学費免除や奨学金など法科大学院(ロースクール)の経済的支援総まとめ
法科大学院
2025年10月31日
        
                            
                        「法科大学院に通いたいけど学費が高くて通えない・・・」
「奨学金や授業料の免除など、何か経済的にサポートしてくれる制度があるなら、それを利用して法科大学院に通いたい」
など、法科大学院に入学するにあたり、その費用面で不安を抱えている方も多いかと思います。
しかし、経済的な理由で法曹への道を諦めないでください。
法科大学院に進学を希望する方への経済的サポートは、日本学生支援機構の奨学金だけでなく、多くの法科大学院が、授業料免除の制度や独自の奨学金制度を用意しています。
この記事では、法科大学院に進学を希望する意欲と能力のある方への経済的なサポートについて、各種制度をご紹介して行きます。
本記事が、経済的にご不安がある方にとって、法科大学院に進学する一助となれば幸いです。
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【目次】
1.私立の法科大学院で利用できる経済的支援制度
私立の法科大学院では、その学校独自の奨学金制度や学費の免除制度を設けているところが沢山あります。
気になる大学がどのような制度を利用しているのか、ホームページで事前に確認しておくと良いでしょう。
ここでは、令和6年度法科大学院関係状況調査「資料11_修学に係る経済的負担の軽減を図るための措置」|文部科学省を参考に、代表的な法科大学院における経済的支援制度について表にまとめてみました。
| 大学名 | 名称 | 人数 | 支給・免除内容 | 支給 形式  | 
| 慶應義塾 大学  | 
三田法曹会奨学基金 | 10人 | 年額50万円 | 給付 | 
| 慶應義塾 大学  | 
慶應義塾大学法務研究科 (法科大学院)奨学給付制度  | 
25人 | 基準授業料全額 | 免除 | 
| 早稲田大学 | 稲門法曹奨学金 (年間授業料相当額)  | 
15人 | 総額136万円 (新入生の場合116万円)  | 
給付 | 
| 早稲田大学 | 稲門法曹奨学金 (秋学期授業料相当額)  | 
34人 | 総額68万円 (新入生の場合58万円)  | 
給付 | 
| 早稲田大学 | 隈野克子奨学金 | 4人 | 総額70万円 | 給付 | 
| 早稲田大学 | 法務研究科学生支援奨学金 | 3人 | 総額70万円 | 給付 | 
| 早稲田大学 | 千賀修一法曹養成奨学金 | 3人 | 総額70万円 | 給付 | 
| 早稲田大学 | 池田正範奨学金 | 6人 | 総額70万円 | 給付 | 
| 早稲田大学 | 武本(裵)孝俊奨学金 | 2人 | 総額20万円 | 給付 | 
| 中央大学 | 中央大学大学院法務研究科 特別給付奨学金制度 第一種特別給付奨学金  | 
20人 上限  | 
入学金除く学費相当額 (130万円)  | 
給付 | 
| 中央大学 | 中央大学大学院法務研究科 特別給付奨学金制度 第二種特別給付奨学金  | 
150人 上限  | 
入学金除く学費相当額 の半額(65万円)  | 
給付 | 
| 中央大学 | 中央大学大学院法務研究科 特別給付奨学金制度 第三種特別給付奨学金  | 
– | 学費相当額の半額 | 給付 | 
| 中央大学 | 中央大学大学院法務研究科 特別給付奨学金制度 第四種特別給付奨学金  | 
– | 私立大学等経常費補助金に おける各年度の交付基準に 基づき、学校法人中央大学 が別に定める金額  | 
給付 | 
| 中央大学 | 中央大学法曹会奨学金 | 20人 程度  | 
Ⅰ種:5万円 Ⅱ種:5万円  | 
給付 | 
| 中央大学 | 東京白門ライオンズクラブ 学術奨励賞  | 
1人 | 10万円 | 給付 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科奨学金 (第1類奨学金)  | 
32人 | 年間の登録単位数に応じた 単位授業料相当額を 2年間継続して支給  | 
給付 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科奨学金 (第2類奨学金)  | 
36人 | 年間の登録単位数に応じた 単位授業料相当額  | 
給付 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科奨学金 (第3類奨学金)  | 
4人 | 年間の登録単位数に応じた 単位授業料相当額の2分の1  | 
給付 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科修学支援奨学金  | 
81人 | 年間の登録単位数に 8,000円を乗じた額  | 
