大阪公立大学法科大学院の入試日程は?難易度や司法試験の合格率も紹介

法科大学院

2025年10月31日

司法試験合格を目指すうえで、どの法科大学院(ロースクール)を選ぶかは非常に重要です。大阪公立大学法科大学院は、関西圏を代表するロースクールの一つとして、法曹界を担う人材育成に力を注いでいます。

しかし、「試験日はいつ?」「入試難易度はどの程度?」「司法試験の合格率は高いのか?」といった疑問を持つ受験希望者も少なくありません。公式サイトには情報が豊富に掲載されていますが、その中から自分に必要な内容だけを整理して把握するのは容易ではありません。

そこで本記事では、大阪公立大学法科大学院の所在地や学費、奨学金制度といった基本情報から、入試日程、募集人員、選抜方法、過去の司法試験合格率までをわかりやすくまとめました。

志望校として検討している方や、複数のロースクールを比較している方が、効率的に情報を得られる内容となっています。進路選択の参考として、ぜひ最後までご覧ください。

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【目次】

1. 大阪公立大学法科大学院(ロースクール)の基本情報

まずは、大阪公立大学法科大学院の基本情報を確認していきます。

1-1. 所在地(アクセス)

所在地
〒558-8585
大阪府大阪市住吉区杉本3丁目3番138号
大阪公立大学法学研究科法曹養成専攻(杉本キャンパス)
TEL.06-6605-2301

アクセス
JR阪和線「杉本町駅」下車、東口すぐ
Osaka Metro御堂筋線「あびこ駅」下車、4号出口より
南西へ徒歩約15分

1-2. 授業料等・入学料

入学料大阪府民及びその子:282,000 円
その他の者:382,000 円
授業料年額:804,000 円
法科大学院生
教育研究賠償
責任保険
3年標準型:7,520 円(3年間分)
2年短縮型:5,030円 (2年間分)

1-3. 授業料等減免・奨学金

大阪公立大学法科大学院では、経済的理由により修学が困難な学生を幅広く支援するため、授業料の全額または一部を免除する授業料減免制度や、特に成績が優秀な学生を対象に入学料や授業料を軽減する特待生制度を設けています。

また、日本学生支援機構(JASSO)をはじめ、民間団体や地方公共団体による給付型・貸与型奨学金の利用も可能です。

加えて、一定の条件を満たす場合には、家計急変時の臨時支援や納付猶予制度を活用できる場合もあります。これらの制度により、学費負担を軽減しながら学修に専念できる環境が整っており、意欲ある学生が安心して学びを継続できる体制が整っています。

1-4. 教育方針・特色

大阪公立大学法科大学院は、「理論と実務の架橋」を教育理念の柱とし、社会における真のプロフェッションとして活躍できる法曹の育成を目指しています。学生一人ひとりに目が届く少人数教育を徹底し、基礎から応用まで体系的に学べるカリキュラムを構築しています。授業は大きく4分野で構成されており、憲法・民法・刑法などの現行法の基礎を体系的に学ぶ「法律基本科目」、弁護士・裁判官・検察官といった実務家教員によるゼミや模擬裁判を通じて実践力を養う「法律実務基礎科目」、法制度の背景や隣接分野の知見を取り入れた「基礎法学・隣接科目」、国際取引や環境法、IT法務など新たな法的課題にも対応できる力を育む「展開・先端科目」がバランスよく配置されています。これらは段階的かつ完結的に履修できるよう設計されており、入学時の学習到達度に応じて、2年短縮型・3年標準型それぞれに適した履修モデルが用意されています。

さらに、教員が学習や進路を継続的にサポートするアドバイザー制度、自治体・企業・法律事務所との連携によるインターンシップなど、教室内外の学びを有機的に結びつける仕組みも充実しています。

