2026年(令和8年)宅建士試験で出題が予想される法改正まとめ
基本情報
2026年(令和8年)の宅建士試験では、拘禁刑の創設や区分所有法の大改正など、試験範囲に関わる多くの法改正が実施されています。法改正は出題されやすい分野なので、しっかり対策しておきましょう。
特に押さえておきたい改正ポイントは次のとおりです。
● 拘禁刑の創設(宅建業法)
● 公正証書遺言のオンライン化(権利関係)
● 住所等変更登記の義務化(権利関係)
● 区分所有法の大幅改正(権利関係)
本記事では、条文とあわせて各改正のポイントを科目別にわかりやすく解説しています。ぜひこの記事を活用して、2026年試験で狙われる法改正を効率よく押さえてください。
【目次】
1. 「宅建業法」で試験範囲となる最新の法改正
宅建業法では、令和4年6月に改正された刑法を押さえておきましょう。
「懲役」と「禁錮」が廃止され、「拘禁刑」に一本化されました(令和7年6月1日施行)。
改正前の刑法では、懲役は刑務作業が義務、禁錮は任意とされていましたが、実際には禁錮の受刑者の大半が刑務作業を希望しており、両者を区別する実益が乏しくなっていました。
そこで、拘禁刑に一本化されたことに伴い、宅建業法でも次の条文の文言が見直されています。
- 免許の欠格事由(5条1項5号)
- 宅建士登録の欠格事由(18条1項6号)
- 罰則規定
欠格となる期間(刑の執行終了から5年間)や仕組み自体に変更はありません。用語の読み替えというイメージでおさえておきましょう。

参考:法務省矯正局「拘禁刑下の矯正処遇等について(令和8年1月9日現在)」
2. 「権利関係」で試験範囲となる最新の法改正
「権利関係」では、以下の2つの法改正を押さえておきましょう。
● 公正証書遺言のオンライン化(民法)
● 住所等変更登記の義務化(不動産登記法)
なお、同じく「権利関係」で出題される「区分所有法」も大幅な改正が行われていますが、改正点が多いため3章で詳しく解説します。
2-1. 公正証書遺言のオンライン化(民法)
令和7年10月1日施行の法改正によって、公正証書遺言の方式を定める民法969条が見直されました。
改正前は、公正証書遺言をするために5つの手続き要件が定められていましたが、改正によって証人の立会い(1号)と遺言者の口授(2号)以外の手続き要件が削除されました。
これによって、インターネットによる嘱託が認められたほか、Web会議システムを利用してリモート方式で作成することも可能になっています。
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
2-2. 住所等変更登記の義務化(不動産登記法)
2026年4月1日施行の不動産登記法改正により、住所・氏名等の変更登記が義務化されます。
不動産の所有者は、住所や氏名に変更があった日から2年以内に変更登記を申請しなければなりません。正当な理由なく怠った場合は5万円以下の過料の対象です。
なお、令和6年4月に施行された相続登記の義務化とは別の制度ですので、混同しないよう注意してください。
新設(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
第七十六条の五 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。
3. 2026年(令和8年)4月1日から「区分所有法」が大幅改正
「権利関係」では、毎年1問、区分所有法から出題されます。2026年4月1日施行の改正法で大幅に変更されているため、試験対策としてもしっかり確認しておきましょう。
《試験対策上、押さえておくべき改正ポイント》
● 集会の決議要件の緩和
● マンションに特化した財産管理制度の創設
● 国内管理人制度の創設
● 共用部分の変更決議の多数決要件の緩和
● 建替え決議の要件緩和
3-1. 集会の決議要件の緩和
マンションの共用部分の変更や規約の設定・変更といった重要事項については、集会の決議が必要です。
この点、改正前は、これらの決議が全区分所有者の多数決による決議とされていたため、集会に出席しない区分所有者が多いと決議が成立しにくいという問題がありました。
そこで改正によって、建替えなどの区分所有権の処分を伴う決議を除き、出席者の多数決で決議が成立するように決議要件が緩和されました(改正後39条)。
あわせて、裁判所の認定により所在等不明区分所有者を決議の母数から除外できる制度も創設されています。
(議事)
第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。
新設(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3-2. マンションに特化した財産管理制度の創設
マンションは建物全体がつながっているため、一部の区分所有者が適切に管理しないことで、他の区分所有者や近隣住民に危険が及ぶケースがあります。たとえば、専有部分にゴミが集積されたまま放置されている場合などです。
この点、改正前は、こうした管理不全の専有部分や所有者不明の専有部分に対応するための制度が十分に整備されていませんでした。
そこで改正により、一定のケースでは裁判所が管理人を選任して管理させることができる制度として、「管理不全専有部分管理制度」「管理不全共用部分管理制度」「所有者不明専有部分管理制度」の3つが設けられました。
| 財産 管理制度 | 活用が想定される場面 | 管理人の権限 |
