弁護士は食えない・稼げない・儲からないは真実?弁護士の将来性と展望を徹底解説
法曹
「必死に勉強して司法試験に合格して弁護士になっても、食えない弁護士が多くて将来性はないらしいよ」
このような噂から、弁護士の仕事に興味がありつつも、将来どうなるのかが不安でなかなか一歩目を踏み出せないという人も多いのではないでしょうか?
たしかに、司法制度改革により弁護士の人数も劇的に増えましたし、AIの登場などもあり人の仕事が奪われていっているのは事実です。
しかし、弁護士は現代においても需要の高い、将来性のある仕事なのです。
本記事では、AI時代の弁護士の将来性や、今後求められていく能力について解説していきます。
【目次】
1. 弁護士は食えない・稼げない・儲からないと言われる理由
そもそも、弁護士は食えないなどと言われ始めた背景はどこにあるのでしょうか。
さまざまな理由がありますが、代表的なものをまとめてみました。
①司法制度改革による弁護士数の増加
②AI登場による弁護士の仕事量の減少
③収入の減少という客観的なデータ
④裁判件数の減少
⑤インターネットの普及
2000年頃、裁判の迅速化や国民へのより充実した法的サービスの提供のため、司法制度改革が行われました。法曹の人数を増やすこともその目的のひとつとされ、法科大学院の創設などを通じて司法試験合格者の数はその後急増しましたが、2008年をピークに合格者数は徐々に減少し、ここ数年の司法試験合格者は毎年1,500人前後となっています。
しかし、合格者の多くは弁護士になることを選択するため、下記グラフが示す通り、弁護士の人数は年々増加の一途をたどっています。
その結果、需要と供給が釣り合わなくなってきているのが、弁護士の将来性を否定する背景の一つになっているのです。
【弁護士数の推移(1950年〜2023年)】
また、近年インターネットの普及によって、誰でも簡単に法律に関する情報を引き出すことができるようになりました。
少し調べれば自分の知りたかった法律問題の答えが見つかり、しかも弁護士に直接聞くよりも詳しくかつ分かりやすく書かれています。
弁護士ですら、インターネットを利用して問題解決のために知識を得ることがあるほどです。
情報化社会においては、弁護士が知識を伝える場がないと言われているのです。
2. 弁護士に将来性がある理由
このように、弁護士の将来性についてはマイナスな評価を下す声も聞かれます。
しかし、弁護士の未来はまだまだ明るく、決して悲観するような将来性ではありません。
その理由をご説明します。
2-1. 弁護士の採用数を増やして業務拡大する法律事務所の増加
毎年、弁護士の数が増加してはいますが、それに伴い弁護士事務所の採用人数も増加している傾向にあります。
例えば、五大法律事務所のような企業法務を主に扱うような法律事務所では、実際に弁護士の採用人数を増やしている傾向にあります。
五大法律事務所の総採用人数は、2009年は116人だったのに対し、2021年では211人となっていることからも、採用人数を実際に増やしている事が分かるかと思います。
また、債務整理や自己破産など需要の高い分野について業務拡大をしている法律事務所や、郊外の法律事務所についても採用人数も増加している傾向にあると言えるでしょう。
このように、弁護士の数が増加したとしても、法律事務所の採用人数も増加していることを考えれば、案件や弁護士としての業務はまだまだ需要はあると言えるでしょう。
※大手法律事務所で働くことについて詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
2-2. 弁護士の働き方の多様化
司法制度改革が行われる以前の弁護士の働き方は、そのほとんどが弁護士事務所でいわゆるイソ弁(居候弁護士)として働くか、自分で事務所を開業して仕事を行うかでした。
しかし、現在の弁護士の働き方は極めて多様化しています。
企業を顧客に企業法務を担当したり、国際案件を主に扱う渉外事務所で海外での活動を主にしたり、民間企業の法務部に所属し一社員として会社をサポートするインハウスローヤー、官公庁などで働く任期付き公務員など、法廷紛争以外の業務が年々増加しています。
実際、インハウスローヤーの数について、企業内弁護士数の推移(2001年~2025年)によると、2014年では1,000人程度でしたが、2021年には2,965人にまで増加しています。
このように、弁護士としての仕事は法廷内に留まらず、社会一般の範囲にまで及んでいます。