こうした教育体制により、学生は理論と実務の双方に強い法曹としての総合力を着実に磨くことができます。

1-5. 過去3年の司法試験合格者数・合格率の推移

大阪公立大学法科大学院、および前身の大阪市立大学法科大学院における司法試験合格者数を確認してみましょう。

【大阪公立大学】

卒業年度受験者数合格者数合格率
2024年度17人3人17.6%
2023年度(※)3人2人66.7%


【大阪市立大学】

卒業年度受験者数合格者数合格率
2024年度19人6人31.6%
2023年度28人4人14.2%
2022年度41人15人36.6%

参照①:国家試験の合格状況|大阪公立大学
参照②:大阪市立大学 国家試験の合格状況|大阪公立大学

大阪公立大学法科大学院の司法試験合格率は、受験者数が少ないため年度ごとの変動が大きく、2024年度は17.6%、前年2023年度は66.7%と極端な差が見られます。

前身の大阪市立大学でも、2023年度から2024年度で14.2%から36.6%まで大きく変動しており、これは母数が小さいことで1人の合否が全体の合格率に直結するためです。

既修・未修別の合格率は公表されていませんが、全国的には未修者コースの合格率が既修者より低い傾向があり、その割合や成績によって全体の合格率が左右されやすい点には注意が必要です。

2. 大阪公立大学法科大学院(ロースクール)の入試情報・募集要項・難易度

ここでは、 大阪公立大学法科大学院の入試情報をご紹介していきます。

なお、詳細な情報を知りたい方は、以下のページから最新の募集要項をご確認ください。

参照:学生募集要項|大阪公立大学 入試情報サイト

2-1. 特別選抜

まずは、「特別選抜(大阪公立大学法学部法曹養成プログラム(法曹コース)修了予定者)」の入試情報を確認していきます。

2-1-1. 入試日程

インターネット出願
登録期間
2025年9月26日(金)10時
~2025年10月10日(金)17時
出願書類提出期間2025年10月6日(月)
~2025年10月10日(金)
合格者発表2025年11月4日(火)10時
入学手続システム
登録期間
2026年1月6日(火)10時
~2026年1月8日(木)15時

2-1-2. 募集人員

特別選抜における募集人員は5人です。入学試験の成績により、募集人員に満たない合格者数となることもあります。

2-1-3. 選抜方法 

「大阪公立大学法学部における学業成績」及び「出願書類の内容を総合的に考慮する”その

他の要素の評”」により行います。

「その他の要素」には、社会人としての経験、法学以外の課程の履修やボランティア活動などの社会的活動、公的資格や特技で本専攻での学びや将来の法曹活動に役立つものが含まれます。さらに、入学志望動機、学部や大学院での成績、外国語能力なども総合的に評価されます。

それぞれの配点は、以下の通りです。

学業成績(※)500
その他の要素の評価40
合 計540

※ 大阪公立大学法学部履修規則第11条第1項にいう法学部専門科目における当該出願者の成績を平均したものを500点に換算する。

2-2. 一般選抜(2年短縮型=既修者コース)

次に、「一般選抜(2年短縮型)」の入試情報を確認していきます。

2-2-1. 入試日程

インターネット出願
登録期間
2025年9月26日(金)10時
~2025年10月10日(金)17時
出願書類提出期間2025年10月6日(月)
~2025年10月10日(金)
試験日2025年12月6日(土)
〜2025年12月7日(日)
合格者発表2025年12月22日(月)10時
入学手続システム
登録期間
2026年1月6日(火)10時
~2026年1月8日(木)15時

2-2-2. 募集人員

入学定員募集区分募集人員
30名3年標準型10名程度
2年短縮型20名程度
(特別選抜5名を含む)

3年標準型と2年短縮型の両方に出願することも可能です。

なお、選抜試験の成績により、入学定員に満たない合格者数となることもあります。

2-2-3. 選抜方法 

「選抜試験の成績」及び「出願書類の内容を総合的に考慮する “その他の要素の評

価”」により行います。

選抜試験では、2日間にわたり論述式の法律科目試験を行います。また、「その他の要素」では、社会人としての経験、法学以外の課程の履修やボランティア活動などの社会的活動、公的資格や特技で本専攻での学びや将来の法曹活動に役立つものなどが評価対象となります。さらに、入学志望動機、学部や大学院での成績、外国語能力なども総合的に評価されます。

