司法書士は独学で合格できる?1年で合格するための勉強法も解説

勉強法

2025年10月02日

司法書士試験合格を目指して勉強する際、経済的な負担を軽減するために、できれば独学で合格を目指したいと考える人は多いと思います。

この記事では、司法書士試験に独学で合格できるのかどうか、また、1年で合格するためのポイントや勉強法についてわかりやすく解説していきます。

司法書士試験について正しく理解し、無駄なく効率的に合格を手にしていただくために、ぜひ参考にしてください。

1.司法書士試験に独学で合格するのは難しい

司法書士試験に独学で合格することは、不可能ではありません。

しかし、司法書士試験の試験範囲は11科目と膨大で、かつ法律の勉強は難易度が高く、独学で合格することはかなり難しいといえます。

特に、法律の学習を初めて行なう方にとっては、参考書を読んでも何を言っているのかよくわからないことも多く、内容を理解するだけでも膨大な時間がかかってしまう恐れがあります。

また、司法書士試験の合格率は例年4〜5%程度で推移しており、他の士業と比べても低い数字となっています。合格率だけで単純に司法書士試験の難易度を測ることはできませんが、自己流で数ヵ月勉強すれば合格できるというような簡単な試験ではないことが分かります。

※なお、司法書士試験の難易度や合格率に関する詳しい解説は、次の記事もご覧ください。

1-1.合格までに必要な勉強時間の目安

ゼロから司法書士試験に合格するまでに必要な勉強時間は、一般的に3,000時間程度と言われています。しかし、合格までに必要な勉強時間は人それぞれです。1,500時間程度で合格できる方もいれば、3,000時間以上かけても合格に手が届かない方もいるというのが実情です。

また、司法書士試験の出題範囲は広いため、どうしてもインプット重視の勉強になりがちですが、学習の初期段階から過去問演習等のアウトプットを並行して行い、効率よく合格に必要な知識を定着させる必要があります。

司法書士試験に最短で合格するためには、勉強時間にこだわるのではなく、効率の良い勉強を継続して行なえるかどうかが重要になります。

※なお、司法書士試験合格までに必要な勉強時間については、こちらの記事もご覧ください。

2.司法書士試験に独学でチャレンジするメリット

司法書士試験に独学でチャレンジするメリットは、次の通りです。

◉コストを抑えられる
◉学習教材を自分で選択できる
◉ライフスタイルに合わせて自分のペースで学習できる

あまりお金をかけずに、自分に合った教材を自由に選び、何にも縛られずに自分のペースで学習できるというのは、自発的で自律性の高い人にとっては非常に魅力的な条件でしょう。

これらのメリットと、次に述べるデメリットとを比較していただき、独学でチャレンジするかどうかの参考にしていただければと思います。

3.司法書士試験に独学でチャレンジするデメリット

司法書士試験に独学でチャレンジする事を検討している方は、独学によるデメリットをしっかり理解しておく必要があります。

司法書士試験に独学でチャレンジするデメリットは、次の通りです。

◉間違った方向で勉強を進めてしまう可能性がある
◉スケジュール管理が難しい
◉わからないことをすぐに質問できない
◉記述式問題の対策がしづらい
◉モチベーションの維持が難しい
◉法改正や最新情報への対応が難しい

ここからは、司法書士試験に独学で合格するのが難しい理由について、6つの視点から詳しく解説していきます。

3-1.間違った方向で勉強を進めてしまう可能性がある

独学で勉強を進めていると、自分が間違った方向で勉強を進めてしまっていることに気付かない可能性があります。

司法書士試験では、主に法律に関する問題が出題されますが、「法律」という科目は非常に奥が深く、基本的な法律知識だけでなく、マイナーな判例や細かい学説まで学ぼうと思うとキリがありません。

本番の試験では、重箱の隅をつつくような問題までは出題されませんが、勉強にのめり込んでしまうと、法律を深く理解しようとして、本来であれば試験に必要のない部分まで時間をかけて理解しようと考えてしまう恐れがあります。

司法書士試験で重要なのは、基礎・基本をしっかりと定着させて、受験生であれば誰も落とさないような基本的な問題を確実に得点していくことです。本番の試験で合格点に到達するために必要となる知識以外のインプットに時間をかけるのは、非効率な勉強だと言えます。

