司法試験の合格率・大学別合格ランキングから読み解く司法試験攻略の秘訣

司法試験

2025年10月31日

もしあなたが、「司法試験にチャレンジしてみたいけれど、難しすぎて合格なんてできるわけがない」と思っているのなら、ぜひ、この記事を最後まで読んでいただきたいと思います。

司法試験は難易度の高い試験ではありますが、合格は決して不可能なことではありません。

医学部で6年間学ばなければ受験資格を得られない医師国家資格とは異なり、学歴、年齢、国籍を問わず受験可能な予備試験に合格すれば、誰でも司法試験の受験資格を得ることができます。

実は、司法試験とは誰にでも合格のチャンスがある広く門戸が開かれた試験なのです。

(※予備試験合格後、5年間で5回までという受験回数の制限はあります。)

この記事では、2022年司法試験の結果から、合格者数、合格率の過去11年間の推移ほか、法科大学院の合格率ランキングなどをご紹介し、司法試験に合格するためにおすすめの方法などを解説していきます。

1.司法試験とは

司法試験とは、「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験」のことをいいます。(司法試験法第一条)

つまり、法曹三者と言われる裁判官、検察官、弁護士になるためには、司法試験に合格することが必須となります。

司法試験は、2006年(平成18年)に現行の司法試験が開始されて以来、毎年5月に4日間の日程で行われていましたが、2023年(令和5年)からは、毎年7月に4日間の日程で行われることに変更となりました。

【2023年(令和5年)司法試験日程】

7月12日(水)論文式試験選 択 科 目(3時間)
公法系科目第1問(2時間)
公法系科目第2問(2時間)
7月13日(木)民事系科目第1問(2時間)
民事系科目第2問(2時間)
民事系科目第3問(2時間)
7月15日(土)刑事系科目第1問(2時間)
刑事系科目第2問(2時間)
7月16日(日)短答式試験憲法(50分)
民法(75分)
刑法(50分)

司法試験の各試験科目は下記の通りです。

●短答式試験
・憲法、民法、刑法の3科目

●論文式試験
・公法系科目(憲法・行政法)
・民事系科目(民法・商法・民事訴訟法)
・刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)
・選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)のうち1科目)

※司法試験の詳細についてはこちらもご覧ください。
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2.司法試験受験資格を得るための2つのルートとは

司法試験の受験資格を得るためには、「予備試験ルート」と「法科大学院ルート」という2つのルートがあります。

それぞれの特徴について解説します。

2-1.誰でも受験可能な予備試験ルート

予備試験に合格することによって、司法試験の受験資格を得ることができます。

予備試験は受験資格の制限は一切なく、誰でも何度でも受験が可能です。

また、しっかりと準備をすれば高校や大学在学中でも司法試験合格が可能なため、法科大学院を修了することが必須の法科大学院ルートと比べ、時間的、経済的負担が少ないということが最大のメリットです。

試験は、短答式試験→論文式試験→口述試験と3段階で行われ、それぞれの試験の合格者が次の試験の受験資格を得ることができ、最後の口述試験の合格者が予備試験合格者となるシステムです。

3段階を突破する最終合格率は毎年4%程度であり、それゆえに難関試験であると言われることもあります。ただし、誰でも受験が可能なため受験者のレベルの差は大きく、いかに正しい準備をしたかどうかで、大きな差が出る試験です。

実質、司法試験と同等の実力が問われるため、予備試験合格者の司法試験合格率は非常に高く、2022年(令和4年)の司法試験における予備試験合格者の合格率は実に97.53%

予備試験に合格すれば高確率で司法試験に合格できると言ってよいでしょう。

【2021年(令和3年)予備試験合格者数と合格率】

受験者数合格者数合格率
短答式試験11717272323.24%
論文式試験263347918.19%
口述試験47646798.10%
予備試験全体117174673.99%

予備試験の各試験科目は下記の通りです。

●短答式試験(マークシート方式)
・法律基本7科目(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)
・一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学、英語)

●論文式試験
・法律基本7科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)
・法律実務基礎科目(民事訴訟実務、刑事訴訟実務及び法曹倫理)
・選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)のうち1科目)

●口述試験(口頭試問)
・法律実務基礎科目(民事訴訟実務、刑事訴訟実務及び法曹倫理)

予備試験の日程については、2022年までは5月に短答式試験(1日)、7月に論文式試験(2日間)、10月に口述試験(2日間)が行われていましたが、2023年(令和5年)より受験日程が5月スタートから7月スタートに変更となりますので、ご注意ください。

【2023年(令和5年)予備試験日程】

2023年(令和5年)7月16日(日)短答式試験
 2023年(令和5年)9月9日(土)、10日(日)論文式試験
 2024年(令和6年)1月20日(土)、21日(日)口述試験

※予備試験の詳細についてはこちらもご覧ください。
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2-2.在学中に司法試験受験資格が得られる法科大学院コース