「選抜試験の試験科目・配点」及び「その他の要素の評価」は以下の通りです。

選抜試験その他の要素の評価合計
憲法10040540
民法120
刑法70
刑事訴訟法50
商法80
民事訴訟法80

※ 合否判定に際して、総得点が同じ場合、選抜試験の成績上位者が優先されることがあります。

なお、2年短縮型選抜では、法律科目試験の各科目に基準点が設けられています。下記の①又は②に該当する場合、他の科目の成績の如何に関わらず不合格となります。

① 憲法、民法、刑法のいずれか1科目の試験成績が基準点に達しなかった者
② 商法及び民事訴訟法の2科目の試験成績がいずれも基準点に達しなかった者

2-3. 一般選抜(3年標準型=未修者コース)

最後に、「一般選抜(3年標準型)」の入試情報を確認していきます。

2-3-1. 入試日程

インターネット出願
登録期間
2025年9月26日(金)10時
~2025年10月10日(金)17時
出願書類提出期間2025年10月6日(月)
~2025年10月10日(金)
試験日2025年12月7日(日)
合格者発表2025年12月22日(月)10時
入学手続システム
登録期間
2026年1月6日(火)10時
~2026年1月8日(木)15時

2-3-2. 募集人員

「一般選抜(2年短縮型)」における募集人員をご参照ください。

2-3-3. 選抜方法

「選抜試験の成績」及び「出願書類の内容を総合的に考慮する “その他の要素の評価”」により行います。

選抜試験では、社会一般に関する題材についての論述式試験として、小論文試験が実施されます。この試験では、法科大学院における履修の前提として必要な「文章の正確な読解力」「理論的な推論・分析・判断を的確に行うことのできる能力」「思考のプロセスと結果とを明確に表現する能力」が備わっているかどうかが判断されます。

また、「その他の要素」では、社会人としての経験、法学以外の課程の履修やボランティア活動などの社会的活動、公的資格や特技で本専攻での学びや将来の法曹活動に役立つものなどが評価対象となります。さらに、入学志望動機、学部や大学院での成績、外国語能力なども総合的に評価されます。

「選抜試験」及び「その他の要素の評価」における配点は以下の通りです。

選抜試験その他の要素合計
20040240

2-4. 入学試験の結果

入学年出願枠受験者数合格者数倍率
2025年特別選抜5人5人1
一般選抜2年短縮型85人27人3.1
3年標準型64人14人4.6
2024年特別選抜4人4人1
一般選抜2年短縮型75人29人2.6
3年標準型77人20人3.9
2023年特別選抜1人1人1
一般選抜2年短縮型45人19人2.4
3年標準型52人22人2.4

3. 大阪公立大学法科大学院に関するよくある質問(FAQ)

Q.大阪公立大学法科大学院に入れば、司法試験に合格できる?

A.司法試験合格には、幅広い法律知識と論理的思考力、答案作成力の総合的な力が必要です。大阪公立大学法科大学院では、少人数教育や実務家教員による指導、模擬裁判・法律相談といった実践的なカリキュラムを通じ、司法試験を見据えた力を養成できます。とはいえ、最終的な合否は本人の学習量と学習方法に左右されるため、自主的な学習姿勢が不可欠です。

Q.大阪公立大学法科大学院は司法試験ランキングで何位?

A.令和6年(2024年)の司法試験では、「法科大学院別 合格者数ランキング」で全国23位、「合格率ランキング」では18位に入っており、例年中堅クラスの成績を維持しています。

受験者数が少ないため年度ごとの変動は大きいものの、少人数制を活かしたきめ細かな指導と実務家教員による実践的教育により、安定して合格者を輩出している点が特徴です。

※ 法科大学院別の司法試験合格者数・合格率ランキングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

Q.2年短縮型と3年標準型はどちらを選ぶべき?

A.法学の基礎を大学で十分に学んでおり、司法試験合格までの学習計画を早期から立てられる方は2年短縮型が適しています。一方、法学未修者や基礎知識に不安がある場合、3年標準型を選ぶことでじっくり基礎から積み上げることが可能です。大阪公立大学法科大学院では、それぞれに合わせた履修モデルや学習支援が用意されているため、自分の学習経験や生活状況を踏まえて選択することが重要です。

Q.他大学の法学部出身者や社会人でも入学できますか?

