共同親権はいつから?2026年4月から何が変わるかポイント5つを解説

基本情報

2026年(令和8年)4月1日から、改正民法が施行され、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」が選べるようになります。

本改正の主なポイントは、以下の5つです。

● 離婚するとき「共同親権」を選択できるようになる
● 共同親権になっても、「日常の行為」は単独で親権行使できる
●「急迫の事情」があるときも単独での親権行使が認められる
● 未婚のカップル・事実婚の方も共同親権を行使できるようになる
● 親権者とは別に「監護者」の権利義務が新設される

この記事では、共同親権の基本的な仕組みや改正のポイント、メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。

本記事を読んでいる方の中には、司法書士試験などの資格試験を予定しており、試験対策として今回の法改正を調べている方もいるかもしれません。共同親権は2026年4月1日から施行のため、2026年度の試験でも出題が予想されます

また、司法書士試験における法改正の対策のやり方も、以下の記事で解説しています。こちらもあわせてご確認ください。

【目次】

1. 2026年4月から共同親権が施行

2026年(令和8年)4月1日から、改正民法が施行され、離婚後の親権制度に「共同親権」という選択肢が加わります。何が変わるのかを理解するため、まずは「親権」の基本と、これまでの制度を確認しておきましょう。

1-1. そもそも「親権」とは

親権とは、未成年の子どもを育てていくために父母に認められる権利義務のことです。
大きく以下の2つの内容に分かれます。

● 身上監護権:子どもの身の回りの世話をしたり、教育を行ったりする権利義務
● 財産管理権:子どもの財産を管理し、法律行為を代理する権利義務

婚姻中の父母は、どちらも親権者として、共同でこれらの権利義務を行使しています。問題となるのは、離婚した場合です。

1-2. これまでは「単独親権」しか選べなかった

改正前の民法では、離婚後は父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。これが、いわゆる「単独親権」です。

協議離婚であれば父母の話し合いで、裁判離婚であれば裁判所が、どちらか一方を親権者として指定する仕組みでした。つまり、たとえ双方が子どもの養育に関わりたいと考えていても、制度上、離婚後に父母が共同で親権を持つことはできなかったのです。

今回の改正により、この制限がなくなりました。離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」を選べるようになります。

2. 共同親権によって何が変わる?改正のポイント5つ

今回の改正で変わる主なポイントは、以下の5つです。
「すべて2人で決めるの?」と思うかもしれませんが、単独で判断できる範囲も明確にされています。

  1. 離婚するとき「共同親権」を選択できるようになる
  2. 共同親権になっても、「日常の行為」は単独で親権行使できる
  3. 「急迫の事情」があるときも単独での親権行使が認められる
  4. 未婚のカップル・事実婚の方も共同親権を行使できるようになる
  5. 親権者とは別に「監護者」の権利義務が新設される

順番に見ていきましょう。

2-1. 離婚するとき「共同親権」を選択できるようになる

改正後は、離婚時に「共同親権」か「単独親権」かを選択できるようになります。

(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める。

ここでポイントとなるのは、共同親権が原則でも、単独親権が原則でもないということです。

あくまでも、個別の事情に応じて、子どもの利益にとって最善の形を「選ぶ」という制度なので、改正後も従来どおり単独親権となるケースはあります。

親権者の定め方は、離婚の方法によって次のように分かれています。

《協議離婚の場合》
父母の話し合いにより、親権者を双方とするか一方とするかを決めることになります。

《裁判離婚の場合》
家庭裁判所が、父母と子との関係や父母間の関係など、さまざまな事情を考慮したうえで、子どもの利益の観点から判断します。

2-2. 共同親権になっても、「日常の行為」は単独で親権行使できる

共同親権を選んだ場合でも、すべての判断に2人の合意が必要になるわけではありません。
日々の生活の中で生じる身上監護に関する行為で、子どもに重大な影響を与えないものについては、父母の一方が単独で親権を行使できるとされています。

一例として、食事や服装、習い事の決定など、日常的な事項は一方の親だけで判断することができます。逆に、子どもの転居・進学先の決定といった事項は、2人で話し合って決めなければいけません。

どのような行為が日常の行為に該当するかは、法務省民事局から示されています。

日常の行為に当たる例・当たらない例(法務省民事局)

出典:法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」

2-3. 「急迫の事情」があるときも単独での親権行使が認められる

子どもの利益のために急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらない事項についても、父母の一方が単独で親権を行使することができます(改正民法824条の2第1項3号)。

急迫の事情とは、父母で話し合ったり家庭裁判所の手続を経たりしていては間に合わず、子どもの利益を害するおそれがある場合です。

たとえば、以下のようなケースが該当します。

● DV・虐待からの避難をする必要がある場合
● 子どもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
● 入学試験の結果発表後に入学手続きの期限が迫っている場合 など

