法科大学院の受験資格は?修業年限は何年?司法試験合格への最短ルートも解説

法科大学院

2025年10月31日

司法試験の受験資格を取得するには、法科大学院ルートと予備試験ルートの2つがありますが、法科大学院ルートを検討している方の中には、「そもそも法科大学院を受験するのに資格はいるの?」「大学入学から法科大学院を卒業するまでは何年かかるの?」などと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

法曹コースの導入以降、法科大学院ルートでも司法試験を受験するまでの期間は短くなりました。令和5年の司法試験からは、法科大学院在学中の受験資格も認められています。

今回は、司法試験へのチャレンジを検討している方に向けて、法科大学院の受験資格や法科大学院の修了までにかかる期間、最短での司法試験合格を目指す方法などを解説します。

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1.法科大学院の受験資格

法科大学院ルートを選択する場合、法科大学院の受験資格が必要です。ここでは、司法試験の受験資格を取得する前提となる、法科大学院と予備試験の受験資格について解説します。

1-1.法科大学院の受験には大学卒業資格が必要

法科大学院を受験するには、原則として大学卒業資格が必要です。

法科大学院の入試は、毎年8月ごろから12月ごろにかけて実施されます。法科大学院によっては、年明けに後期日程の入学試験を実施するところもあります。

既修者コースを受験する場合でも、法学部の卒業資格は必須ではありません。法学部以外の卒業生でも、法科大学院の入試で法学部卒に相当する学力を証明できれば、既修者コースへの入学も可能です。

なお、法科大学院によっては、大学卒業資格がなくても独自の資格審査により受験資格を認めているところもあります。

1-2.法曹コースを利用すれば飛び級が可能

法科大学院によっては、法曹コースの特別選抜枠が設置されています。法曹コースは、大学の学部を3年で早期卒業して法科大学院への飛び級入学を可能とする制度です。

法曹コースが導入される以前は、法科大学院ルートで司法試験の受験資格を取得するには、学部を4年、法科大学院の既修者コースを2年かけて卒業する必要がありました。そのため、実際に司法試験を受験できるのは、最短でも大学入学から7年目でした。

現在では、法曹コースの導入と法科大学院在学中の受験資格が認められたことで、最短で司法試験を受験するまでの期間は2年短縮されて、大学入学から5年目で司法試験を受験できます。

1-3.予備試験には受験資格がない

ちなみに法科大学院ルートではなく、予備試験ルートを選択する場合、予備試験には受験資格がないので誰でも受験できます。

予備試験は、中卒や高卒の人でも受験可能です。現行の司法試験における最年少合格者は17歳です。法科大学院ルートでは、法曹コースの飛び級を利用しても司法試験の最短合格は23歳になる年なので、毎年の最年少合格者は予備試験ルートからの合格者となっています。

予備試験ルートなら、中卒や高卒の方、法科大学院への進学が難しい方であっても、司法試験合格が目指せます。

2.法科大学院の修了までにかかる期間

司法試験は、どのルートを選択しても合格までに時間のかかる試験です。司法試験合格を目指すには、数年単位で合格までの計画を考える必要があります。

ここでは、コースごとでの大学入学から法科大学院の修了までにかかる期間と司法試験受験までの最短ルートについて解説します。

2-1.大学入学から法科大学院の入学まで

大学入学から法科大学院の入学までにかかる期間は、法曹コースとそれ以外とで異なります。

法曹コースで法科大学院に進学する場合は、学部を3年で早期卒業できます。法曹コース修了予定者は、法科大学院入試で「5年一貫型教育選抜」もしくは「開放型選抜」を受験することになりますが、他の受験生と同じ条件で一般選抜を受験することも可能です。

法曹コース以外では、学部の卒業まで4年かかります。

2-2.法科大学院の既修者コース・未修者コース

法科大学院には、修了まで2年の既修者コースと、3年の未修者コースがあります。

令和5年の司法試験から、法科大学院在学中(最終学年)の受験資格が認められました。そのため、既修者コースでは入学してから2年目、未修者コースでは3年目に司法試験の受験が可能です。

法科大学院の既修者コースと未修者コースは、入学試験が分けられています。どちらのコースを受験するかは受験生が選択できるので、法学部以外の出身者が既修者コースを受験することも可能ですし、法学部出身者が未修者コースを受験することもできます。

2-3.大学入学から司法試験受験までの最短ルート

法科大学院ルートでは、法曹コースで既修者コースに進学した場合は、大学入学から5年目に司法試験の受験資格が認められます。対して最長では、大学の学部を4年で卒業して未修コースに進学した場合、司法試験の受験資格が認められるのは大学入学から7年目です。

なお、予備試験ルートの場合、予備試験は誰でも受験が可能で、合格した翌年から司法試験の受験資格が認められます。たとえば、学部2年生のときの予備試験に合格した場合には、学部3年生からつまり大学入学3年目には司法試験を受験できます。

