法科大学院の受験資格は?修業年限は何年?司法試験合格への最短ルートも解説

法科大学院

司法試験の受験資格を取得するには、法科大学院ルートと予備試験ルートの2つがありますが、法科大学院ルートを検討している方の中には、「そもそも法科大学院を受験するのに資格はいるの?」「大学入学から法科大学院を卒業するまでは何年かかるの?」などと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

法曹コースの導入以降、法科大学院ルートでも司法試験を受験するまでの期間は短くなりました。2023年度(令和5年度)の司法試験からは、法科大学院在学中の受験資格も認められています。

今回は、司法試験へのチャレンジを検討している方に向けて、法科大学院の受験資格や法科大学院の修了までにかかる期間、最短での司法試験合格を目指す方法などを解説します。

1. 法科大学院の受験資格

法科大学院ルートを選択する場合、法科大学院の受験資格が必要です。ここでは、司法試験の受験資格を取得する前提となる、法科大学院と予備試験の受験資格について解説します。

1-1. 法科大学院の受験には大学卒業資格が必要

法科大学院を受験するには、原則として大学卒業資格が必要です。

法科大学院の入試は、毎年8月ごろから12月ごろにかけて実施されます。法科大学院によっては、年明けに後期日程の入学試験を実施するところもあります。

既修者コースを受験する場合でも、法学部の卒業資格は必須ではありません。法学部以外の卒業生でも、法科大学院の入試で法学部卒に相当する学力を証明できれば、既修者コースへの入学も可能です。

なお、法科大学院によっては、大学卒業資格がなくても独自の資格審査により受験資格を認めているところもあります。

1-2. 法曹コースを利用すれば飛び級が可能

法科大学院によっては、法曹コースの特別選抜枠が設置されています。法曹コースは、大学の学部を3年で早期卒業して法科大学院への飛び級入学を可能とする制度です。

法曹コースが導入される以前は、法科大学院ルートで司法試験の受験資格を取得するには、学部を4年、法科大学院の既修者コースを2年かけて卒業する必要がありました。そのため、実際に司法試験を受験できるのは、最短でも大学入学から7年目でした。

現在では、法曹コースの導入と法科大学院在学中の受験資格が認められたことで、最短で司法試験を受験するまでの期間は2年短縮されて、大学入学から5年目で司法試験を受験できます。

1-3. 予備試験には受験資格がない

ちなみに法科大学院ルートではなく、予備試験ルートを選択する場合、予備試験には受験資格がないので誰でも受験できます。

予備試験は、中卒や高卒の人でも受験可能です。現行の司法試験における最年少合格者は17歳です。法科大学院ルートでは、法曹コースの飛び級を利用しても司法試験の最短合格は23歳になる年なので、毎年の最年少合格者は予備試験ルートからの合格者となっています。

予備試験ルートなら、中卒や高卒の方、法科大学院への進学が難しい方であっても、司法試験合格が目指せます。

2. 法科大学院の修了までにかかる期間

司法試験は、どのルートを選択しても合格までに時間のかかる試験です。司法試験合格を目指すには、数年単位で合格までの計画を考える必要があります。

ここでは、コースごとでの大学入学から法科大学院の修了までにかかる期間と司法試験受験までの最短ルートについて解説します。

2-1. 大学入学から法科大学院の入学まで

大学入学から法科大学院の入学までにかかる期間は、法曹コースとそれ以外とで異なります。

法曹コースで法科大学院に進学する場合は、学部を3年で早期卒業できます。法曹コース修了予定者は、法科大学院入試で「5年一貫型教育選抜」もしくは「開放型選抜」を受験することになりますが、他の受験生と同じ条件で一般選抜を受験することも可能です。

法曹コース以外では、学部の卒業まで4年かかります。

2-2. 法科大学院の既修者コース・未修者コース

法科大学院には、修了まで2年の既修者コースと、3年の未修者コースがあります。

令和5年(2023年)度の司法試験から、法科大学院在学中(最終学年)の受験資格が認められました。そのため、既修者コースでは入学してから2年目、未修者コースでは3年目に司法試験の受験が可能です。