出典:法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」

なお、急迫とまではいえないものの、特定の事項について父母の意見が対立して決まらない場合は、家庭裁判所に申し立てて、一方を「親権行使者」に指定してもらう制度も用意されています。

2-4. 未婚のカップル・事実婚の方も共同親権を行使できるようになる

これまで、事実婚やパートナー関係など、婚姻届を出していない父母の間に子どもが生まれた場合、共同親権は認められていませんでした。

親権は原則として母が行使するもの。父母の協議で父を親権者と定めれば父が行使できるという制度はあったものの、それも単独親権にすぎませんでした。つまり、「母か父か」の二択しかなかったのです。

改正後は、父が認知すれば、父母の協議により「父母の双方」を親権者と定められるようになりました(改正民法819条4項)。これにより、事実婚やパートナー関係にある父母にも共同親権という選択肢が開かれることになります。

2-5. 親権者とは別に「監護者」の権利義務が新設される

共同親権を選んでも、実際の生活ではどちらか一方がメインで子どもの面倒をみるケースも多いはずです。そこで、今回の改正では「監護者の権利義務」に関する規定が新設されました。

この点、改正前の民法でも、離婚時に「子の監護をすべき者」を定めること自体はでき、実務上もこれが「監護者」と呼ばれていました。しかし、明文の規定はなく、監護者にどのような権限があるのかも法律上明確ではありませんでした。

改正によって以下の点が明文化され、監護者の権利義務がハッキリと定められた形です(改正民法824条の3)。

● 監護者は、日常の行為に限らず、子どもの監護教育や居所・職業の決定を単独で行うことができる
● 親権者は、監護者が子どもの監護教育や居所・職業の決定などをするのを妨害してはならない

共同親権を選んだ場合でも、一方を監護者に指定すれば、日常の監護に関する判断をその都度、2人で協議する必要はありません

3. 共同親権の導入によって生じるメリット

共同親権の導入により期待されるメリットは、主に以下の3つです。

● 離婚後も父母が子育てに関われる
● 離婚時の親権争いを回避できる
● 養育費の不払いを回避しやすい

3-1. 離婚後も父母が子育てに関われる

最大のメリットは、離婚後も父母が子育てに関わり続けられることです。
これまでの単独親権制度では、親権を持たない一方は、子どもの進学先や転居などの判断に関与できませんでした。定期的な面会交流はできても「親権者」ではない以上、子育てへの関わりには限界があったといえるでしょう。

共同親権を選択すれば、父母がともに親権者として関われるようになります。子どもの成長という意味でも、子育ての役割分担という面でも大きな意味があります。

3-2. 離婚時の親権争いを回避できる

これまでは離婚時に必ずどちらか一方を親権者に決める必要がありました。裏を返せば、親権者が決まらなければ離婚そのものができなかったのです。
夫婦の仲が悪化していても、どちらも子どもとの関わりを手放したくない場合、親権をめぐる対立が原因で離婚に踏み切れないケースもありました。
共同親権が選択肢に加われば、親権の帰属で争う必要がなくなるため、離婚の協議を前に進めやすくなります。

3-3. 養育費の不払いを回避しやすい

養育費の不払いを回避できるという効果も期待されています。
これは、経済的な理由だけでなく、子どもとの精神的なつながりが薄れることも養育費の不払いの要因だといわれているからです。

共同親権になれば、離婚後も進学や転居といった判断に父母が関わり続けることになるため、結果として養育費の支払いがされやすくなる可能性があります。
なお、今回の改正では養育費に関する改正も実施されています。詳しくは5章で解説します。

4. 共同親権によって生じうるデメリット

共同親権にはメリットがある一方、懸念されているデメリットもあります。

● DV・虐待があっても共同親権が認められるリスクがある
● 子どもの利益を害する可能性がある
● 遠方への引っ越しが制限される可能性がある

4-1. DV・虐待があっても共同親権が認められるリスクがある

DV・虐待がある場合、裁判所は必ず単独親権としなければなりません。ただし、本当に家庭裁判所がそれを見抜けるのかという問題があります。

とくに、精神的・経済的DVの場合、身体に傷が残りません。外からは分かりにくいため、証拠として示すことが難しいのが実情です。また、子どもに対するDVは、当事者が自覚しているとは限りません。加害者・被害者の双方がDVだと認識していない場合もあり、そうしたケースでは裁判所の判断はさらに難しくなります。

法務省のQ&A資料では、「客観的証拠がなくても諸般の状況が総合的に考慮される」とされていますが、そうした判断をするには、家庭裁判所に今以上のマンパワーが求められます。
実際にどこまで機能するかは、今後の運用次第といえるでしょう。

4-2. 子どもの利益を害する可能性がある

共同親権では、進学先や転居といった重大な事項は父母が2人で話し合って判断します。
そのため、父母の意見が対立していると意思決定に時間がかかり、子どもの不利益につながるおそれがあります。