以下、幅広い弁護士の一例をご紹介いたします。
| 議員秘書 |
| 企業の社外役員 |
| 児童相談所へのサポート |
| 小学校・中学校などでのいじめ問題に対するサポート |
| 少年の非行サポート |
| 難民の問題のサポート |
| ⽇本での在留資格や帰化の問題 |
| ⽇本で⽣活する外国人の家族問題や刑事事件 |
| 障害者の介護や財産管理に関する業務 |
| 医療現場での法務 |
| スポーツ選手の代理人 |
| 被災者・原発事故の被害者支援 |
| 海外での法的整備活動 |
| 芸能人の代理人 |
| 国や地方自治体での行政活動 |
| 弁護士過疎地での活動 |
このように、時代問わず、弁護士のニーズは常に社会に存在しているといえるでしょう。
2-3. AIが台頭しても弁護士の仕事はなくならない
たしかに、判例の検索など、人間が行うよりもAIで行った方が効率が良い業務というのもたしかに存在するかと思います。
しかし、弁護士の業務は単なる書類作成だけでなく、人とのコミュニケーションを前提とした専門性の高い業務が要求されるものです。
依頼者と信頼関係を築いたり、相手を説得したり、相手の感情を読み取ったりするという社会的な行為としてのコミュニケーションはAIには出来ません。
また、刑事事件のように当事者の責任が問題になる場合には、過去の判例だけでAIが決めるには難しく、判断しづらい事案があることは事実です。
そもそも、AIが人を裁くこと自体に倫理的な課題が残されていて、まだまだ議論が成熟しているとは言えません。
今後将来的にAIが弁護士の仕事の一部を行うことがあったとしても、全ての業務を代替するのは極めて難しいといえるでしょう。
2-4. 弁護士の業務は専門性が高い
弁護士としての業務は専門性の高い業務となっており、弁護士が独占している業務も多数あります。
特に、刑事事件ではその裁判件数に目立った減少は見られず、今後も裁判件数が減ることはないと考えられます。
弁護士は法律を取り扱うスペシャリストであることから、資格を持っていない人が行ってしまうと非弁行為として犯罪となることもあるため、今後も弁護士としての仕事がなくなるというのは考えづらいといえるでしょう。
2-5. インターネットの普及による誤情報の拡散
たしかにインターネットにはさまざまな情報があふれていますが、誤った情報というのもたくさんあります。
どの情報が正しい情報なのかというのを見極める力というのは、最終的には個々の能力によるところが強く、適切に情報を取捨選択する事ができる人というのはそう多くはありません。
情報の真偽を判断するには、それらの分野に精通している弁護士が最適だと言えるのです。
3. 弁護士として将来的に活躍するために必要な要素
3-1. コミュニケーション能力・営業力
専門性の高い豊富な知識を持つことはもちろんの事、今後弁護士として活躍するためには対話能力や営業力が重要になってくると言えます。
相談者に寄り添うことができる誠実な対応がなければ依頼者からの信頼を得ることはできませんし、場合によっては弁護士個人ではなく働いている事務所全体の評価を下げてしまうことにも繋がりかねません。
また、弁護士の増加により、顧客を獲得するためには営業に力を入れる必要が出てきました。
かつては黙っていても弁護士としての仕事は入ってきましたが、今では顧客との信頼関係を継続できる信用性を積極的に築いたり、ネット広告やSNSを利用して集客するなど、自ら仕事を得るための努力をすることが必要不可欠な時代になったと言えるでしょう。
3-2. 専門性を強化する
弁護士という職業はそもそも専門性の高い職業です。
特に、首都圏では、一般民事全般を取り扱っている事務所は飽和状態で、他の事務所との差別化が出来ていない場合には、なかなか仕事を勝ち取ることができません。
離婚・労働問題・男女問題・相続・企業法務・医療過誤など、何か特定のジャンルに特化して、それに関する専門性を身に付けることで、他の事務所との差別化を図ることができ、付加価値を付ける事が可能です。
「離婚問題ならこの弁護士にお願いしよう」と言われるくらいの高い専門性を身につけるようにすれば、活躍できる弁護士になることが出来るでしょう。
めまぐるしく新しい社会活動が誕生している現代社会では、まだまだ専門性のある弁護士がいない分野は無数に存在します。
4. 弁護士の将来性に関するよくある質問(FAQ)
-
弁護士の人数はどれくらい増えていますか?需給バランスは崩れていませんか?