給付 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科貸与奨学金  | 
2人 | 一学期の登録単位数に応じた 単位授業料相当額  | 
貸与 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科貸与奨学金  | 
0人 | 一学期の登録単位数に応じた 単位授業料相当額の2分の1  | 
貸与 | 
| 同志社大学 | 同志社大学大学院 司法研究科特別支給奨学金  | 
22人 | 年間10万円 | 給付 | 
上記表では、慶應義塾大学・早稲田大学・中央大学・同志社大学の法科大学院4校をピックアップし、「法科大学院生のみ」を対象とした経済的支援制度をご紹介しました。
ここでは紹介しきれませんが、「法科大学院生も利用可能な」経済的支援制度も併せると膨大な数の経済的支援制度が用意されています。
各大学により利用できる奨学金は異なり、また、それぞれ奨学金の内容も異なりますが、それぞれ特色のある制度を用意しており、受験生が経済的に困らないように配慮されています。
※各大学別の経済的支援制度の詳細は、以下よりご確認ください。
→令和6年度法科大学院関係状況調査「資料11_修学に係る経済的負担の軽減を図るための措置」|文部科学省
また、これら独自の経済的支援のほかにも、民間団体・地方公共団体が実施する奨学金制度や文部科学省・日本学生支援機構が実施する支援制度も利用することができます。
法科大学院に進学する事を、経済的な理由から諦めてしまう事がないよう、気になる法科大学院の学費に関する情報はしっかり集めておくようにしましょう。
2.国立大学の入学金・授業料の免除制度について
私立大学では様々な免除制度がありますが、同制度は国立大学にも独自の制度として存在しています。
国立大学でも私立大学と同じように、入学試験の成績優秀者には、入学金の全額免除や、授業料の全額免除制度が設けられている大学があります。
また、日本学生支援機構の奨学金と同じように、「経済的理由によって授業料等の納付が困難であり、かつ学業優秀と認められる場合」など、経済困難であることが各法科大学院に認められれば、入学金または授業料の全額または半額免除などを受けることができます。
要件については各大学ごとに異なるため、それぞれ大学のホームページを確認するようにしましょう。
以下、東北大学法科大学院を例に、その具体例をご紹介いたします。
【東北大学法科大学院の奨学金制度について】
対象者: 2026(令和8)年度東北大学法科大学院入学試験における成績上位合格者30名程度
内訳: ・法曹基礎課程特別選抜(5 年一貫型・開放型)における総得点の高得点者最大15名程度 ・一般選抜(前期・後期)における総得点の高得点者15 名~最大25名程度
給 付 額: 108.6 万円(1 名当たり)
内訳:入学料(28.2 万円)相当額+初年度授業料(80.4 万円)相当額 なお、給付対象者への通知は、合格通知の際に行われ、奨学金の給付は、入学後に行われます。
参照:東北大学法科大学院奨学生制度について
3.日本学生支援機構の奨学金を利用する
3-1制度の概要
奨学金には様々な種類がありますが、まずは大学生が利用することも多い、日本学生支援機構の奨学金からご紹介していきます。
大学で利用した事がある方も多いかと思いますが、法科大学院生でも、日本学生支援機構が運営する貸与型の奨学金を受けることができます。
日本学生支援機構が運営する奨学金には、「貸与型」の奨学金と「給付型」の奨学金があります。
貸与型はのちに返還する必要がある奨学金の形態で、給付型は返還義務のない奨学金になります。
月額の貸与額は、第二種奨学金で最高22万円と、学生が出来る限り勉強に専念できるように配慮されていています。
金額設定は細かく分かれており、自身の経済状況に合わせて援助を受ける事ができます。
以下、それぞれの奨学金について、その特徴をまとめてみました。
| 種類 | 貸与額 | 基準 | 
| 第一種 奨学金 (無利子)  | 
月額5万円 もしくは 8万8千円  | 
学力基準 大学並びに大学院における成績が特に優れ、 将来、研究能力または高度の専門性を要する 職業等に必要な高度の能力を備えて活動する ことができると認められる者。  | 
| 家計基準 本人(配偶者含む)の収入金額合計が概ね 299万円以下。  | 
||
| 第二種 奨学金 (有利子)  | 
月額5万円 8万 円 10万円 13万円 15万円 19万円 22万円 のいずれか (選択)  | 
学力基準 以下の(1)(2)のいずれかに該当すること。 (1)大学等・大学院における成績が優れ、将来、 研究能力または高度の専門性を要する職業等 に必要な高度の能力を備えて活動することが できると認められること (2)大学院における学修に意欲があり、学業を 確実に修了できる見込みがあると認められること  | 