最短合格を実現するためには、ただガムシャラに勉強”量”をこなせばいいわけではなく、合格に必要となる知識を効率良く定着させるような”質”の良い勉強を継続して行なう必要があるのです。

3-2.スケジュール管理が難しい

独学で勉強を進める場合、難しいのはスケジュール管理です。

司法書士試験の試験科目は全部で11科目もあり、その試験範囲は膨大です。広い試験範囲をカバーし、本番の試験で効率良く得点できるようにするためには、試験日から逆算して緻密な勉強計画を立てる必要があります。

独学で勉強を進める場合、自分で自由に勉強スケジュールを設定できてしまうため、自分のペースで勉強しやすい反面、スケジュール管理が難しくなるという側面を持っています。

自分のペースで進められるからといって、インプットにあまりに時間をかけてしまうと、試験日までに十分なアウトプットの訓練ができないことになってしまいます。逆に内容をしっかり理解しないまま勉強を進めてしまうと、わかったふりで勉強を進めてしまい、基礎・基本が疎かになってしまう恐れもあります。

また、働きながら合格を目指すのであれば、1日どれくらいの勉強時間を確保すれば良いのか、いつまでにどの分野まで終わらせておく必要があるのか、よく分からない方も多いでしょう。

他の資格試験と比べても広い試験範囲を考えると、司法書士試験のスケジュール管理は簡単なことではありません。

3-3.わからないことをすぐに質問できない

独学で合格を目指す場合、わからないことをすぐに誰かに質問できないことも、大きなデメリットであると言えるでしょう。

法律の勉強は、初めて学んだ段階ではいまいち意味がわからないことでも、試験範囲を一通り勉強したあとに戻ってみると、すんなり理解できることもあるのが特徴です。

しかし、だからといって内容を全く理解できていないまま勉強を進めても、その後の勉強がスムーズに進まない恐れがあります。

法律の勉強で一番大事な基礎・基本を身につけるためには、理解を伴わず丸暗記で知識を身につけるのではなく、理解をしながら正確に知識を身につける必要があります。

なんとなく“わかったつもり”で勉強を進めてしまうと、結果として試験で必要な知識や技術を何も身につけることができずに終わってしまう可能性があるのです。

3-4.記述式問題の対策がしづらい

独学で勉強を進める場合、記述式問題の対策が非常に難しいと感じるでしょう。

司法書士試験では、不動産登記法と商業登記法という科目で記述式問題が出題されます。司法書士は登記の専門家であることから、試験でも具体的な事例から登記申請ができるかどうかを問われます。

市販のテキストや問題集だけで対応することも不可能ではないですが、解説が淡々としていることも多く、なぜそのような解答になるのかがよく分からない可能性があります。

また、独学で記述式の対策をしているとどうしても暗記に頼りがちになってしまい、どのような問題が出題されても対応できるような”答案の型”を身につけることがとても難しいのです。

3-5.モチベーションの維持が難しい

司法書士試験は勉強期間が長期にわたる試験のため、1人で勉強を進める場合、モチベーションの維持が課題になりがちです。体調が多少悪くても、周囲が遊びに出かけている中でも淡々と勉強を継続しなければいけません。

友達や会社の同僚など、同じ試験に向かって勉強をしている人が周囲にいれば別ですが、独学の場合、基本的に1人で勉強を継続しなければならないため、途中であきらめ挫折してしまいがちです。

特に、司法書士試験でも重要度の高い民法は、学習の初期段階で勉強することになりますが、学ばなければいけない範囲が膨大なことから、独学の場合「自分には無理だ」と挫折しやすいポイントとなっています。

3-6.法改正や最新情報への対応が難しい

司法書士試験では、法律に関する問題が出題されます。そのため、法律が改正された場合には、改正法までしっかりチェックしておく必要があります。

また、本番の試験では、最新の判例・先例や実務に関する情報に絡めた問題が出題されることがあります。確実に得点するためには、これらの法改正などまで敏感にキャッチする必要があるのです。

独学の場合、自ら情報収集をすることになりますが、試験に必要な情報だけを漏れなく取捨選択することは簡単なことではありません。不要な情報収集に時間をかけてしまうと、一番重要な法律の勉強が疎かになってしまう恐れがあるので注意が必要です。