| 管理不全 専有部分 管理制度 | ・専有部分において、 ゴミが処分されずに集 積されている場合 ・専有部分の配管が腐 食したまま放置されて いる場合 等 | 専有部分・共用部分の適切な管 理を実現するため、 ①管理命令の対象となった専有 部分・共用部分 ②管理命令の効力が及ぶ動産・ 権利 ③これらの管理、処分等により 管理人が得た財産 の管理・処分をすることが可能 ※ 保存行為、専有部分等の性質 を変えない利用改良行為の範囲 を超える場合には裁判所の許可 が必要 ※ 専有部分・共用部分の処分 には、区分所有者の同意が必要 |
| 管理不全 共用部分 管理制度 | ・共用部分である外壁 が剥落するおそれがあ る場合 ・共用部分である廊下 やテラスに危険物や悪 臭を放つゴミが放置さ れている場合 等 | 同上(上記と同じ) |
| 所有者不明 専有部分 管理制度 | ・区分所有者が所在不 明の場合 等 | 同上 ※ 管理処分権は管理人に専属 ※ 裁判所の許可があれば、区 分所有者の同意なく、専有部分 の処分が可能 |
参考:国土交通省住宅局,法務省民事局「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正」
3-3. 国内管理人制度の創設
最近、円安などもあって区分所有者が海外に居住しているケースが急増しています。それに伴い、区分所有者との連絡がつかずにマンション管理に支障が出るという問題が生じていました。
そこで、新たに管理規約などで「国内管理人」を選任できる制度が創設されました。
国内管理人になると、以下の権限が与えられます。
● 保存行為・利用改良行為
● 集会の招集通知の受領・集会における議決権の行使
● 管理費等の区分所有者の債務の弁済
新設 (国内管理人)
第六条の二 区分所有者は、国内に住所又は居所(法人にあつては、本店又は主たる事務所。以下この項及び第三項において同じ。)を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所又は居所を有する者のうちから管理人を選任することができる。
2 前項の規定により選任された管理人(次項及び第四項において「国内管理人」という。)は、次に掲げる行為をする権限を有する。
一 保存行為
二 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
三 集会の招集の通知の受領
四 集会における議決権の行使
五 共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して負う債務又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して負う債務の弁済
(以下略)
3-4. 共用部分の変更決議の多数決要件の緩和
現行法(〜2026年3月)では、共用部分の変更を行うには区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要とされています。
そのため、この要件を満たすことが容易でなく、エレベーターの設置や立体駐車場の取壊しなど、必要な工事が迅速に行えないという問題がありました。
これを解決するために、今回の改正では、「共用部分の設置・保存の瑕疵により権利侵害のおそれがある場合」や「バリアフリー化のために必要な場合」に、多数決割合が3分の2に引き下げられました(改正後17条1項、5項)。
3-5. マンションの建替え決議の要件が緩和
マンションの建替えを行うには、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数による決議が必要です。しかし、この要件を満たすのは容易でなく、必要な建替えも難しいという問題が生じていました。
そこで改正によって、以下のような客観的事由がある場合は、建替え決議の多数決割合が4分の3以上に緩和されることになりました(改正後62条2項)。
● 耐震性の不足
● 火災に対する安全性の不足
● 外壁等の剝離により周辺に危害を生ずるおそれ
● 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
● バリアフリー基準への不適合
また、建替え決議がされた場合に、賃貸借を終了させる制度も創設されました(改正法64条の2)。これにより、賃貸借契約は終了請求の日から6か月の経過により終了することになります。なお、賃借人保護の観点から、賃借人は補償金の提供を受けるまでは明渡しを拒絶できるので、この点もあわせて押さえておきましょう。
4. 2026年(令和8年)試験で押さえておきたい近年の法改正一覧
ここまでは、主に2025年4月2日〜2026年4月1日までに施行された最新の法改正を見てきましたが、それ以前に施行された法改正のなかにも、本試験でまだ出題されていない改正点があります。しっかり押さえて得点源にしていきましょう。
ここ数年の法改正については、以下の記事で詳しく取り上げています。2025年向けの記事ですが、いずれも2026年試験で狙われてもおかしくない内容です。あわせて確認しておきましょう。
《押さえておきたいここ数年の法改正一覧》
● 従業者名簿における記載事項の変更(令和7年4月1日施行)
● 宅建業者名簿における登載事項の変更(令和7年4月1日施行)
● 宅地建物取引業者票(標識)における記載事項の変更(令和7年4月1日施行)
● 指定流通機構(レインズ)への登録事項の追加(令和7年1月1日施行)
● 国土交通大臣免許業者の免許申請等における申請先の変更(令和6年5月25日施行)
● 建築確認の対象となる建築物の範囲の拡大(令和7年4月1日施行)
● 重要事項説明の対象となる建物状況調査結果の範囲の変更(令和6年4月1日施行)
● 標準媒介契約約款におけるあっせん「無」の理由記載(令和6年4月1日施行)
