弁護士のやりがいとは?仕事内容や大変な点についても解説
法曹
【記事のポイント】
- やりがい:弁護士は依頼者から直接感謝され、自分で選んだ分野で正義を実現できる点に最大のやりがいがあるといえます。
- 仕事内容:民事・刑事・企業法務など分野は幅広く、勤務弁護士として経験を積み専門を絞る道も独立する道も選ぶことができます。
- 収入と働き方:裁判官や検察官と違い収入や労働時間に法定の上限がなく、働き方次第で高収入も両立も目指せます。
- 大変な面:複数案件を並行する激務や精神的プレッシャーも伴うことから、共同事務所などで負担を抑える選択肢も広がっています。
- 将来性:書類作成はAIが担う一方、交渉や対人業務など弁護士の中核は人が担い続け、活躍の場はむしろ広がるでしょう。
弁護士は自分で働き方を選べる職業です。依頼者から感謝を伝えられる機会も多く、日々の仕事の中に大きなやりがいや達成感を感じることのできる職業と言えます。
今回は、弁護士のやりがいとして代表的なものを紹介したうえで、弁護士の仕事内容や、やりがいを感じる反面、大変な点についても解説します。司法試験の合格を目指している方は、職業選びの参考としてぜひご活用ください。
【目次】
1. 弁護士のやりがい
弁護士の仕事のどんなところにやりがいを見出すかは人それぞれですが、その中でも多くの弁護士がやりがいとして感じている代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 依頼者から感謝を伝えられる機会が多い
- さまざまな分野の仕事にチャレンジできる
- 独立して仕事ができる
- 緊張感をもって仕事に取り組める
- 日々の仕事で達成感を得られる
- 高額の収入を目指すこともできる
- AIには代替できない将来性のある仕事である
それぞれの内容について具体的に解説します。
1-1. 依頼者から感謝を伝えられる機会が多い
弁護士は、裁判官や検察官と異なり、中立の立場ではなく、依頼者の味方として仕事ができるので、依頼者が抱える問題を解決したときには直接感謝を伝えられる機会も多いです。
困っている人、自分が助けたいと思う人を助けられるため、自分にとっての正義を実現することもできます。訴訟に発展させることなく解決まで持ち込める事件もあれば、訴訟案件では、一つの事件が解決するまでに数年かかることもあります。
迅速に問題を解決できた事件や、長い時間をかけて解決した事件で、依頼者からの感謝を伝えられたときの充実感は何事にも代えがたいものと言えるでしょう。
1-2. さまざまな分野の仕事にチャレンジできる
弁護士が取り扱う仕事の範囲は幅広く、分野もさまざまなものがあります。
弁護士として独立した場合には、自分の興味がある分野の事件に注力して、興味がない分野の仕事を断ることも可能です。
勤務弁護士(アソシエイト)の場合は、自分で担当する事件を選ぶのは難しいと思いますが、勤務弁護士の間にさまざまな分野の事件に触れることで、自分に合った働き方や興味のある分野を見つけることができます。勤務弁護士としての経験が、自分が目指すべき弁護士像を見つけるための礎となるでしょう。
弁護士としての働き方は、人によってさまざまです。
一つの分野に注力して専門性を磨くこともできますし、逆にさまざまな事件に対応してオールラウンダーとして活躍することもできます。
一つの分野の専門家を目指す場合でも、さまざまな分野を取り扱う場合でも、一つひとつの仕事から成長を実感できるのは、弁護士としてのやりがいの一つと言えるでしょう。
1-3. 独立して仕事ができる
弁護士の仕事は、組織に属さずに独立して行うことができます。独立して仕事をしている人はもちろんのこと、弁護士事務所に所属している人でも一つひとつの事件は1人で担当する機会が多いものです。
独立して仕事をすると、他からの干渉を受けない代わりに責任も全て自分で背負うことになります。一つひとつの仕事に強い責任感を持つことができるのは、弁護士としてのやりがいと言えるでしょう。
1-4. 緊張感をもって仕事に取り組める
弁護士が仕事で取り扱う時間は、似たような事件でも一つひとつの事件に異なる事情があり、ひとつとして同じ事件はありません。そのため、ルーティンワークとして淡々と仕事を進めることはできず、常に緊張感を持って仕事に取り組まなくてはなりません。
同じ仕事を続けていると、毎日が同じことの繰り返しでつまらなく感じてしまうこともあるでしょう。弁護士の仕事は毎日が新鮮で、日々新たな気持ちで仕事に取り組むことができます。