-
日弁連の統計によれば、弁護士数は2024年3月時点で45,808人、2025年6月時点で47,040人となっています。2014年の35,045人から10年で約1.31倍に増えました。一方、近年の年間純増ペースは800人前後で推移し、増加スピードは2020年代に入り穏やかになっています。
需給バランスは地域と分野で大きく異なります。都市部の一般民事は競争が激しい反面、企業法務、地方の法律事務所、企業内弁護士の領域では引き続き高い需要があり、「全国一律で過剰」とは言えない構造です。
出典:日弁連「弁護士白書2024年版・基礎的な統計情報」
-
弁護士の平均年収はいくらですか?「年収が低い」「ピンキリ」と言われるのは本当ですか?
-
日弁連が実施した2023年の最新実態調査では、弁護士の所得(必要経費控除後)は平均1,022万円、中央値800万円です。経験10〜15年層は中央値860万円ですが、経験5年未満では中央値300万円にとどまり、若手と中堅で大きな差が生じています。
「ピンキリ」は事実です。同調査で所得200万円未満の層が約10%存在する一方、3,000万円以上が約7%を占めます。年収は勤務先、経験年数、専門分野で数倍の差が生まれる構造になっています。
出典:日弁連「弁護士白書2023年版・2-4 弁護士実勢調査に基づく近年の弁護士の実情」
-
弁護士の業務のうち、AIに代替される領域とされない領域はどう違いますか?
-
AIに代替されやすいのは、判例検索、契約書ドラフト・レビュー、定型書面の作成、法令調査など、過去データのパターンマッチで処理できる定型業務です。一方、依頼者との信頼構築、相手方との交渉、刑事弁護での情状立証、裁判官の心証を狙う弁論など、人間関係と倫理判断を伴う業務はAIに代替されにくい領域です。
日弁連は2023年6月にAI戦略ワーキンググループを設置し、生成AIの利活用と弁護士法72条との関係を継続的に検討しています。AIは脅威ではなく、定型業務を効率化して付加価値業務に集中するための補助ツールと位置づけられつつあります。
-
五大法律事務所と中小・個人法律事務所で、将来性に違いはありますか?
-
五大法律事務所は企業法務領域での需要拡大を背景に採用数を継続して拡大しており、国際案件、大型M&A、金融規制対応などで存在感を高めています。中小・個人事務所は専門特化と地域密着で需要を確保する戦略が主流で、規模よりも「専門性と顧客接点」が将来性を左右します。
中小・地方事務所は離婚、労働、相続といった個別案件で深く社会に関わる魅力があり、規模で優劣を語るより目指す働き方で選ぶ性格の問題です。
-
40代から弁護士を目指しても将来性はありますか?
-
法務省の2025年度司法試験データでは、合格者の平均年齢は26.8歳、最年長は69歳でした。年齢制限はなく、合格率41.20%の試験を突破できれば40代からの参入も十分可能です。社会人経験は企業法務、労働問題、相続、医療法務などの分野で強い武器になります。
法科大学院在学中受験制度(2023年導入)や予備試験ルートを使えば、学習開始から2〜3年程度での合格も視野に入ります。学習期間と費用を踏まえた長期計画が成功の鍵です。
出典:法務省「令和7年司法試験の結果について」
-
「弁護士はオワコン」「やめとけ」と言われるのはなぜですか?事実ですか?