| 家計基準 本人(配偶者含む)の収入金額合計が概ね 536万円以下。  | 
||
| 第一種 第二種 の併用  | 
第一種奨学金 または第二種 奨学金のみの 場合と同様  | 
学力基準 第一種奨学金の学力基準と同様  | 
| 家計基準 本人(配偶者含む)の収入金額合計が概ね 284万円以下。  | 
||
| 入学時 特別増 額貸与 奨学金 (有利子)  | 
10万円 20万円 30万円 40万円 50万円 のいずれか (選択)  | 
第一種奨学金または第二種奨学金の申込者で、 (1)または(2)のいずれかの条件を満たす人。 (1)本人の収入(定職、アルバイト、父母等からの 給付、奨学金、その他の収入により本人が1年間 に得た金額)と配偶者の定職収入の金額の合計額 が、120万円以下の人。配偶者が給与所得者の場合 は、配偶者のみ給与所得控除をしたうえで、本人 の収入金額と合算します。 なお、定職収入が給与所得以外の場合は、収入金額 から必要経費を控除した額となります。 (2)上記(1)以外の人で「入学時特別増額貸与奨学金 に係る申告書」に次の書類を添付して提出した人。 (a)融資できない旨を記載した公庫発行の通知文の コピー (a)の通知文は、公庫が定める申込みの要件(借入 申込人世帯の年間収入(所得)金額が公庫の示す金額 以内であること、借入申込金額が450万円を超えな いこと、使途が教育資金であること、保護者等に よる申込みであること等)を満たしたうえ、審査の 結果、融資できないと判断された方に発行されます  | 
※表中の数字はあくまで目安です。家計基準は2023年の収入・所得に基づく住民税情報等により設定されているため、世帯構成、障がい者の有無等により、目安の金額を上回っていても対象となる場合や下回っていても対象とならない場合があります。
このように、第一種及び第二種で、利子の有無や、貸与額、申込みにあたっての家計基準等が異なります。
いずれの奨学金も、貸与期間終了後に分割して返還していくのが原則になるため、後の返還の事も視野に入れて奨学金を利用したほうが良いでしょう。
もっとも、後述するように、優れた業績を挙げた学生に対する全額または半額の学費の免除制度もあるため、それぞれの制度を比較したうえで、自身の条件に合う奨学金を選択するようにしましょう。
3-2.奨学金受給の流れ
ここでは、実際に奨学金を給付する際の流れについてご紹介いたします。
(一般的な4月入学・3月満期貸与終了者の場合)
| 年 | 月 | 貸与~返還 の流れ  | 
法科大学院入学 ~司法修習までの流れ  | 
| 法科 大学院 初年度  | 
4月 | 法科大学院を 通じて 奨学金の申請  | 
法科大学院 入学  | 
| 5月~ 6月頃  | 
受給開始 | ||
| 修了年 | 7月 | ↓ | 司法試験 | 
| 3月 | 貸与修了 | 法科大学院修了 | |
| 修了後 | 7月 | 司法試験 | |
| 10月 | 貸与終了 7か月後から 返還開始  | 
||
| 11月 | 合格発表 | ||
| 3月 | 司法修習開始 | 
一般的な4月入学・3月満期貸与終了者の場合、奨学金の貸与と返還は、このような流れで進んでいく事になります。
奨学金の返還は、貸与が終了した月(通常であれば法科大学院修了月の3月)の翌月から数えて7か月目(通常であれば10月)から返還が始まります。
なお、月賦・半年賦併用返還の場合の半年賦分については、貸与が終了した月の翌月から数えて7か月目の月以降の直近の1月または7月から返還が始まります。
(その月の27日が初回の振替日となります。)
※ここに掲載している貸与や返済の期日については、あくまで原則であり、個々の状況によって異なる場合がありますので、下記ページより詳細をご確認ください。
→ 返還を始める皆さんへ|日本学生支援機構
3-3.毎月の返還額や返還期間について
毎月の返還額や返還期間(返還回数)は、貸与総額により異なります。
また、返済方式(所得連動返還方式or定額返還方式)、返還方法(月賦返還or月賦半年賦併用返還)の違いによっても毎月の返還額は異なります。
以下、第一種奨学金において、定額返還方式&月賦返還(毎月定額を返済していく方法)で返済する場合の計算方法をご説明します。
| 貸与総額 | 割賦金の 基礎額  | 
貸与総額 | 割賦金の 基礎額  | 
| 200,000円 以下  | 
30,000円 | 1,300,001円~1,500,000円 | 110,000円 | 
| 200,001円~400,000円 | 40,000円 | 1,500,001円~1,700,000円 | 120,000円 | 
| 400,001円~500,000円 | 50,000円 | 1,700,001円~1,900,000円 | 130,000円 | 