3.最短での司法試験合格を目指す方法

ここでは、最短での司法試験合格を目指す方法として、次の3つの内容について解説します。

◉法曹コースでの法科大学院進学を目指す
◉予備試験の合格を目指す
◉司法試験の一発合格を目指す

3-1.法曹コースでの法科大学院進学を目指す

法科大学院ルートのメリットは予備試験を受けずに司法試験の受験資格が持てることです。そして、法曹コースに進めば、司法試験を受験するまでの期間が1年短くなります。司法試験の早期合格を目指すのであれば、法曹コースに進むべきです。

法曹コースを検討している方の中には、司法試験に挑戦するまでの準備期間が短くなることを不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、法曹コースから上位校に進学できる学力があれば、司法試験に一発合格できる可能性は十分にあります。

令和5年の司法試験から法科大学院在学中の受験資格が認められていますが、令和6年の司法試験在学中の出願者数は1,283人で合格者は680人でした(合格率55.2%)。一方、修了者の出願者数は2,267人で合格者は471人となっており(合格率22.7%)、司法試験までの準備期間の短さが不利とはならないことは明らかと言えるでしょう。むしろ、早く準備を始めて、早く司法試験を受験する方が、司法試験の合格率が高いという結果となっています。

司法試験の早期合格を目指す方は、早い段階から予備試験レベルの学習を行い、学部試験の成績を上げたうえで法曹コースに進むべきです。

参照:令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

3-1-1.司法試験合格者の多い・合格率の高い法科大学院

令和6年の司法試験における合格者数、合格率それぞれの上位5校は、次のとおりです。

順位法科大学院名合格者数
1慶應義塾大法科大学院146人
2早稲田大法科大学院139人
3東京大法科大学院121人
4京都大法科大学院107人
5中央大法科大学院83人
順位法科大学院名合格率
1慶應義塾大法科大学院59.35%
2愛知大法科大学院55.56%
3京都大法科大学院49.31%
4一橋大法科大学院48.78%
5東京大法科大学院47.45%

参照:令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省

最短で司法試験合格を目指す上で大切なのは、やはり環境も重要な要素でしょう。司法試験の合格者数・合格率の高い法科大学院に進学し、学部の仲間と切磋琢磨して勉学に励むのもとても有効だと考えられます。

3-2.予備試験の合格を目指す

司法試験まで最も最短のルートは、予備試験ルートです。司法試験合格までにかかる期間を少しでも短くするには、早い段階から予備試験合格レベルの学習を始めることが重要です。

予備試験ルートは、受験資格がないのでいつでも始められる上、法科大学院ルートと比べて時間と費用がかからない点、また司法試験の合格率が高い点がメリットとしてあげられます。

法科大学院ルートの場合は、既修コースでは2年分の入学金・授業料、未修コースでは3年分の入学金・授業料など相当な費用がかかります。予備試験ルートであれば、予備校に通うのであればその費用だけで済ませることができます。

【予備試験ルートと法科大学院ルートの合格率】

 令和6年
受験者数
令和5年
受験者数
令和6年
合格者数
令和5年
合格者数
令和6年
合格率
令和5年
合格率
司法試験
全体
3,779人3,928人1,592人1,781人42.13%45.34%
予備試験
合格者
475人353人441人327人92.84%92.63%
法科大学院
合計
3,304人3,575人1,151人1,454人34.84%40.67%
法科大学院
修了者
2,072人2,505人471人817人22.73%32.61%
法科大学院
在学中
1,232人1,070人680人637人55.19%59.53%

参照:令和6年司法試験の採点結果|法務省
          令和5年司法試験の採点結果|法務省

予備試験は難易度の高い試験であり、予備試験合格を目指すことには抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、たとえ法科大学院ルートが本命であったとしても、予備試験レベルの学習を行うことには、法曹コースにおいても、法科大学院入試においても、大きなメリットがあります。

早い段階から予備試験を意識した学習を進めていると、学部成績が向上して法曹コースへの進学も容易になりますし、上位校の法科大学院入試を目指せるようになります。入試で好成績を出せば特待生として学費免除も狙えるでしょう。

予備試験ルートでも法科大学院ルートでも司法試験合格という最終目標は同じです。司法試験合格の可能性を大きくするには、早い段階から予備試験レベルの学習をスタートするようにしてください。

3-3.司法試験の一発合格を目指す

司法試験に一発合格するには、とにかく早い段階から司法試験合格を意識した学習を進めることが重要です。「法曹コースに進学するための学習」、「法科大学院に入学するための学習」といったように、目の前の試験だけを意識した学習では成果を得るのが難しくなってしまいます。

予備試験合格には司法試験合格レベルの学力が必要で、実際に予備試験合格者のほとんどが翌年の司法試験に合格しています。つまり、早期に予備試験レベルの学習を始めれば、どのルートを通ったとしても司法試験合格に直結する学習を進められるのです。

4.まとめ

法科大学院ルートで司法試験合格を目指すには、原則として大学卒業資格が必要です。大学を3年で卒業できる法曹コースに進む場合でも、大学入学から司法試験の受験までには最短で5年目になるので司法試験合格には長期的な視野で学習計画を立てることが重要です。

また司法試験合格までにかかる期間を少しでも短くするには、早い段階から予備試験合格レベルの学習を始めることも重要です。

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祝賀会ムービー

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。