検察官の出身大学ランキング|法科大学院の特徴や任官数をご紹介

基本情報

2025年10月31日

法務省に属する国家公務員である検察官は、弁護士や裁判官と並んで法曹三者のうちの一つですが、誰でも簡単に就くことのできる職業ではなく、法曹三者になるためには、難関国家資格である司法試験に合格する必要があります。

司法試験に合格するためには、大学や法科大学院での学習環境も当然関わってくるでしょう。

大学名や法科大学院名で検察官が選ばれることはありませんが、実際に検察官を多く排出している教育機関があるのも事実です。

そこで、この記事では、法務省が公表している任官実績のデータをもとに、直近5年間で検察官を多く輩出している法科大学院および大学をランキング形式でご紹介していきたいと思います。

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1.検察官になるための2つのルート

検察官になるためには、司法試験に合格する必要があります。

司法試験は誰でも受験できるわけではなく、法科大学院を修了するか、予備試験に合格する必要があります。

まずは、それぞれのルートを確認してみましょう。

1-1.法科大学院ルート

1つ目のルートは、大学卒業後、法科大学院に進学し、2〜3年でその過程を修了してから司法試験に合格することで検察官になるルートです。

法科大学院は、実務に出たあとに、法曹として活躍できるよう専門的な知識を習得させるために、それぞれの大学で特徴あるカリキュラムが組まれています。

もちろん、法科大学院に入学するためにも入学試験があり、法科大学院によっては検察官志望の人に向けた具体的なカリキュラムが組まれている大学院もあります。

各法科大学院によってその特徴や難易度が違うため、特に検察官志望の場合には、近年検察官を排出している人数の多い大学院に進学することを考えることが、検察官になるための近道にもなるといえるでしょう。

法科大学院は通常未修者コースと既修者コースの2コースに分かれています。

大学の法学部卒業者が既修者コース、法学部以外卒業者が未修者コースというわけではなく、法学部卒業者でも未修者コースを受験することができ、また法学部卒業生以外でも、既修者コースの試験に合格することができれば既修者コースとして入学することが可能です。

通常、既修者コースでは2年間、未修者コースでは3年間法科大学院に通うことになるため、法学部生でも時間をかけてじっくり勉強したい人は未修者コースを選択する方もいます。

逆に、なるべく早めに司法試験の受験資格を得たい場合には、既修者コースを選択することになるでしょう。

ただし、1年長く勉強した未修者コースの方が合格率が高いかというとそうでもなく、どちらかというと既修者コースの方が司法試験の合格率は高い傾向にあります。

また、司法試験の上位合格者の中には、法学初学者から未修者コースを経て司法試験を受験する純粋未修者とよばれる方もいます。

そのため、どちらのコースがいいかはその人の学習状況により変わってくるため、司法試験合格から逆算して自身の進むべきコースを選択するようにしましょう。

また、近年法科大学院ルートで最短6年で法曹になれる「法曹コース」の新設により、法科大学院の需要は今後さらに高まっていくものと推察されます。

1-2.予備試験ルート

2つ目のルートは、予備試験に合格することで司法試験の受験資格を得るルートになります。

予備試験ルートでの司法試験合格率は、2024年度(令和6年度)で92.84%となっており、予備試験に合格できることができれば、司法試験に合格する実力がついている保証が得られます。

これは、予備試験と司法試験は科目や試験範囲、形式面でも酷似していること、予備試験で問われる基礎力が司法試験でも合否をわけていることが、予備試験ルートでの司法試験の合格率を上げている要因の一つとなっています。

予備試験合格者は、合格率4%前後の難関試験を突破しているため、予備試験に合格することができれば、司法試験に合格する可能性はかなり高くなるといえるのです。

予備試験の場合、法科大学院のように学費もかかりませんし、受験回数や年齢等にも制限がないため、大学在学中でも、働きながらでも、どのような環境にいたとしても試験にチャレンジすることができます。

そういった意味でも、法曹になる夢を追いかけやすいルートであるといえるでしょう。

2.検察官の出身法科大学院ランキング

それでは、検察官として任官された修了生が多いのは、いったいどこの法科大学院なのでしょうか。

ここからは、検察官の出身法科大学院や、予備試験ルートにおける出身大学のランキングを、77期の任官者数および直近5年間の検察官任官者数とあわせてご紹介していきます。

なお、詳細は検事の採用実績(法務省)をご覧ください。

2-1.法科大学院ルートの場合

まずは、法科大学院ルートで司法試験に合格した場合における検事の任官者数を、第77期(司法修習期間が2024年3月~2025年3月)の検事の任官者数と、直近5年間の検事の任官者数に分けてみてみましょう。

2-1-1.第77期検事任官者数

大学院名第77期検事任官者数
東京大学法科大学院13人
一橋大学法科大学院12人
慶應義塾大学法科大学院11人
早稲田大学法科大学院11人
京都大学法科大学院7人
北海道大学法科大学院6人
大阪大学法科大学院3人
中央大学法科大学院3人
東北大学法科大学院2人
名古屋大学法科大学院2人
岡山大学法科大学院1人
関西大学法科大学院1人
千葉大学法科大学院1人
同志社大学法科大学院1人
立命館大学法科大学院1人
合計75人


表をご覧いただけるとわかるように、東京大学法科大学院が13人と最多となっており、続いて一橋大学法科大学院、慶應義塾大学法科大学院、早稲田大学法科大学院、京都大学法科大学院と続き、77期は全15校の法科大学院からの採用となりました。