法科大学院(ロースクール)とは、2004年(平成16年)4月から開校された質の高い法律家の養成を目的とした専門職大学院のことです。 

標準修業年限が2年間の法学既修者コースと、3年間の法学未修者コースがあります。

2022年(令和4年)までは、法科大学院の修了をもって司法試験の受験資格を得ることができていましたが、2023年(令和5年)からは、下記の要件を満たした場合、法科大学院在学中に司法試験の受験資格を得ることができるようになりました。

◉当該法科大学院において所定科目単位を修得していること
◉司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に当該法科大学院の課程を修了する見込みがあること

また、2019年度の大学法学部入学者より適用された法曹コースは、大学を3年間で卒業し法科大学院に進学、最短5年で司法試験合格を目指すことができる新しい制度です。

この新制度により、司法試験合格までの時間と費用を短縮できるようになりました。

※法曹コースの詳細についてはこちらもご覧ください。
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3.予備試験ルートと法科大学院ルートどちらがおすすめ?

予備試験ルートと法科大学院ルート、どちらを選択すればいいのか迷ってしまう方も少なくないと思います。

難易度は高いが、学生から社会人まで誰でも司法試験合格が目指せる予備試験ルート。

難易度の高い予備試験を受けることなく、司法試験受験資格が得られる法科大学院ルート。 

まずは、両者の合格率から比較してみましょう。

3-1.予備試験ルートと法科大学院ルートの合格率を比較

2022年(令和4年)の司法試験全体、法科大学院修了者、予備試験合格者の受験者数、最終合格者数、合格率の比較は下記の通りです。

司法試験全体の合格率は 45.52%、現行の司法試験に完全移行した2012年以降で最も高い合格率となりました。

また、予備試験ルートの合格率は97.53%と、こちらも過去最高の合格率となりました。

対して、法科大学院ルートの合格率は37.65%と、予備試験ルートの合格率と大きく差が開いてしまいました。

【2022年(令和4年)司法試験の受験者数・合格者数・合格率】

受験者数最終合格者数合格率(対受験者数)
司法試験全体3,082人1,403人45.52%
法科大学院合計2,677人1,008人37.65%
予備試験合格者405人395人97.53%

法務省「令和4年司法試験の結果について」

【司法試験の受験者数・合格者数・合格率の推移】

全体予備試験合格者
受験者数合格者数合格率受験者数合格者数合格率
2012年(平成24年)8,387人2,102人25.06%85人58人68.24%
2013年(平成25年)7,653人2,049人26.77%167人120人71.86%
2014年(平成26年)8,015人1,810人22.58%244人163人66.80%
2015年(平成27年)8,016人1,850人23.08%301人186人61.79%
2016年(平成28年)6,899人1,583人22.95%382人235人61.52%
2017年(平成29年)5,967人1,543人25.86%400人290人72.50%
2018年(平成30年)5,238人1,525人29.11%433人336人77.60%
2019年(令和元年)4,466人1,502人33.63%385人315人81.82%
2020年(令和2年)3,703人1,450人39.16%423人378人89.36%
2021年(令和3年)3,424人1,421人41.50%400人374人93.50%
2022年(令和4年)3,082人1,403人45.52%405人395人97.53%

2012年-2022年法務省発表データを集計

3-2.法科大学院別合格率ランキング

次に、法科大学院別の受験者数・合格者数・合格率ランキングを見てみましょう。

合格者数、合格率ともにトップは京都大学で、合格率では昨年に続き2連覇となりました。

【2022年(令和4年)法科大学院別の受験者数・合格者数・合格率ランキング】※合格者が1名以上の法科大学院

順位法科大学院名受験者数最終合格者数合格率(対受験者数)
1京都大法科大学院175人119人68.00%
2東京大法科大学院192人117人60.94%
3一橋大法科大学院110人66人60.00%
4慶應義塾大法科大学院181人104人57.46%
5東北大法科大学院48人27人56.25%
6愛知大法科大学院4人2人50.00%
7神戸大法科大学院111人111人48.65%
8大阪大法科大学院111人51人45.95%
9早稲田大法科大学院232人104人44.83%
10創価大法科大学院32人12人37.50%
11大阪市立大法科大学院41人15人36.59%
12九州大法科大学院66人22人33.33%
13南山大法科大学院15人5人33.33%
14筑波大法科大学院55人18人32.73%
15日本大法科大学院75人24人32.00%
16同志社大法科大学院81人25人30.86%
17岡山大法科大学院26人8人30.77%
18関西大法科大学院53人15人28.30%
19北海道大法科大学院54人15人27.78%
20近畿大法科大学院11人3人27.27%※募集停止
21名古屋大法科大学院52人14人26.92%
22中央大法科大学院191人50人26.18%
23専修大法科大学院27人7人25.93%
24立命館大法科大学院75人19人25.33%
25西南学院大法科大学院16人4人25.00%※募集停止
26関西学院大法科大学院29人7人24.14%
27東京都立大法科大学院72人17人23.61%
28広島大法科大学院22人5人22.73%
29熊本大法科大学院9人2人22.22%※募集停止
30法政大法科大学院54人12人22.22%
31千葉大法科大学院48人10人20.83%
32甲南大法科大学院29人6人20.69%※募集停止
33福岡大法科大学院21人4人19.05%
34明治大法科大学院86人16人18.60%
35成蹊大法科大学院6人1人16.67%※募集停止
36駒澤大法科大学院31人5人16.13%※募集停止
37立教大法科大学院21人3人14.29%※募集停止
38琉球大法科大学院29人4人13.79%
39上智大法科大学院45人6人13.33%
40学習院大法科大学院40人5人12.50%
41名城大法科大学院9人1人11.11%※募集停止
42横浜国立大法科大学院21人2人9.52%※募集停止
43青山学院大法科大学院11人1人9.09%※募集停止
44金沢大法科大学院12人1人8.33%

