仲介手数料1ヶ月分は違法?知らなきゃ損する法律上のルールをわかりやすく解説

不動産の費用・お金

2026年02月11日

「仲介手数料1ヶ月分って、高すぎない?」
賃貸物件を探していて、こんな疑問を持ったことはないでしょうか。

実は、借主が支払う仲介手数料の上限は、法律上、「家賃0.5ヶ月分+消費税(=0.55ヶ月分)」が原則です。

1ヶ月分を請求すると、直ちに違法というわけではありませんが、そのためには借主の「事前の承諾」が必要です。事前の承諾なしに、仲介手数料1ヶ月分を請求した不動産会社に対して、裁判所が返還を命じた裁判例も存在します。
驚きですよね。

そこで、この記事では、仲介手数料の基本的な考え方から、違法となるケース、そしてこのルールを知ったうえでどう判断すればよいのかまで、わかりやすく解説していきます。

法律の専門知識がなくても読める内容になっていますので、これから部屋探しを始める方も、すでに契約を済ませた方も、ぜひ最後までお読みください。

1. 借主が支払う仲介手数料は家賃0.55ヶ月分が原則

借主が支払う仲介手数料の上限は、家賃0.55ヶ月分(税込)が原則です。
これは法律で定められたルールなので、知らないまま契約すると、本来は支払う必要のない金額を負担してしまう可能性があります。まずは「仲介手数料」の基本と、法律上のルールを確認していきましょう。

1-1. そもそも「仲介手数料」とは

仲介手数料とは、不動産会社(宅建業者)が行う仲介業務に対して支払う報酬のことです。

賃貸借契約は借主と貸主(オーナー)の間で結ばれますが、両者が直接やり取りすることはほとんどありません。間に、宅地建物取引業者が「仲介会社」として入り、物件の紹介や内覧の案内、入居審査の手続き、契約書類の作成など、契約を成立させるための業務全般を行っています。

重要事項説明及び賃貸借契約締結のイメージ図

出典:国土交通省<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

仲介手数料は、この仲介業務に対する報酬として、仲介業者(宅地建物取引業者)に対して支払うものです。稀に、「貸主(オーナー)に対して払うお金」と思っている方もいますが、支払先はあくまで宅地建物取引業者ですので注意してください。

また、仲介手数料は賃貸借契約が成立して初めて発生する費用です。物件の紹介を受けただけ、あるいは内覧に同行してもらっただけでは、支払い義務は生じません。

1-2. 仲介手数料1ヶ月分の請求はできないのが原則

仲介会社が受け取れる報酬の金額は、宅建業法第46条で上限額が決められています。 
具体的には、以下のルールが定められており、借主に対して「家賃0.55ヶ月分」を超える金額を請求するためには、必ず事前の承諾が必要です。

《仲介手数料の基本的な考え方》

【原則】
・不動産業者が、依頼者の双方(貸主及び借主)から受領できる仲介手数料の合計額(税込)は、「1ヶ月分の賃料×1.1倍の金額」以内
・居住用建物の仲介の場合:上記に加え、依頼者の一方(貸主もしくは借主)から受領できる仲介手数料(税込)は、「1ヶ月分の賃料×0.55倍の金額」以内(仲介の依頼を受けるに当たって、当該依頼者の一方より承諾を得ている場合を除く)

出典:国土交通省<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

たとえば、家賃8万円の物件であれば、借主が支払う仲介手数料の上限は44,000円(税込)が原則となります。

にもかかわらず、実態としては、多くの不動産会社では『仲介手数料は家賃1ヶ月分』として請求されるのが実態です。借主側に、このルールが知られていないことが背景にありますが、事前の承諾なく1ヶ月分を請求していれば法律に反しています

1-3. 媒介(仲介)の依頼を受けた後に承諾を得ても違法となる

借主の承諾があれば、家賃1ヶ月分の仲介手数料を請求することもできますが、この承諾は「媒介の依頼を受けるに当たって」得ておく必要があります

依頼後に承諾を得ても、有効とは認められません。つまり、申し込みなどの具体的な手続きが進んだ後に「実は1ヶ月分です」と承諾させても、それは無効だということです。

この依頼者の承諾は、宅地建物取引業者が媒介の依頼を受けるに当たって得ておくことが必要であり、依頼後に承諾を得ても後段に規定する承諾とはいえず、後段の規制を受けるものである。

出典:国土交通省「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について」

ここで問題となるのが、「媒介の依頼を受けるに当たって」とはどの時点を指すのかという点ですが、裁判例では入居者が入居の意思表示をした後、仲介会社から契約締結日の連絡をした時点」だとされています。次章で詳しく解説します。