またそのような働き方をしているからこそ弁護士の存在意義も大きなものになります。
1-5. 日々の仕事で達成感を得られる
弁護士の仕事では、判決や示談の成立などのはっきりとした結果が出るものも多く、上手くいったときには大きな達成感を得られます。
一つひとつの事件で結果が出るまでには、労力と時間がかかります。特に長い年月をかけた事件で満足できる判決を得られたときの達成感は言葉に尽くせないものがあります。
それ以外でも、長い時間をかけた書面が完成したときや、法律相談で相談者から感謝を伝えられたときなど、日々の仕事で大きな達成感を得ることができるのも弁護士の魅力の一つだと言えます。
1-6. 高額の収入を目指すこともできる
弁護士の仕事には、一つの仕事で高額な報酬を得られるものも少なくありません。独立して仕事をしていれば、労働時間に縛られることもありません。
なお、弁護士の初任給は事務所の規模によって差が大きく、大手(いわゆる五大法律事務所等)では初年度から1千万円を超える年収を得られることもあります。一方で、事務所の規模を問わず、経験を重ねてキャリアを築くことで、着実に年収を伸ばしていくことができる職業です。
裁判官や検察官の年収には法律で決められた上限がありますが、弁護士は働き方次第で裁判官や検察官の上限を超える収入を目指すことができる職業です。
参照:裁判官の報酬等に関する法律,検察官の俸給等に関する法律
※弁護士の年収について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
1-7. AIには代替できない将来性のある仕事である
AIの台頭によって、弁護士の仕事がなくなってしまうではないかという不安を感じている人は少なくありません。
たしかに、弁護士業務の中で、これまで膨大な時間を費やしていた書類作成業務や判例との照合業務、賠償金の算定や翻訳作業などはAIの仕事となっていくことは間違いありません。
しかし、弁護士の仕事とは、決してそれら事務作業だけではありません。本来時間をかけるべき交渉や相談など対人業務は、まだまだAIに代替できるものではなく、「事務作業はAI、対人業務は人間」というように、効率よく業務を進めるための棲み分けができてくることが予想されます。
AIは脅威ではなく、むしろ弁護士が本来時間をかけるべきことに時間をかけられるよう貢献してくれる良きツールとして共存することになるのです。
その結果、弁護士の活躍の場はますます広がることになり、やりがいも増していくことでしょう。
※AI時代における弁護士の将来性について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
2. 弁護士の仕事内容
弁護士が関わる仕事にはさまざまなものがあります。弁護士の仕事のうち、どの部分にやりがいを見出すかは人それぞれです。
ここでは、分野別の弁護士の仕事内容を簡潔に紹介します。
2-1. 民事事件
民事事件とは、個人間や会社同士の紛争のことです。わかりやすい例としては、次のようなものが挙げられます。
- 貸金返還請求
- 債権回収
- 交通事故
- 労働事件
- 離婚トラブル
- 相続トラブル
民事事件における弁護士の仕事内容としては、法律相談や相手方との交渉、訴訟対応などがあります。
弁護士の仕事として裁判をイメージする方も多いとは思いますが、実際には裁判に至るまでの交渉で解決する事件の方が多いです。
示談交渉や裁判を進行させるには、通知書や準備書面などの書面作成が必要となります。民事事件を多く取り扱う弁護士は、労働時間の多くを書面作成にあてています。
2-2. 企業法務
企業法務では、企業顧問やインハウスローヤーとして、契約書の作成や法務に関する助言など業務を行います。
企業法務の仕事は、紛争を前提としないものが多いです。むしろ、リーガルチェックやコンプライアンス意識を向上させる取り組みによって、紛争を予防し法律面から企業の発展を支援します。
2-3. 刑事事件
刑事事件では、被疑者や被告人の弁護人として、被疑者・被告人の権利を擁護します。
無罪を主張する場合だけでなく、被告人が罪を認めている場合でも、少しでも被告人にとって有利な判決となるように弁護活動を行います。
刑事事件を多く取り扱う弁護士は、拘置所や留置場での被疑者・被告人との接見や、被害者との示談交渉など、事務所の外で活動する時間も多くなります。
逮捕・勾留段階の事件では、時間制限が厳しくなるため、休日や深夜でも活動することもあります。
2-4. その他