| 500,001円~600,000円 | 60,000円 | 1,900,001円~2,100,000円 | 140,000円 | 
| 600,001円~700,000円 | 70,000円 | 2,100,001円~2,300,000円 | 150,000円 | 
| 700,001円~900,000円 | 80,000円 | 2,300,001円~2,500,000円 | 160,000円 | 
| 900,001円~1,100,000円 | 90,000円 | 2,500,001円~3,400,000円 | 170,000円 | 
| 1,100,001円~1,300,000円 | 100,000円 | 3,400,001円 以上  | 
総額の 20分の1  | 
毎月の返済額の計算方法は、以下のようにして計算します。
貸与総額(借用金額)÷割賦金の基礎額 =返還年数(小数点以下切り捨て)
例えば、毎月10万を2年借りていた場合には、貸与総額240万となり、上の表から、割賦金の基礎額は16万になります。
そのため、計算方法としては、240÷16=15となり、返済期間は15年間、返済回数は180回となります。また、毎月の支払額は16万(年間)÷12=13,333円となります。
なお、所得連動返還方式や月賦半年賦併用返還の場合、また有利子である第二種奨学金の返済等については、以下のページで簡単にシミュレーションができますので、ぜひ参考になさってください。
→ シミュレーション奨学金貸与・返還シミュレーション
3-4.返還の免除や緩和について
奨学金の原則として、法科大学院を修了した際には、借りていた奨学金を返還していく義務があります。
もっとも、以下のように、特に優れた業績を残した学生には、奨学金の返還それ自体を免除する制度が規定されており、また、傷病や所得の急な減少など、返還が困難であると認められれば、決まっていた返還の計画を再度見直す制度も用意されています。
①特に優れた業績による返還免除制度
第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、かつ貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構に認定された人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。
在籍する法科大学院に免除申請をすることになりますが、あくまでも該当者は大学院側が決める事になるため、申請したからといって必ずしも申請が通るとは言えません。
参照:特に優れた業績による返還免除制度について|日本学生支援機構
②返還期間を緩和する制度
経済的に厳しく、あらかじめ定められた返済額を毎月支払っていくのが難しい場合や、返還中に病気や失業等で所得が急激に減少した場合など、返還が困難な状況に陥った場合には、返還の猶予や、返還額の減額を申請することができます。
| 減額返還 | 
| ・毎月の返還額を減額して返還していく制度 ・1回の願出につき、適用期間は12か月で、 最長15年 (180か月)まで延長可能 ・収入基準は、給与所得者は年間収入400万 円以下 ※各種控除、他条件あり  | 
| 返還期限の猶予 | 
| ・経済的に返還は厳しいため、返還期限を 猶予してもらう制度 ・1年ごとに申請する必要があり、返還期限 を猶予できる年数は通算10年となる。 ・収入基準は、給与所得者は300万円 ※各種控除、他条件あり  | 
司法試験に合格するまでは、金銭的に余裕がないことが多いかと思います。積極的にこれらの制度を活用し、経済面への不安から司法試験の勉強に影響が出ないようにしたいものです。
なお、日本学生支援機構奨学金の利用状況によると、令和6年3月31日現在、日本学生支援機構の給付型・減免型・貸与型のいずれかの給付金を受けている学生数は、東京大学法科大学院で160人、京都大学法科大学院で157人、慶應義塾大学法科大学院で86人、早稲田大学法科大学院で198人、中央大学法科大学院で128人となっています。
多くの法科大学院の学生が、奨学金を活用していることがわかります。
4.よくある質問まとめ(FAQ)
Q.司法書士や行政書士など、法律系の資格を持っていると学費が免除になるの?
A.大学院内で、奨学金申請の審査に考慮される可能性はありますが、資格を持っていれば学費が免除される、という制度は今のところ確認ができません。
Q.奨学金って併用できるの?
A.日本学生支援機構の奨学金であれば、一種と二種を併用して受給することが出来ますが、他の奨学金でも、併用して受給することができる奨学金が存在します。
それぞれの奨学金ごとにより条件等が異なるため、自分が利用する奨学金は併用可能な奨学金に該当するのか、事前にしっかり確認するようにしましょう。
Q.給付型の奨学金ってあるの?