2. 仲介手数料1ヶ月分の「承諾タイミング」が争われて違法になった裁判例

実際に、仲介手数料に関する承諾をめぐって借主が仲介会社を訴え、一部返還が認められた裁判例があります(東京地判令和元年8月7日)。

《賃貸仲介手数料、上限は半月分 東急リバブルの敗訴確定》

 賃貸住宅を借りる際に家賃1カ月分の仲介手数料を支払った男性が「原則は半月分だ」として、仲介業の東急リバブル(東京)に差額分の返還を求めた訴訟で、東京高裁(大段亨裁判長)は14日、請求を認めた東京地裁判決を支持する判決を言い渡した。東急リバブルの敗訴が確定した。

 国土交通省は告示で、仲介業者が受け取る報酬は家賃の1カ月分以内とし、借り主の承諾がない限りは半月分が上限としている。高裁は地裁判決と同様、「男性から事前に承諾を得ていなかった」と判断した。

引用:産経新聞 2020/1/14 20:23

本件は、賃貸物件の借主が内見・仮申込(手数料は未記載)などを済ませた後、仲介会社から契約締結日の連絡を受けて、初めて仲介手数料が1ヶ月分であることを知らされたという事例です。

この裁判では、「媒介の依頼を受けるに当たって」とは具体的にいつの時点を指すのかが争点となりましたが、裁判所は、入居者が入居の意思表示をした後、仲介会社から契約締結日の連絡をした時点までに承諾を得る必要があったと判断しました。

そして、本件では、その時点で1ヶ月分の承諾が認められなかったとして、仲介会社に対して超過分(家賃0.5カ月分)と遅延損害金の支払いを命じました。

それまで慣習的に行われていた「仲介手数料は1ヶ月分」という業界の商慣行に一石を投じた判決であり、賃貸仲介会社の実務にも大きな影響を与えたといわれています。

3. 大切なのは「仲介手数料」のルールを知ったうえで判断すること

ここまでの内容を読んで、「じゃあ仲介手数料は0.55ヶ月分(税込)しか払わなくていいんだ」と思った方もいるかもしれません。ただ、本記事で伝えたいのは「仲介手数料1ヶ月分の支払いを求められたら、無条件に拒否すべきだということではありません。

大切なのは、「仲介手数料の原則は0.55ヶ月分(税込)である」という法律上のルールを知ったうえで、納得して判断することです。ルールを知っていれば、交渉の成功率も上がりますし、提示された金額が適正かどうかを自分で判断することもできます。

もちろん、積極的に仲介手数料の減額を交渉すべきケースも多いでしょう。ただし、手数料の減額を強く求めた結果、仲介会社が積極的に物件を紹介してくれなくなったり、入居自体を断られるといったリスクもゼロではありません。

交渉の成功率を高めるだけでなく、交渉すべきかどうかを適切に判断するためにも、やはり正しい知識が必要です。

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4. こうした「知らないと損する知識」は宅建士の勉強で身につく

こうした「知らないと損をする知識」は、仲介手数料に限った話ではありません。
たとえば、賃貸借契約の前に必ず行われる「重要事項説明」をご存じでしょうか。これも仲介手数料と同じく、知らないまま契約すると「聞いていなかった」というトラブルにつながりやすいポイントです。

4-1. 仲介手数料だけじゃない!契約前に確認すべき「重要事項説明」

「重要事項説明」とは、宅建業法第35条で義務づけられている手続きで、物件や契約条件に関する重要な情報を、契約を結ぶ前に借主へ説明するものです。

説明の対象には、以下のような項目が含まれます。

● 家賃以外に発生する金銭(敷金・礼金・保証料など)の額と目的
● 契約の解除に関する条件
● 損害賠償額の予定や違約金の有無
● 契約期間と更新に関する事項 など

退去時のトラブルとしてよくあるのが、「敷金が返ってこない」「原状回復費用として高額な請求をされた」というケースです。こうしたトラブルの多くは、契約時に退去時の費用負担や原状回復の条件をきちんと確認していなかったことが原因です。

ほかに、「1年未満の短期解約は違約金が発生する」といった条件を見落としていて、急な転勤や引っ越しの際に想定外の出費が発生するケースも少なくありません。

仲介手数料と同じく、「知っているかどうか」で大きな差がつくポイントです。

4-2. 不動産の知識を体系的に学べるのが「宅建士」の資格

こうした不動産に関する知識を体系的に学べるのが、宅建士(宅地建物取引士)の資格です。

宅建士というと「不動産会社で働く人のための資格」というイメージがあるかもしれません。しかし、試験で問われる内容は、家を借りる・買うといった場面で自分の身を守るための知識そのものです。今回のような「知らないことで損をしてしまう」という状況を防ぐ力が、勉強を通じて自然と身につきます。