法科大学院の既修者コースと未修者コースは、入学試験が分けられています。どちらのコースを受験するかは受験生が選択できるので、法学部以外の出身者が既修者コースを受験することも可能ですし、法学部出身者が未修者コースを受験することもできます。

2-3. 大学入学から司法試験受験までの最短ルート

法科大学院ルートでは、法曹コースで既修者コースに進学した場合は、大学入学から5年目に司法試験の受験資格が認められます。対して最長では、大学の学部を4年で卒業して未修コースに進学した場合、司法試験の受験資格が認められるのは大学入学から7年目です。

なお、予備試験ルートの場合、予備試験は誰でも受験が可能で、合格した翌年から司法試験の受験資格が認められます。たとえば、学部2年生のときの予備試験に合格した場合には、学部3年生からつまり大学入学3年目には司法試験を受験できます。

3. 最短での司法試験合格を目指す方法

ここでは、最短での司法試験合格を目指す方法として、次の3つの内容について解説します。

◉法曹コースでの法科大学院進学を目指す
◉予備試験の合格を目指す
◉司法試験の一発合格を目指す

3-1. 法曹コースでの法科大学院進学を目指す

法科大学院ルートのメリットは予備試験を受けずに司法試験の受験資格が持てることです。そして、法曹コースに進めば、司法試験を受験するまでの期間が1年短くなります。司法試験の早期合格を目指すのであれば、法曹コースに進むべきです。

法曹コースを検討している方の中には、司法試験に挑戦するまでの準備期間が短くなることを不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、法曹コースから上位校に進学できる学力があれば、司法試験に一発合格できる可能性は十分にあります。

2023年度の司法試験から法科大学院在学中の受験資格が認められていますが、2025年度の司法試験在学中の受験者数は1,352人で合格者は712人でした(合格率52.66%)。一方、修了者の受験者数は2,013人で合格者は441人となっており(合格率21.91%)、司法試験までの準備期間の短さが不利とはならないことは明らかと言えるでしょう。むしろ、早く準備を始めて、早く司法試験を受験する方が、司法試験の合格率が高いという結果となっています。

司法試験の早期合格を目指す方は、早い段階から予備試験レベルの学習を行い、学部試験の成績を上げたうえで法曹コースに進むべきです。

参照:令和7年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

①. 司法試験合格者の多い・合格率の高い法科大学院

令和7年(2025年)度の司法試験における合格者数、合格率それぞれの上位5校は、次のとおりです。

順位法科大学院名合格者数
1早稲田大法科大学院150人
2京都大法科大学院128人
3慶應義塾大法科大学院118人
4東京大法科大学院 116人
5中央大法科大学院77人

順位法科大学院名合格率
1京都大法科大学院58.45%
2愛知大法科大学院55.56%
3慶應義塾大法科大学院50.00%
4東京大法科大学院50.00%
5一橋大法科大学院47.66%

参照:令和7年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

最短で司法試験合格を目指す上で大切なのは、やはり環境も重要な要素でしょう。司法試験の合格者数・合格率の高い法科大学院に進学し、学部の仲間と切磋琢磨して勉学に励むのもとても有効だと考えられます。

※法科大学院ランキングについて詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

3-2. 予備試験の合格を目指す

司法試験まで最も最短のルートは、予備試験ルートです。司法試験合格までにかかる期間を少しでも短くするには、早い段階から予備試験合格レベルの学習を始めることが重要です。

予備試験ルートは、受験資格がないのでいつでも始められる上、法科大学院ルートと比べて時間と費用がかからない点、また司法試験の合格率が高い点がメリットとしてあげられます。

法科大学院ルートの場合は、既修コースでは2年分の入学金・授業料、未修コースでは3年分の入学金・授業料など相当な費用がかかります。予備試験ルートであれば、予備校に通うのであればその費用だけで済ませることができます。

【予備試験ルートと法科大学院ルートの合格率】

 令和7年
受験者数
令和6年
受験者数
令和7年
合格者数
令和6年
合格者数
令和7年
合格率
令和6年
合格率
司法試験
全体
3,837人3,779人1,581人1,592人41.20%42.13%
予備試験
合格者
472人475人428人441人90.68%92.84%
法科大学院
合計
3,365人3,304人1,153人1,151人34.26%34.84%
法科大学院
修了者
2,013人2,072人441人471人21.91%22.73%
法科大学院
在学中
1,352人1,232人712人680人52.66%55.19%