4.司法書士試験に1年で合格するためのポイントと勉強法

司法書士試験に合格するためのポイントは、独学でも受験指導校を利用する場合でも同様です。

司法書士試験に1年で合格するためには、次のポイントを意識して勉強をする必要があるでしょう。

司法書士試験に1年で
合格するための4つのポイント
◉緻密な勉強スケジュールを立てる
◉インプットとアウトプットを並行して行なう
◉定期的に模試を受験し自分の現在の立ち位置を正確に把握する
◉学習を習慣化する

ここからは、”量より質”の勉強をするためのポイントについて解説していきます。

4-1.緻密な勉強スケジュールを立てる

司法書士試験に最短で合格することを目指すのであれば、ただ闇雲に勉強するのではなく、ゴール(合格)から逆算して、具体的な勉強スケジュールを立てる事が重要です。

司法書士試験は出題範囲が非常に広いため、濃淡をつけて学習していく必要があります。計画を立てずにただなんとなく勉強を進めていると、出題数の少ない科目に時間を割いてしまい、本番で効率よく得点できない恐れがあります。

勉強のスケジュールを立てる際は、試験日までに全ての試験範囲を網羅することを心がけてください。また、民法や不動産登記法など、出題数が多い科目を優先的に学習するようスケジュールを立てると、効率良く勉強する事ができるでしょう。

4-2.インプットとアウトプットを並行して行なう

法律の勉強と聞くと、どうしてもインプット重視の勉強になりがちですが、できるだけ早い段階からアウトプットの訓練もするようにしてください。

出題範囲が広い司法書士試験では、インプット重視の勉強をしてしまうと、初めの方に勉強したことを忘れてしまいがちです。インプットした知識を定着させるためには、基本問題や過去問などを繰り返し解く必要があるのです。

知識の穴をなくす為に、インプットを完璧にしてからアウトプットの勉強に移行しようとすると、いつまで経ってもインプットが終わらず、非効率な勉強になってしまう恐れがあります。

また、司法書士試験では記述式問題も出題されます。択一式と違い、記述式問題で確実に点数を取るためには、本試験レベルの複雑な問題にすぐに取り組むのではなく、簡単な問題から段階を踏んでレベルアップをしていく必要があります。

4-3.定期的に模試を受験し自分の現在の立ち位置を正確に把握する

独学であっても、定期的に開催される模試を利用して、勉強の進み具合や自分の現在の立ち位置を正確に把握するようにしてください。

試験本番では、過去問と全く同じ問題は出題されず、必ず未知の問題が出題されます。模試を受けることで、試験本番の雰囲気や未知の問題が出題されたときの対処法を学ぶことができます。

また、模試を受けると、受験生の中でどれくらいの順位にいるのかを正確に把握することができます。その結果によっては、勉強法や勉強の進め具合を調整する必要があるでしょう。

司法書士試験は相対評価の試験です。常に他の受験生と比べて自分の実力を図ることが重要であると言えるでしょう。

4-4.学習を習慣化する

勉強を続ける上で一番難しいのは、最後までモチベーションを維持することです。特に、すべてを自己管理しなければいけない独学の場合は、よりモチベーションの維持が難しいといえるでしょう。

そこで、大切になってくるのが、「学習の習慣化」です。

例えば、出勤前の1時間、通勤電車の中、昼食時、帰宅後の寝るまでの間など、学習を毎日のルーティーンとして、生活の中に組み込んでみてください。やったりやらなかったりは禁物です。帰宅後どんなに疲れていても最低5分は必ず机に向かうというように学習を習慣化させていくことが大切です。

習慣化に成功するれば、モチベーションのアップダウンに左右されることがなくなり、淡々と学習を継続していくことができるでしょう。

5.受験指導校を利用するメリット

独学で合格を目指すことは不可能ではありませんが、受験指導校を利用すれば、以下の通り様々なメリットがあります。

受験指導校を利用する6つのメリット
◉合格するための経験や知識が詰まった教材で勉強できる
◉正しい方向で勉強をするための指針を提示してくれる
◉講義や模試を基準にして勉強スケジュールを立てることができる
◉不明点はすぐに講師に質問できる
◉法改正への対応を任せられる
◉カウンセリング制度など充実したサポートを受けられる