● 空き家等に関する媒介報酬規制の見直し(令和6年7月1日施行)
● 相続登記の義務化および相続人申告登記制度の創設(令和6年4月1日施行)
5. 宅建士試験の法改正を効率良く対策するなら伊藤塾がおすすめ
ここまで見てきたとおり、2026年の宅建士試験では、拘禁刑の創設や区分所有法の大改正など、多くの法改正が試験範囲に入ってきます。こうした改正点は出題される可能性が高い一方で、すべてを独学で拾い上げるのは困難です。
法改正対策も含めて、効率よく合格を目指したい方には、伊藤塾の「宅建士合格講座」をおすすめします。
5-1. 制度趣旨から理解するから、法改正にも強くなる
法改正の対策で最も危険なのは、すべての改正点を網羅的に丸暗記しようとすることです。
法改正の範囲は広いため、「どこを重点的に押さえるべきか」「逆にどこは深追いしなくてよいか」を見極めないと膨大な時間をかけてしまう事態になりかねません。
伊藤塾の講義では、受験指導のプロである実務家講師がメリハリをつけて解説します。
さらに、実務家ならではの視点から改正の背景や目的まで踏み込んで解説するので、個々の改正点が一本の線でつながり、記憶にも定着しやすくなります。
5-2. 独学にはない「安心」のフォロー体制
手厚いフォロー体制も伊藤塾の宅建士合格講座の大きな特徴です。
伊藤塾の校舎でライブ講義に参加できるスクーリング(年2回)のほか、オンライン質問会(全2回)、カウンセリング制度など、サポートが充実しています。学習スケジュールや復習の仕方まで、一人ひとりの状況に合わせた相談ができます。
5-3. 受かるために必要なすべてが入って、受講料は「39,800円」
オリジナルテキスト、過去問集、模擬試験、学習アプリ、そしてスクーリングやオンライン質問会まで、合格に必要なツールがすべてセットで39,800円(税込)です。追加料金はかかりません。
もちろん、最新の法改正にも完全対応しています。合格に必要なすべてのツールがセットになっているので、最後まで安心して学習を進めることができます。
6. 2026年(令和8年)宅建士試験の法改正に関するよくある質問
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2026年の宅建士試験の法改正はいつの時点のものが出題されますか?
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試験実施年度の4月1日時点で施行されている法令が対象です。2026年の場合、2026年4月1日までに施行された法改正が出題対象となります。
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法令上の制限や税・その他の分野での法改正はありますか?
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2026年試験において、宅建業法・権利関係に比べると、優先度の高い改正点は多くありません。試験対策としては、本記事で解説したような宅建業法・権利関係を中心に押さえておきましょう。
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法改正をすべて暗記しなければ合格できませんか?
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すべてを丸暗記する必要はありません。法改正は出題されやすい分野ですが、試験全体でみればごく一部です。重要度の高い改正点に絞って、制度趣旨とセットで理解することが効率的な対策になります。
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法改正の分野はどうやって問題演習すればよいですか?
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法改正は過去問がないため、模擬試験や予想問題集を活用するのがおすすめです。受験指導校の講座や市販の法改正対策教材を利用して、出題形式に慣れておきましょう。
7. 【まとめ】2026年 宅建士試験に出題が予想される法改正
2026年(令和8年)の宅建士試験において、出題が予想される重要な法改正の概要は以下のとおりです。
- 宅建業法(拘禁刑の創設)
「懲役」と「禁錮」が廃止されて「拘禁刑」に一本化され、免許や登録の欠格事由などの文言が見直されました。 - 権利関係(公正証書遺言のオンライン化)
民法改正により手続き要件が緩和され、Web会議システムなどを利用したリモート方式での作成が可能になりました。 - 権利関係(住所等変更登記の義務化)
不動産登記法改正により、不動産の所有者は住所や氏名等の変更があった日から2年以内に変更登記を申請することが義務化されました。 - 権利関係(区分所有法の大幅改正)
・集会の決議要件の緩和:建替え等を除き、出席者の多数決で決議が成立するように緩和されました。
・財産管理制度の創設:管理不全や所有者不明の専有・共用部分に対応するため、裁判所が管理人を選任できる制度が設けられました。
・国内管理人制度の創設:海外居住の区分所有者に代わり、国内で管理事務を行う管理人を選任できるようになりました。
・多数決要件の緩和:権利侵害のおそれやバリアフリー化など一定の事由がある場合、共用部分の変更決議(3分の2以上へ)や建替え決議(4分の3以上へ)の要件が緩和されました。
法改正は試験で狙われやすい重要なポイントですが、範囲が広く、独学ですべてを拾い上げるのは困難です。
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