-
ネガティブな言説の主因は3つあります。第1に弁護士数の急増(2001年の18,243人から2025年に47,040人へ)、第2に司法制度改革直後の就職難の記憶、第3にAIによる代替への漠然とした不安です。表面的な印象として「飽和した職業」と捉えられがちな点が背景にあります。
しかしデータで見ると、企業内弁護士は2001年の66人から2025年の3,596人まで約54倍に拡大し、活躍領域はむしろ広がっています。「オワコン」という単純な評価は実態と整合しません。
出典:日本組織内弁護士協会「企業内弁護士数の推移(2001年〜2025年)」
-
弁護士はAIに仕事を奪われて、将来なくなる職業ですか?
-
完全に消滅する可能性は低いと考えられます。弁護士法72条は法律事務を弁護士の独占業務と定めており、AIが弁護士登録なしに法律事務を行うことは現行法上できません。倫理判断、交渉、裁判での弁論など、対人スキルを要する業務もAIには代替が困難です。
-
弁護士の独立開業は「悲惨」と聞きますが、本当に成功は難しいのですか?
-
独立の難易度は専門分野、集客戦略、地域選択で結果が大きく分かれます。日弁連の2023年実態調査では、経験5年未満の弁護士の所得中央値は300万円という結果が出ており、十分な経験と顧客基盤を築く前の独立は経済的に厳しいことが示されています。
一方、専門分野を確立し、勤務時代に培った人脈と実績を持って独立すれば、年収1,000万円超を達成する弁護士も多数存在します。「いきなり独立」ではなく、勤務弁護士として5〜10年経験を積んだ後の独立が現実的なルートといえます。
出典:日弁連「弁護士白書2023年版」
-
将来性のある弁護士として活躍するため、若手のうちから何を意識すべきですか?
-
大切な要素は3つあります。第1に、早い段階で専門分野を選定すること。第2に、依頼者との信頼を築くコミュニケーション能力と、顧客を呼び込む営業力を磨くこと。第3に、AIなどのテクノロジーを業務効率化に取り入れる適応力を身につけることです。
-
専門分野を持つと将来性が高まるのはなぜですか?今後有望な分野は何ですか?
-
弁護士数の増加で一般民事は供給過剰となり、「離婚といえばこの先生」「労働問題ならこの事務所」と指名される専門性が、競争を抜け出す手段になっています。専門化により単価上昇、紹介の循環、メディア露出という好循環が生まれます。
今後の成長領域は国際法務、IT・知財、スタートアップ法務、労働、相続、医療法務、AI関連法務など多岐にわたります。新法制定や社会変化が需要を生むため、関心と適性のある分野を早めに選ぶ姿勢が将来性を高めます。
5. 弁護士の将来性と展望のまとめ
当コラムでは、弁護士の将来性と今後の展望について解説してまいりました。
- 弁護士数の増加に伴い、事務所の採用人数も増加傾向にある
- 弁護士の働き方は多様化している
- AIでは出来ない業務がある
→弁護士の将来性は間違いなくある
ここまでご紹介してきたように、弁護士は食えない、稼げない、儲からない、需要はないという噂はあくまでも表面的な評価であって、実情とは異なる部分が大いにあると言えます。
弁護士にはまだまだ需要があり、将来性も多分に秘めている職業です。
また、弁護士は収入ややりがいなどの面でも非常に魅力的な職業で、今後も社会に求め続けられる存在であることは間違いありません。
どうぞ安心して、弁護士になるという夢にチャレンジしていただきたいと思います。
伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。
無料の体験受講や説明会も実施していますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。
2025年 司法試験合格者1,581人中 1,432名(90.6%)※1
2025年 予備試験合格者 452人中405名(89.6%)※2
が伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座640名、講座・答練321名、模試471名)
※2(講座内訳:入門講座228名、講座・答練130名、模試47名)
なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