たとえば、急迫とまではいえないものの父母の意見が対立し、子どもに関する重要な決定がなかなか進まないといった事態が想定されるでしょう。こういったケースでは家庭裁判所への申立てをすることになりますが、裁判手続である以上、どうしても時間がかかります。

4-3. 遠方への引っ越しが制限される可能性がある

共同親権のもとでは、子どもの転居は「日常の行為」に該当せず、父母双方の合意が必要です。

ただ、離婚後は父母が別々に暮らしているのが通常です。そうすると、たとえば、子どもと暮らしている親が実家の近くに引っ越して子育てのサポートを受けたいと考えても、離れて暮らしている親が「子どもが遠くに行ってしまう」と反対する、というようなケースが想定されます。

合意が得られなければ家庭裁判所の手続を経ることになります。単独親権の場合に比べて転居のハードルは高くなるでしょう。

5. 民法(家族法)では共同親権以外にも多くの改正がされた

2026年(令和8年)4月に施行される改正民法では、共同親権の導入だけでなく、家族法に関する幅広い改正が行われています。

● 親の責務の明確化
● 親権・監護に関するルールの整備
● 養育費の支払確保(法定養育費・先取特権など)
● 親子交流の見直し
● その他(夫婦間の契約取消権の削除、強度の精神病を離婚事由とする規定の削除 など)

本記事を読んでいる方の中には、司法書士試験などの資格試験を予定しており、試験対策として今回の法改正を調べているという方もいるかもしれません。

司法書士試験における法改正の対策については、以下の記事で取り上げています。こちらもご確認ください。

6. 共同親権に関するよくある質問

Q. 子の出生前に離婚した場合も共同親権にできますか?

A.はい。子の出生前に離婚した場合、親権はまず母が行使しますが、出生後に父母の協議で、父母双方を親権者と定めることができます(改正民法819条3項)。

Q. 改正前に離婚した場合、共同親権に変更できますか?

A.改正法の施行前に離婚し、単独親権の定めがされている場合、改正によって自動的に共同親権に変更されることはありません。

ただし、施行後に、子ども自身やその親族が家庭裁判所に申立てを行うことで、共同親権への変更が認められる場合があります。変更が認められるかどうかは、父母と子どもの関係や父母間の関係などから判断されます。(出典:法務省民事局「Q&A形式の解説資料(民法編)」)

Q. 親権者は後から変更できますか?

A.はい。子ども自身またはその親族の請求により、家庭裁判所が親権者を変更することができます(改正民法819条6項)。単独親権から共同親権へ、共同親権から単独親権へ、いずれも可能です。

Q. 共同親権になると、子どもは父母の家を行き来して生活するのですか?

A.共同親権=両方の家を行き来する生活、というわけではありません。子どもの生活スタイルは、親権の定めとは別に、父母の協議等で決めることになります。

一方の親のもとで暮らしながら、もう一方の親とは定期的に会うという形も十分にあり得ます。

7. 【まとめ】共同親権に関する改正ポイント

本記事では、2026年4月に施行される共同親権に関する改正ポイントについて解説しました。
以下に要点をまとめます。

  • 共同親権の選択が可能に
    2026年4月1日から改正民法が施行され、離婚時に父母の協議や裁判所の判断によって「共同親権」か従来の「単独親権」かを選べるようになります。
  • 単独での親権行使が可能なケース
    共同親権を選択しても、食事や習い事などの「日常の行為」や、緊急の医療行為やDVからの避難といった「急迫の事情」がある場合は、父母の一方が単独で親権を行使できます。
  • 未婚・事実婚への適用
    婚姻届を出していない未婚のカップルや事実婚の方でも、父の認知と父母の協議によって共同親権を行使できるようになります。
  • 「監護者」の権利義務の新設
    親権者とは別に、日常の監護教育や居所の決定などを単独で行える「監護者」の権利義務が明文化されます。
  • 共同親権のメリットとデメリット
    離婚後も双方が子育てに関われ、親権争いや養育費の不払いを回避しやすくなるメリットが期待されています。一方で、DVや虐待の判断の難しさ、意見対立による意思決定の遅延、遠方への転居が制限される可能性などのデメリットも懸念されています。

本記事で解説した民法(家族法)の改正は、2026年度の司法書士試験をはじめとする資格試験でも出題が予想される重要なトピックです。複雑な法改正のポイントを正確に理解し、ライバルに差をつける万全の試験対策を行うなら、法律資格の専門指導校である伊藤塾への入塾をぜひご検討ください

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伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

司法書士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。合格率3~4%という難関試験について、法律系資格指導で培った約30年のノウハウをもとに、試験分析・学習戦略・合格者の実体験を正確にお届けします。