参照:令和7年司法試験の採点結果|法務省
   令和6年司法試験の採点結果|法務省

予備試験は難易度の高い試験であり、予備試験合格を目指すことには抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、たとえ法科大学院ルートが本命であったとしても、予備試験レベルの学習を行うことには、法曹コースにおいても、法科大学院入試においても、大きなメリットがあります。

早い段階から予備試験を意識した学習を進めていると、学部成績が向上して法曹コースへの進学も容易になりますし、上位校の法科大学院入試を目指せるようになります。入試で好成績を出せば特待生として学費免除も狙えるでしょう。

予備試験ルートでも法科大学院ルートでも司法試験合格という最終目標は同じです。司法試験合格の可能性を大きくするには、早い段階から予備試験レベルの学習をスタートするようにしてください。

※予備試験の制度や合格に必要な基礎知識について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

3-3. 司法試験の一発合格を目指す

司法試験に一発合格するには、とにかく早い段階から司法試験合格を意識した学習を進めることが重要です。「法曹コースに進学するための学習」、「法科大学院に入学するための学習」といったように、目の前の試験だけを意識した学習では成果を得るのが難しくなってしまいます。

予備試験合格には司法試験合格レベルの学力が必要で、実際に予備試験合格者のほとんどが翌年の司法試験に合格しています。つまり、早期に予備試験レベルの学習を始めれば、どのルートを通ったとしても司法試験合格に直結する学習を進められるのです。

※司法試験に一発で合格する方法について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

4. 法科大学院の受験資格・修了期間に関するよくある質問(FAQ)

法科大学院在学中に司法試験を受験できるようになったのはいつからですか?

2023年度の司法試験から、法科大学院の最終学年(在学中)での受験が認められています。既修者コース(2年制)では入学2年目、未修者コース(3年制)では入学3年目に受験資格が生じます。以前は修了が必須だったため、この制度変更により法科大学院ルートの期間が実質的に短縮されました。
法務省の発表では、2025年度の在学中受験者の合格率は52.66%で、修了者の21.91%を大きく上回っています。在学中受験は合格率・期間の両面で効果的な選択肢です。

法科大学院の学費は総額でどれくらいかかりますか?

国立大学の法科大学院は、文部科学省の省令により学費が一律に定められています。既修者コース(2年間)の総額は約189万円、未修者コース(3年間)の総額は約269万円が目安です。私立大学は大学によって幅があり、年間授業料が100万円を超えるところも少なくありません。なお、入試成績に応じた学費免除制度や奨学金を用意している法科大学院も多く、実質的な負担は志望校ごとに異なります。
参照:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令

法科大学院ルートと予備試験ルートでは、司法試験の合格率はどちらが高いですか?

法務省の公表データによると、2025年度の司法試験合格率は予備試験合格者が90.68%、法科大学院在学中が52.66%、法科大学院修了者が21.91%でした。合格率の数値では予備試験ルートが最も高く、次いで法科大学院の在学中受験という順です。
ただし、予備試験は法科大学院入試と比べて合格自体が難しい試験です。法科大学院ルートであっても、在学中受験を活用することで高い合格率が期待できます。どちらのルートが適切かは、学習環境・時間・費用を総合的に考慮して判断することが重要です。
出典:令和7年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

既修者コースと未修者コースの違いは何ですか?どちらを選ぶべきですか?

既修者コースは修了まで2年、未修者コースは修了まで3年です。既修者コースは法律の基礎知識がある方向け、未修者コースは法学以外の出身で法律を一から学ぶ方向けに設計されています。なお、法学部卒業は既修者コースの必須要件ではなく、入試で法学部卒相当の学力を証明できれば受験可能です。
司法試験合格を早く目指したい場合は、在学中受験が2年目から可能な既修者コースが有利です。一方、未修者コースは入学後に法律基礎をしっかり学べる環境が整っており、じっくり合格を目指す方に向いています。

高卒・中卒でも法科大学院を受験できますか?