法務省「令和4年司法試験の結果について」

3-3.法科大学院ルートでも予備試験受験!?

法科大学院修了によって司法試験受験資格が得られる法科大学院ルートですが、毎年100名前後の法科大学院生が修了を待たずして在学中に予備試験ルートによって司法試験に合格しています。

(2022年(令和4年)の試験で112名の方が合格されました。※下記表参照)

同年の予備試験ルートからの司法試験合格者が395名ですから、そのうちの1/3近くが法科大学院在学中(出願時)の方だったのです。

予備試験ルートからの司法試験合格率97.53%という数字を見てもわかる通り、予備試験のための勉強は、単に司法試験受験資格を得るためだけではなく、司法試験の合格に直結することになります。

したがって、1年でも早く司法試験合格を勝ち取りたいという意欲のある受験生は、積極的に予備試験を受験しているのです。

もしあなたが法曹の仕事に就くことに興味があるなら、できるだけ早いタイミングで予備試験の勉強を始めることをおすすめします。

大学入学と同時に勉強をスタートすれば、合格のために十分な時間があります。

仮に、法曹の仕事に就かなかったとしても、法律を学ぶこと、また論理的思考を鍛えることは決して無駄ではなく、社会人として大きな強みになることは間違いありません。

【2022年(令和4年)司法試験合格者「職種別内訳」(予備試験ルート)】

職種別受験者数合格者数
公務員2221
会社員3938
法律事務所事務員55
塾講師32
自営業44
大学生150149
大学院生11
法科大学院生114112
無職5957
その他86
合計405395

法務省「令和4年司法試験の結果について」

4.効率を重視するなら予備校利用がおすすめ!

それでは、合格率4%の難関試験でもある予備試験に合格するための勉強はどのようにしたらよいのでしょうか。

もしあなたが、もっとも効率よく勉強をしていきたいとお考えなら、予備校を利用することも選択肢のひとつとして検討されてはいかがでしょうか。

大学在学中から予備校で勉強することにより、在学中に司法試験に合格し、法科大学院に進学する必要がなくなれば、時間的にも経済的にも非常に効率が良いことがおわかりになるでしょう。

また、働きながら学習される方も、限られた時間を効率的に活用するためにも、予備校を利用することが司法試験合格への最短ルートとなります。

例えば、2022年(令和4年)司法試験の伊藤塾の講座受講生の合格実績は下記の通りとなりました。

(※伊藤塾受講生とは、入門講座、講座答練、模試の受講生の合計)

全体合格者1,403名中 伊藤塾受講生1,132名 占有率80.7%

予備試験ルートでの合格者395名中 伊藤塾受講生364名 占有率92.2%

大学在学中(出願時)合格者149名中 伊藤塾受講生143名 占有率96.0%

社会人*合格者70名中 伊藤塾受講生63名 占有率90.0%

(*公務員、会社員、法律事務所事務員、塾講師、自営業)

このように、司法試験の全合格者の8割が、また予備試験ルートにいたっては実に9割以上が伊藤塾の受講生であるという圧倒的な実績が、次なる合格者を生んでいるのです。

5.まとめ

文系の最難関資格と言われている司法試験ですが、むやみに恐れる必要はありません。

司法試験について正しく理解し、正しい勉強法のもとに効率よく学ぶことができれば、むしろ門戸は広く、年齢・学歴・国籍問わず誰にでも合格できるチャンスがある試験なのです。

必要なことは「正しい勉強法」と「続ける力」。
そして、できることなら、その「やる気と努力」を支える豊富な実績に裏打ちされた効率の良い学びのサポートを手に入れていただきたいと思います。

伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。

無料の体験受講や説明会も実施していますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。

2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※1
2024年 予備試験合格者 449人中 405名(90.2%)※2
伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)

なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

祝賀会ムービー

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。