜6月にかけて実施されます。
2025年4月時点では、司法書士の「79%」が認定司法書士となっているため、新人研修を終えたタイミングで、早めに受講するのがオススメです。
※司法書士の特別研修については、こちらの記事で詳しく解説しています。
5.司法書士の口述試験に関するよくある質問
5-1.Q.司法書士の口述試験はどんな試験?
2人の面接官に対して、1人の受験生という形式で実施される面接試験です。
不動産登記法や商業登記法、司法書士法について出題されます。
5-2.Q.口述試験の当日の服装は?
服装の指定はありませんが、多くの受験生がスーツで受験しています。
5-3.Q.口述試験の会場はいつ分かるの?
口述試験の会場は、筆記試験合格後に届く「口述試験受験票」に記載されています。
なお、令和7年度(2025年度)の司法書士試験では、令和7年10月9日(木)までに「口述試験受験票」が到着する予定です。
5-4.Q.口述試験の合格率は?
口述試験の合格率は、例年100%に近い数字だといわれています。
ただし、不合格となるケースもゼロではないため、油断は禁物です。
5-5.Q.口述試験に落ちたらどうなる?
申請することで、次回試験(令和7年度であれば、令和8年度)の筆記試験が免除されます。
5-6.Q.口述試験の練習はどうやってすればいい?
例えば、受験生仲間と模擬面接のような形式で、何度か練習すると良いでしょう。
また、伊藤塾でも10月中旬ごろに司法書士試験の「口述模試」を実施する予定です。
本番さながらの形式でイメージを掴んでおくことで、自信をもって口述試験に臨むことができます。
6.まとめ
この記事では、司法書士の口述試験の概要について取り上げました。
合格率が高いと言われている口述試験ですが、油断は禁物です。
慣れない口述形式の試験に、緊張する方も多いかも知れませんが、自分の力を信じて最後まで頑張りましょう。
そして、口述試験を突破したら、いよいよ司法書士としてのキャリアがスタートします。
多くの方は、認定司法書士となるため「認定考査」の対策を進めていくことになるでしょう。「特別研修」では、認定考査の対策はしてくれないため、試験対策は独自に行なっていくことが必要です。
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