弁護士の中には、セミナーや講演会を行ったり、大学での指導を行ったりと通常の弁護士業務以外でも幅広く活動している人もいます。
法律の専門的知識を活かせる仕事は幅広くあるため、弁護士資格を持っていると、自分に合った働き方、仕事内容を選ぶことができるでしょう。
3. 弁護士の仕事には大変な面もある
弁護士はやりがいのある仕事である反面、大変な面もあります。
ここでは、弁護士の仕事で大変と感じる面について解説します。
3-1. 常に仕事を抱えることになる
多くの弁護士は、一つの事件に専念するのではなく、常に複数の事件を抱えて仕事をしています。そのため、示談の成立や判決によって一つの仕事が終わったとしても、また新しい仕事がスタートするなど、全ての仕事が終わるということはなかなか無いでしょう。
自分の担当する事件が多くなると、日中は電話対応や打合せ、期日への出廷でスケジュールが埋まってしまいます。そうなると、夜間や休日で書面作成をすることになるため、休みを取るのが難しくなってしまいます。
そのため、仲間の弁護士と協働したり、勤務弁護士を雇い入れたりする事務所経営要素も求められることも想定されます。
弁護士は、仕事が充実するほどに忙しくなり、ひとりだけではワークライフバランスが取りづらくなることもある職業と言えます。
3-2. 精神的なプレッシャーが大きい
弁護士が取り扱う仕事は、一つひとつが依頼者にとって重要な事件です。仕事上でのミスは許されず、一つひとつの仕事で最善の結果を目指すことになるため、常にプレッシャーを抱えることになります。
事件の経過や結果によっては、事件の相手方だけでなく依頼者からクレームを受けることもあるでしょう。また、依頼者の悩みに寄り添って仕事を進めるため、感情移入の仕方を間違えてしまうと自分自身のメンタルに不調を抱えてしまう場合もあります。
弁護士の仕事を進めるうえでは、体力や熱い気持ちだけでなく精神的なタフさや冷静さも求められます。
4. 弁護士のやりがいに関するよくある質問(FAQ)
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弁護士の年収はいくらで、やりがいに見合う収入を得られますか?
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弁護士の収入は勤務形態と経験年数で大きく変動します。日本弁護士連合会が公表する「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」では、所得は経験年数とともに段階的に上昇する傾向が示されており、収入面でも長期的なやりがいを得やすい職業です。
なお、企業内弁護士(インハウスローヤー)は安定性とワークライフバランス、独立弁護士は裁量と上限のない収入という形で、やりがいの種類も収入構造も異なります。
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弁護士の労働時間や休日はどれくらいで、やりがいと両立できますか?
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多くの弁護士は複数案件を並行して抱えるため、日中の打合せや出廷と夜間の書面作成が重なり、休日返上で働く時期もあります。一方で独立弁護士は受任件数を自分で調整でき、自分なりのペース配分でやりがいと健康を両立する人も多くいます。もっとも、近年は日本弁護士連合会も働き方改革を進めており、共同事務所や勤務弁護士制度の活用でワークライフバランスを確保する選択肢が広がっています。
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弁護士・裁判官・検察官でやりがいの感じ方はどう違いますか?
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裁判官は中立公正な立場で判断を下す責任に、検察官は公益の代表として被疑者を訴追する使命にやりがいを感じます。弁護士は依頼者の味方として直接感謝を受け取れる点が特徴で、自分の選んだ事件や分野で正義を実現できる自由度の高さに醍醐味があります。
なお、法曹三者のうち弁護士のみが収入・働き方・専門分野を自分で選択でき、やりがいの幅が最も広い職業といえます。
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民事事件・刑事事件・企業法務ではやりがいの感じ方はどう異なりますか?