ここからは、司法書士試験において受験指導校を利用するメリットについて解説していきます。

5-1.合格するための経験や知識が詰まった教材で勉強できる

受験指導校を利用すれば、合格するために必要な知識が網羅された教材を使って、効率よく勉強することができます。

独学で勉強する場合、使用する参考書や問題集の情報収集から始める必要があります。もし、自分に合わない参考書を選んでしまった場合には、途中で参考書を変えたりするなど、非効率な勉強になってしまう恐れがあるでしょう。

その点、受験指導で使用されるテキストには、合格に必要な知識や経験、ノウハウが詰まっているため、それだけを利用していれば必ず合格できる完成度の高いものとなっています。

また、そのテキストの内容を、経験豊富な講師がわかりやすく説明してくれるため、法律初学者でも挫折することなく勉強を続けることができるでしょう。

5-2.正しい方向で勉強をするための指針を提示してくれる

受験指導校を利用すれば、講義の中で適切な勉強方法についてアドバイスをもらえるため、間違った方向で勉強を進めてしまう心配がありません。

講師が指示したことを淡々とこなしていけば、知らず知らずのうちに実力がついているのも、受験指導校を利用する大きなメリットの1つです。

その点、独学で勉強をしていると、覚える必要のない知識の習得に時間をかけてしまったり、何度も参考書を変えてしまい、結局1冊も満足に参考書を理解できないなど、間違った方向の勉強をしてしまう可能性があります。

途中で間違いを指摘してくれる人もいないため、最悪の場合、そのまま試験当日を迎えてしまう可能性もあります。

5-3.講義や模試を基準にして勉強スケジュールを立てることができる

受験指導校を利用すれば、講義や模試をペースメーカーにして勉強スケジュールを立てることができるため、効率よく勉強を進めることができます。

独学で勉強スケジュールを立てる場合、自分で自由にスケジューリングできることから、ついつい実現不可能な計画を立ててしまったり、試験までに全範囲の勉強が終わらない計画を立ててしまう可能性があります。

その点、受験指導校を利用した場合、「この模試までにここまでの範囲を終わらせておこう」「次の講義までにここまでの復習を終わらせておこう」など、講義や模試を基準に勉強スケジュールを立てることができます。

5-4.不明点はすぐに講師に質問できる

初めて法律を勉強した際には分からないことがたくさん出てくるものです。受験指導校を利用していれば、分からないことをすぐに講師に質問できるため、あいまいなまま勉強を進めてしまうのを避ける事ができます。

もちろん、オンラインで講義を受講している場合でも、いつでも質問できる制度が整っているため、安心して勉強を進める事ができるでしょう。

5-5.法改正への対応を任せられる

近年、法改正の頻度は増しています。

受験指導校では、受験対策に必要な法改正が発生した場合には、速やかに講義や教材提供等を行い、法改正対応をしてくれるため、自分自身で情報収集や情報の取捨選択、教材の買い替えなどをする必要はありません。

5-6.カウンセリング制度など充実したサポートを受けられる

受験指導校では、受験生が最後まで挫折することなく、高いモチベーションを維持したまま勉強できるよう、充実したサポート制度が用意されています。

カウンセリング制度では、勉強方法、学習スケジュールの立て方などを質問することができるため、受験生の不安や悩みを解消する事ができます。

独学で勉強を進める場合には、こうした不安や悩み、疑問が払拭されないまま、試験当日を迎えることも少なくありません。

6.まとめ

司法書士試験に独学でチャレンジするメリットやデメリット、1年で合格するためのポイントと勉強法、受験指導校を利用した場合のメリットなどを解説しました。

司法書士試験に独学で合格することは不可能なことではありません。

しかし、司法書士試験の合格率は、例年4〜5%程度となっており、非常に難易度の高い試験です。

合格するためには、正しい方向で努力を重ね、毎日コツコツと勉強を継続する必要があります。

独学の場合、参考書選びや勉強スケジュールの立て方、法改正への対応、疑問や不安の解消に至るまで、全て自分1人で行わなければならず、もし、間違った方向で勉強を進めてしまったら、いつまで経っても合格を手にする事はできません。

その点、受験指導校を利用し、講師の指示に従って勉強を続けていけば、無理なく無駄なくスムーズに合格を手にすることができます。

本気で司法書士試験の合格を目指されるなら、受験指導校をぜひともご活用ください。

伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

伊藤塾司法書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法書士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。