《宅建の勉強で身につく知識》
 ● 仲介手数料の上限ルール(今回の記事の内容)
 ● 重要事項説明で何をチェックすべきか
 ● 退去時に敷金はどこまで返ってくるのか
 ● 違約金や解約条件はどこに書いてあるのか など

どれも、不動産会社の言い分を「そういうものか」と受け入れるのではなく、「本当にそうなのか」を自分で判断できるようになる知識です。

不動産は人生のなかでも特に大きな金額が動く場面です。こうした知識を持っているかどうかで、支払う金額が数十万円単位で変わることも珍しくないため、長い目でみれば人生全体で大きな差がつきます。

※宅建士については、以下の記事で詳しく解説しています。

5. 宅建士資格を取るなら伊藤塾がおすすめ

ここまで、仲介手数料のルールや賃貸契約の仕組みについて解説してきました。こうした不動産に関する知識は、いわば「人生で知らないと損をする知識」です。

しかし、こうした知識を自分の身を守るためだけに留めておくのはもったいないかもしれません。なぜなら、あなたが今学んだ知識は、社会的な信頼も厚い国家資格である「宅建士(宅地建物取引士)」へと繋がっているからです。

5-1. 一生モノの国家資格「宅建士」の価値

宅建士は、不動産取引の専門家として認められた国家資格です。 不動産会社には、事務所ごとに業務に従事する者5人に1人以上の割合で、成年者である「専任の宅地建物取引士」を設置する義務があります。この設置義務があるからこそ、不動産業界はもちろん、融資判断で不動産知識を要する金融業界などへの就職・転職においても、宅建士は圧倒的に有利な資格なのです。

「自分や家族の住まいを守る知識」が、そのまま「一生モノの武器」になる。それが宅建士資格の大きな魅力です。

5-2. 伊藤塾の「宅建士合格講座」で、最短ルートの合格を

「でも、法律の勉強なんて難しそう……」と不安に感じる方もいるでしょう。そんな方にこそ、法律資格の専門校として確かな実績を持つ、伊藤塾の「宅建士合格講座がおすすめです。

伊藤塾の講座には、初めて学習する方でも安心して合格を目指せる3つの特長があります。

①「合格の先」を見据えた実戦的な講義

単なる暗記ではなく、制度の趣旨(なぜその法律があるのか)から深く理解できる講義を提供します。今回解説した仲介手数料のルールのように、「実生活でどう活きるか」という視点も交えながら、体系的に学べるのが特徴です。

② 短期間で効率よく得点力を磨くカリキュラム

仕事や学業で忙しい方でも無理なく続けられるよう、試験に出る重要ポイントを凝縮。無駄を削ぎ落としたカリキュラムにより、短期間で合格に必要な得点力を養います

③ モチベーションを維持する充実のサポート体制 

オンラインでの受講はもちろん、学習上の疑問を解消するカウンセリングや質問制度など、一人ひとりの合格を経験豊富な講師とスタッフが力強くバックアップします。

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6.【まとめ】知らなきゃ損する仲介手数料の法律上のルール

本記事では、賃貸契約における仲介手数料の法的上限と、消費者が不利益を被らないための知識をわかりやすく解説しました。
以下にポイントをまとめます。

  • 原則は0.55ヶ月分(税込)
    借主が負担する仲介手数料の上限は、原則として「家賃0.5ヶ月分+消費税(0.55ヶ月分)」と法律で定められています。

  • 仲介手数料1ヶ月分(税込1.1ヶ月分)には「事前の承諾」が必須
    仲介会社が1ヶ月分(税込1.1ヶ月分)を受け取るためには、媒介の依頼を受ける段階で借主の承諾を得ている必要があります。

  • 「後出し」の承諾は認められない
    入居申込みなどが進んだ後に「実は手数料は1ヶ月分です」と説明して承諾を得ても、それは無効とされる可能性が高く、実際に返還を命じた裁判例もあります。

  • 正しい知識が身を守る
    「知らないと損をする」のは仲介手数料だけでなく、敷金返還や契約条件の確認(重要事項説明)も同様です。法的なルールを知ることで、トラブルを回避し、適切な判断ができるようになります。

賃貸契約などの不動産取引は、人生で何度も経験することではありませんが、動く金額は決して小さくありません。だからこそ、不動産会社任せにするのではなく、自分自身で「正しい知識」を持っておくことが有効な防御手段となります。

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伊藤塾 宅建士試験科

著者:伊藤塾 宅建士試験科

伊藤塾宅建士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、宅建士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。