法科大学院の受験には原則として大学卒業資格が必要です。高校卒業や中学校卒業のみでは通常の出願はできません。ただし、一部の法科大学院では大学卒業資格がない方でも独自の資格審査により受験資格を認める場合があります。詳細は各法科大学院の募集要項で確認が必要です。
大学卒業資格をお持ちでない方が法曹を目指す場合、受験資格に一切制限のない予備試験ルートを選択する方法があります。予備試験は中卒・高卒でも受験でき、合格すれば翌年から司法試験を受験できます。

法科大学院への進学に、法学部卒業は必須ですか?

法科大学院への進学に法学部卒業は必須ではありません。理系・文系を問わず、大学を卒業していれば出願できます。既修者コースも法学部出身者以外が受験でき、入試において法学部卒相当の学力を証明できれば合格・入学が可能です。
法学部以外の出身者が既修者コースを目指す場合は、早い段階から憲法・民法・刑法などの基礎科目を体系的に学習しておくことが重要です。予備試験レベルの学習を積み上げることで、既修者コースの入試でも高い得点が期待できます。

法科大学院は「やめとけ」と言われることがありますが、どのような理由からですか?

主な懸念として挙げられるのは、①学費の負担(国立既修者コースで約189万円~)、②在学に要する期間(2〜3年)、③法科大学院修了者の司法試験合格率の低さ(2025年度修了者21.91%)の3点です。司法試験に合格できなかった場合のキャリアへの影響を心配する声もあります。
一方、法科大学院の在学中受験では2025年度に52.66%の合格率が実現されており、早期から学習を進めることで合格の可能性は十分あります。懸念点を正確に把握したうえで、自分の学習環境・目標と照らし合わせて判断することが大切です。

法科大学院を修了後に司法試験に合格できなかった場合、どうなりますか?

法科大学院を修了すると「法務修士(専門職)」の学位が授与されます。また、修了後も司法試験を5回まで受験できるため、修了直後に不合格でも複数回のチャレンジが可能です。司法試験に合格できなかった場合は、一般企業の法務部門や行政機関などへの就職も選択肢に挙げられます。
なお、法科大学院ごとにキャリア支援体制が異なるため、選校時に修了後のサポート内容も確認しておくことをおすすめします。

法科大学院の入試に向けて、どのような準備をすればよいですか?

既修者コースの入試では憲法・民法・刑法など法律基礎科目の筆記試験が課される大学院が多く、早期から法律を体系的に学習することが重要です。法曹コースを通じた進学を目指す場合は学部の成績(GPA)も選考に影響します。未修者コースでは小論文・志望理由書が重視される傾向があります。
出願時期は例年8〜12月ごろが中心です(後期日程を設ける大学院もあります)。早期の準備と並行して、予備試験レベルの学習を進めておくと、既修者コースの入試対策と法科大学院入学後の学習の両方に効果的です。

法科大学院に在学中でも予備試験を受験できますか?

法科大学院在学中でも予備試験を受験することは可能です。予備試験には受験資格に制限がなく、在学中・修了後を問わずいつでも受験できます。法科大学院在学中に予備試験に合格した場合、法科大学院の在学中受験資格と合わせて、司法試験へのルートが二重に確保されます。
予備試験を意識した学習は法科大学院での授業内容とも密接に関連しており、法科大学院ルートを選択していても予備試験レベルの学習を積み上げることが、在学中受験での合格率向上につながります。

5. 法科大学院の受験資格や修了までにかかる期間のまとめ

法科大学院ルートで司法試験合格を目指すには、原則として大学卒業資格が必要です。大学を3年で卒業できる法曹コースに進む場合でも、大学入学から司法試験の受験までには最短で5年目になるので司法試験合格には長期的な視野で学習計画を立てることが重要です。

また司法試験合格までにかかる期間を少しでも短くするには、早い段階から予備試験合格レベルの学習を始めることも重要です。

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2025年 司法試験合格者1,581人中 1,432名(90.6%)※1
2025年 予備試験合格者 452人中406名(89.8%)※2
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※1(講座内訳:入門講座640名、講座・答練321名、模試471名)
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著者:伊藤塾 司法試験科

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