A.一般的に奨学金は貸与型になり、借りた分は後に返還していく必要がありますが、給付型の奨学金であれば返還する必要はありません。
当コラムの1.私立の法科大学院で利用できる経済的支援制度の中で、いくつかの給付型奨学金をご紹介しておりますし、文部科学省がまとめた下記資料にはさらに詳しく紹介されていますので、ご興味がある方はご確認ください。
(※ただし、2024年度(令和6年度)における状況調査資料のため、最新の情報は各法科大学院ホームページでご確認いただければと思います。)
→ 令和6年度法科大学院関係状況調査「資料11_修学に係る経済的負担の軽減を図るための措置」|文部科学省
なお、基本的にどの給付型奨学金も、対象者は貸与型の奨学金の人数よりも少なく、学業が優秀で人物的にも優れた人が対象になることが多いです。
法科大学院の学費を安く抑えるためには、成績を上げる事が重要です。成績が上がることは司法試験にもプラスになりますから、良いサイクルを作ることができるでしょう。
Q.奨学金貸与中の奨学生の義務とは?
A.奨学金にはさまざまな団体が運営してるものがあり、どの奨学金を利用できるかは法科大学院ごとに異なりますが、奨学金によっては、貸与期間中何かしらの義務が課されるものがあります。
例えば、公益財団法人千賀法曹育英会が運営する奨学金では、奨学金の給付・貸与期間中、及び司法試験に合格した年に、財団が開催する講演会、合格祝賀会に参加する(交通費は5,000円をこえるときは財団が負担)義務があります。
正当な理由(入院等特別な事由以外認められない)なくしてこの会に欠席したときは、奨学金の貸与・給付の停止、及び給与貸与金を直ちに一括返済することになります。
このように、奨学金の種類によっては義務や受給の要件が課されている事があるため、事前にしっかり確認をするようにしましょう。
Q.奨学金返還の開始がもっと遅い奨学金はないの?
A.前述のとおり、日本学生支援機構の奨学金であれば、返還開始時期が貸与終了後7ヵ月後からとなるため、経済的にまだ余裕がない時期から返還を始める人が多いでしょう。
しかし、奨学金によっては、例えば前述の公益財団法人千賀法曹育英会が運営する奨学金のように「司法研修所卒業又は法科大学院卒業後2年経過した月のいずれか早い月から起算して6ヶ月を経過した月から分割返済することになります。」といった形で、返還開始時期を遅らせてくれるものもありますので、詳細は各大学院のホームページを確認してみましょう。
Q.授業料の分割払いについて
A.奨学金や各種授業料の免除制度以外の経済的支援として、授業料の分割払いを行なっている法科大学院もあります。
一部をご紹介します。
◉筑波大学法科大学院
年間の授業料は、通常、前期・後期の2回に分けて納付していただきます。申請により、年間一括払い、月割での納付が認められることもあります。
◉東京都立大学法科大学院
経済的理由等により、授業料の一括納付が困難な場合、本人の申請に基づき、各期の授業料を3回に分割して納付する制度です。前期・後期ごとに申請が必要です。
◉一橋大学法科大学院
①経済的理由により納入期限までに授業料の納入が困難であり、かつ、学業優秀な者。
② その他やむを得ない事情があると認められた者。
分納を許可された方は、半期分の授業料が月割分納になります。
いずれの法科大学院も詳細な申請基準は公開されていないため、分納を希望される場合は各大学院のホームページで確認してみてください。
5.まとめ
◉法科大学院にお得に通うためには入学金や授業料の免除制度を利用すべき
◉奨学金にはさまざまなものがあり、法科大学院独自の奨学金や学費の免除制度がある
◉学費免除を受けるためには、成績優秀である必要がある
当記事では、法科大学院に通う事に対し、経済的に不安のある方のために、奨学金や学費の免除について解説してきました。
法科大学院の学費もそれぞれの大学で違いますが、各種経済的支援制度を上手に利用すれば、学費の比較的安い国立大学と変わらない費用で通学することも可能です。
法科大学院に通う経済的負担をできる限り少なくするため、志望校の情報は適宜チェックするようにしましょう。
(奨学金の内容や金額は変更される可能性があるため、そのような情報にも注意する必要があります。)
法科大学院を選択する際に、奨学金や学費免除制度がしっかりしている法科大学院を選ぶことは重要ですが、できれば学費だけでなく、司法試験に合格することのできるカリキュラムが組まれてるのか、合格実績はどうなのかというところを重視して選ぶようにしたいものです。
※法科大学院別の予備試験合格率については、こちらの記事をご覧くだい。
法科大学院別の司法試験合格率については、こちらの記事をご覧ください。
当記事が、あなたの司法試験合格への一助になれば幸いです。
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