A.他大学の法学部出身者や、法学未修の社会人でも入学は可能です。入試制度は多様な経歴の受験者に対応しており、バックグラウンドに応じた選抜方法が用意されています。特に社会人の場合、これまでの職務経験を学びに活かせる場面も多く、法的知識を身につけることでキャリアの選択肢をさらに広げられます。

Q.県外から大阪公立大学法科大学院に進学するメリットは?

A.大阪市内に位置するため、関西圏の司法試験予備校や法律事務所、裁判所などとの距離が近く、学習環境やネットワーク構築に有利です。また、交通アクセスが良好で、関西圏全域から通学可能な立地も魅力です。さらに、都市部にありながら公立大学としての学費の安さも大きなメリットで、経済的負担を抑えつつ充実した法学教育を受けられます。

4. 大阪公立大学法科大学院(ロースクール)の過去問

【2025年度】

問題及び出題の趣旨
2年短縮型憲法
民法
刑法・刑事訴訟法
商法
民事訴訟法
3年標準型小論文試験


【2024年度】

問題及び出題の趣旨
2年短縮型憲法
民法
刑法・刑事訴訟法
商法
民事訴訟法
3年標準型小論文試験


【2023年度】

問題及び出題の趣
2年短縮型憲法
民法
刑法・刑事訴訟法
商法
民事訴訟法
3年標準型小論文試験


【2022年度】

問題及び出題の趣旨
2年短縮型憲法
民法
刑法・刑事訴訟法
商法
民事訴訟法
3年標準型小論文試験

【2021年度】 

※大阪市立大学法科大学院の入試問題となります。

問題及び出題の趣旨
2年短縮型憲法
民法
刑法・刑事訴訟法
商法
民事訴訟法
3年標準型小論文試験

5. 大阪公立大学法科大学院(ロースクール)のまとめQ&A

Q.大阪公立大学法科大学院の司法試験合格率はどのくらいですか?

A.2024年度の司法試験合格率は17.6%(受験者17人中3人合格)です。前身の大阪市立大学を含めると2024年度は31.6%の合格率を記録しています。

Q.大阪公立大学法科大学院の入試日程はいつですか?

A. 2026年度入試は2025年9月26日から出願開始、試験日は12月6日〜7日(2年短縮型)・12月7日(3年標準型)、合格発表は12月22日です。

Q.大阪公立大学法科大学院の学費はいくらですか?

A.入学料は大阪府民282,000円・その他382,000円、年間授業料は804,000円です。授業料減免制度や特待生制度により負担軽減も可能です。

Q.2年短縮型と3年標準型の違いは何ですか?

A.2年短縮型は法学既修者向けで論述式法律科目試験、3年標準型は法学未修者向けで小論文試験が実施されます。募集人員はそれぞれ20名程度、10名程度です。

Q.大阪公立大学法科大学院の入試難易度はどの程度ですか?

A.2025年度入試の倍率は2年短縮型が3.1倍、3年標準型が4.6倍でした。特別選抜は1.0倍と競争率は比較的低くなっていますが、法学部段階での法曹養成プログラムにおいて一定の成績要件をクリアする必要があります。

Q.社会人でも大阪公立大学法科大学院に入学できますか?

A.入学可能です。社会人経験は「その他の要素」として評価対象となり、これまでの職務経験を法学教育に活かすことができます。

Q.大阪公立大学法科大学院はどこにありますか?

A.大阪市住吉区杉本の杉本キャンパスにあります。JR阪和線「杉本町駅」東口すぐ、地下鉄御堂筋線「あびこ駅」から徒歩約15分でアクセス良好です。

Q.大阪公立大学法科大学院の教育の特色は何ですか?

A.「理論と実務の架橋」を理念とし、少人数教育を徹底しています。法律基本科目、法律実務基礎科目、展開・先端科目をバランスよく配置したカリキュラムが特徴です。

Q.大阪公立大学法科大学院の司法試験ランキングでの順位は?

A.2024年司法試験では合格者数ランキング全国23位、合格率ランキング18位に位置し、中堅クラスの安定した成績を維持しています。

Q.他大学出身者でも大阪公立大学法科大学院を受験できますか?

A. 受験可能です。多様な経歴の受験者に対応した入試制度があり、法学部以外の出身者や未修者向けの3年標準型コースも設置されています。

伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。