また、予備試験ルートからの任官者数7人も併せると、77期の検事任官者数の合計は82人※となっており、これは 55期(平成14年)~ 64期(平成23年)までの平均83.5人と同程度の数字となっています。
(※77期の任官者82人の内訳は、法科大学院出身の任官者が75人、予備試験ルートでの任官者(大卒者)は7人となっています。)

司法試験の合格者は例年1400人〜1,500人程度で推移していることを考えると、検事に任官するのは毎年5%程度ということになり、弁護士よりも狭き門であるともいえるでしょう。

2-1-2.直近5年間の検事任官者数

大学院名直近5年間の検事任官者数
京都大学法科大学院53人
慶應義塾大学法科大学院51人
東京大学法科大学院45人
一橋大学法科大学院43人
早稲田大学法科大学院39人
中央大学法科大学院22人
大阪大学法科大学院19人
神戸大学法科大学院14人
名古屋大学法科大学院14人
北海道大学法科大学院10人
首都大東京法科大学院
(現:東京都立大学法科大学院)
7人
東北大学法科大学院7人
立命館大学法科大学院6人
岡山大学法科大学院5人
同志社大学法科大学院4人
法政大学法科大学院4人
明治大学法科大学院3人
関西学院大学法科大学院3人
千葉大学法科大学院3人
九州大学法科大学院2人
広島大学法科大学院2人
創価大学2人
専修大学法科大学院2人
上智大学法科大学院2人
横浜国立大学法科大学院1人
信州大学1人
南山大学法科大学院1人
福岡大学法科大学院1人
日本大学法科大学院1人
青山学院大学法科大学院1人
甲南大学法科大学院1人
西南学院大学法科大学院1人
大阪市立大学法科大学院1人
愛知大学法科大学院1人
筑波大学法科大学院1人
立教大学法科大学院1人


直近5年間の検事の任官者数を見てみると、1位は京都大学法科大学院の53人となっていますが、2位の慶應大学法科大学も51人となっており、両法科大学院が他の大学院と比べても突出した数字となっています。

続いて、東京大学法科大学院が45人、一橋大学法科大学院が43人、早稲田大学法科大学院が39人となっており、司法試験でも合格率の高い大学院の検事任官数が多くなっているといえます。

しかしながら、全36校から検事任官者が出ていることから、出身大学や法科大学院で検事任官が決まってしまうわけではないことがおわかりになるでしょう。

検事になるためには、出身大学院の実績や各大学院で検事になるために特化したカリキュラムがあるかどうかというよりも、できるだけ少ない回数で、できるだけ上位の成績で司法試験に合格することを心がけることが、検事になるための最善策であるといえそうです。

2-2.予備試験ルートの場合

次に、予備試験ルートで司法試験に合格した場合における各大学の検事の任官者数を、第77期の検事の任官者数と、直近5年間の検事の任官者数に分けてみていきます。

2-2-1.第77期検事任官者数

大学名第77期検事任官者数
一橋大学2人
京都大学1人
慶應義塾大学1人
筑波大学1人
東京大学1人
南山大学1人


第77期の検事任官者数を見てみると、一橋大学が1位の2人、続いて京都大学、慶應義塾大学、筑波大学、東京大学、南山大学が1人でそれを追うかたちとなっています。

予備試験合格者は例年450人〜480人前後で推移していますが、77期で予備試験ルートからの検事任官者数は7人で、予備試験の合格者の約1.5%にとどまるものとなっていることからみても、そもそも検事になる絶対数自体が少ないことがわかるかと思います。

2-2-2.直近5年間の検事任官者数

大学名直近5年間の検事任官者数
中央大学9人
東京大学9人
早稲田大学8人
慶應義塾大学8人
一橋大学4人
大阪大学3人
京都大学3人
神戸大学2人
岡山大学1人
立教大学1人
日本大学1人
九州大学1人
同志社大学1人
首都大東京1人
筑波大学1人
南山大学1人


直近5年間の検事の任官者数をみてみると、中央大学、東京大学が9人、続いて早稲田大学および慶應義塾大学が8人となっており、一橋大学や大阪大学、京都大学や神戸大学などの国立大学も、ここ5年間で2〜4人の検事を輩出しています。

そのほか、さまざまな大学から毎年検事が輩出されているところをみると、検事の出身大学については、いわゆる難関校と呼ばれる法科大学院や難関試験である予備試験ルートでの司法試験合格者が多いものの、そこに何か特別な関係があるというわけではありません。

仮に、上記表に記載されていない大学出身であったとしても、司法試験に合格し、司法修習における検察修習を堅実にこなし、検察起案で優秀な成績を納めることができれば、検察官になることは十分に可能であるといえるのです。

3.まとめ

直近5年間で検事を多く輩出している法科大学院や大学は以下のとおりです。

法科大学院ルートの場合
 ◉京都大学法科大学院
 ◉慶應義塾大学法科大学院
 ◉東京大学法科大学院
 ◉一橋大学法科大学院

予備試験ルートの場合
 ◉中央大学
 ◉東京大学
 ◉早稲田大学
 ◉慶應義塾大学

ただし、検察官の採用に出身大学、法科大学院は影響しないといってよいでしょう。

検察官は、日本の刑事事件において起訴する権利である公訴権をもつ唯一の職業であり、公正な裁判が行われるよう、裁判をリードする立場にあります。

そこには、悪質な犯罪を徹底的に追求する正義感が求められるでしょうし、丁寧な資料収集や聞き取り調査、的確で論理的な思考力や判断力も、検察官としては備わっていなければならない資質の一つであるといえるでしょう。

これらの能力や被害者や遺族に寄り添う気持ちなどの人格的な側面は予備試験や司法試験、司法修習や二回試験を通して総合的に判断されることになるのです。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。