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民事事件は依頼者の生活や財産を守る達成感、刑事事件は被疑者の権利擁護と社会復帰支援、企業法務は紛争予防と企業発展への貢献にやりがいがあります。同じ弁護士業務でも、関わる人・解決する問題・時間軸が大きく異なり、自分に合った分野を選びやすい職業です。もっとも、勤務弁護士の時期に複数分野を経験してから専門領域を絞ることが、長期的なやりがい発見の近道となります。
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弁護士に向いている人の特徴は何ですか?
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困っている人を助けたいという正義感、論理的思考力、複雑な事案を粘り強く分析する忍耐力を備えた人は弁護士に向いています。加えて、依頼者と長期にわたって信頼関係を築くコミュニケーション能力と、精神的タフさも重要な要素です。
なお、文献を読み込む学術的素養と、相手の感情を汲み取る対人感受性を併せ持つ人は、特に幅広い分野でやりがいを発揮できます。
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女性弁護士もやりがいを感じながら働き続けられますか?
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日本弁護士連合会の統計によると女性弁護士の人数は年々増加しており、家事事件・労働事件・子どもの権利擁護など女性の視点が活きる分野で活躍が広がっています。育児と両立しやすい働き方の選択肢も増え、長期的にやりがいを追求できる環境が整いつつあります。
出典:日本弁護士連合会「弁護士数の推移/男女別年齢構成/男女別弁護士数の推移」
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「弁護士はやめとけ」と言われますが、それでもやりがいはありますか?
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「やめとけ」と言われる理由の多くは収入面の二極化や激務などの労働環境です。一方で、依頼者から直接感謝される機会や事件解決時の達成感は他職種では得にくく、ネガティブ情報以上のやりがいを感じる弁護士も多数います。なお、勤務形態・専門分野・事務所規模を戦略的に選ぶことで、収入面・働き方面の不安は大きく緩和できます。
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AIに仕事を奪われた場合、弁護士のやりがいは失われますか?
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AIが代替するのは書類作成や判例検索などの定型業務であり、依頼者との交渉・対人カウンセリング・倫理的判断など弁護士業務の中核は人間が担い続けます。むしろAIを活用することで、本来の対人業務に時間を割けるようになり、やりがいは増す可能性が高い職業です。
もっとも、AIリテラシーを持ち最新のリーガルテックを使いこなせる弁護士が、今後より高いやりがいと評価を得る時代に移行しつつあります。
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新人弁護士(アソシエイト)でも仕事のやりがいを感じられますか?
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新人時期は先輩弁護士の指導を受けながら複数分野を経験する貴重な期間で、初めて担当した事件で依頼者から感謝された瞬間に強いやりがいを感じる人が多いです。専門分野が定まる前のこの時期にこそ、弁護士業務の幅広さと奥深さを実感できます。
なお、勤務弁護士として培った経験は、将来独立する際にも、専門分野を磨く際にも、共通の財産になります。
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独立すると弁護士のやりがいは増えますか?
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独立すると受任する事件・専門分野・働き方をすべて自分で決められるため、自分が本当に取り組みたい仕事に集中できる点で大きなやりがいが生まれます。一方で経営責任も自分で負うため、責任の重みとやりがいは表裏一体の関係にあります。もっとも、独立後にやりがいを最大化するには、勤務時代に基礎的な実務スキルと専門分野の足場を確立しておくことが重要です。
5. 弁護士のやりがいに関するまとめ
弁護士の仕事は多岐に渡りますが、自分なりの働き方を選択できる魅力的な職業です。
どの仕事も、大きな責任とそれゆえ高い緊張感を日々感じながら、世の中の紛争を解決したり、困っている人を助けることができる、非常に社会的意義の高い仕事です。
同時に、さまざまな案件に対応することで充実したやりがいを感じる毎日を送ることができます。
司法試験の合格を目指している方はぜひ、自分は何をしたくて弁護士になるのか、どんなことにやりがいを感じるのかを考えてみることをおすすめします。
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