法律初心者に最適な勉強法とは?司法試験合格まで通用する勉強方法を解説

基本情報

法律の勉強は、条文や判例を覚えるだけの暗記作業ではありません。法律を勉強して「使える」ようになるには、法律の考え方を身に付ける必要があります。

法律の勉強を始めたばかりの初心者の方は、「法律の勉強は難しい」「司法試験に合格するには六法全書の暗記が必要なの?」と不安に感じていることでしょう。

今回は、法律初心者の方に向けて、法律の勉強方法、法律の勉強で注意すべきポイント、初心者から上級者へステップアップする方法などを解説します。初心者はもちろんのこと、法律の勉強に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 最初に法律を勉強する目的を明確にする

法律の勉強をスタートする際は、法律を勉強する目的を明確にしておくことが重要です。

・学部の単位を取れれば十分なのか
・仕事で法律を扱えるようになりたいのか
・司法試験の合格を目指すのか

など、目的によって必要な勉強量や学習方法は異なります。

目的なく勉強を始めると、先が見えずに挫折してしまう原因にもなるでしょう。もちろん、勉強を進める途中で目的が変わっても問題はありません。法律の勉強は、目的を決めて、それに必要な勉強は何かを考えることから始めてみるとよいでしょう。

2. 法律の勉強方法を学ぶ

ここでは、法律の勉強方法について、法律科目に共通する勉強方法と科目別の勉強方法に分けて解説します。

2-1. 法律科目に共通する考え方を学ぶ

法律の勉強は、条文や判例の丸暗記ではありません。法律の問題を解くには、条文を事例にあてはめて答えを導き出す法的三段論法を身に付ける必要があります。

三段論法とは、大前提と小前提から結論を導く方法です。法的三段論法における大前提は、条文で、小前提は事例となります。

たとえば、甲さんが乙さんの財布を盗んだらどうなるかという事例(小前提)を解決するには、事例にあてはめるための条文を知らなくてはなりません。そのうえで、刑法235条「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」に事例をあてはめて、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるという結論を導き出します。

先の具体例は簡単なものですが、実際には、具体的な事例がどの条文にあてはまるのかを判断するには、事例のうちどの部分が問題となるのかを判断したり、条文の解釈が必要となったりなど、簡単な作業ではありません。

法的三段論法をはじめとした法律科目に共通する考え方を学ぶには、次の書籍がおすすめです。法律の勉強を始めようと考えている方は、ぜひ手にとってご覧ください。

※法的三段論法について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

2-2. 全体像を学ぶことからスタートする

法律の勉強は学習範囲が広く、初心者が闇雲に勉強を始めても最後まで進めるのは難しいでしょう。

法律の勉強を始める際は、細かな部分は先送りにして先に全体像を学ぶべきです。全体像を学ぶだけであれば勉強時間も短く済むため挫折しにくいですし、全体像を把握しておくことは後から細かな部分を勉強する際の理解も助けます。

法律の基本科目について全体像を学ぶには、伊藤真の入門シリーズがおすすめです。どれも数時間で一読できる分量なので、まずは気軽に読み進めてみてください。

3. 法律初心者の勉強で注意すべきポイント

法律初心者の勉強で注意すべきポイントは、次の3つです。

・常に六法を参照する
・条文の趣旨から考える
・初心者の段階から事例に触れる


これらのポイントを意識していなければ、時間をかけて勉強しても何も身につかないといったことも考えられます。法律の勉強を始める際は、これらのポイントをしっかり意識しておきましょう。

3-1. 常に六法を参照する

法律の勉強をする際は、面倒に感じても常に六法を参照してください。

たとえば、「不倫相手に対しては、損害賠償を請求できます(民法709条)。」という記載があったときは、六法で民法709条を引いてください。民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されています。ここで、不倫相手に対する損害賠償でなぜ709条が問題になるのかを考えることが、法律の考え方を身につけることに繋がるのです。

六法を参照せずに勉強を進めていると、いざ事例に対応するときに、どの条文が問題となるのかを判断することができなくなってしまいます。常に事例と六法の条文を行き来することが、法律初心者の勉強方法としては何よりも重要です。

3-2. 条文の趣旨から考える

法律を具体的な事例・事案に即して使えるようになるには、条文の文言だけでなく趣旨の理解が重要となります。条文の趣旨とは、簡単に言うとその条文が制定された理由のことです。

条文の適用範囲は、文言を見るだけでは明確でないケースもあります。その際に重要となるのが、趣旨から条文を解釈することです。たとえば、虚偽表示の無効を善意の第三者に対抗できないとする民法94条2項の趣旨は、虚偽の外観を信頼した第三者を保護することにあります。

条文の趣旨から解釈すると、ここでの「第三者」は誰でも良いのではなく、虚偽の外観を信頼したことを保護するに値する「第三者」に限定すべき、ということになります。

条文の文言を覚えているだけでは、典型的な場面以外では条文が適用されるか否かを判断できません。条文の趣旨を理解していれば、条文を柔軟に解釈できるので、さまざまな事案に対応できるようになります。

3-3. 初心者の段階から事例に触れる

法律の勉強をする際は、抽象的な条文の文言や法律の解釈を学ぶだけでなく、具体的な事例に触れるようにしましょう。抽象的でわかりにくい話も、事例に触れると理解しやすいです。

勉強の教材を選ぶ際は、条文の解釈だけが並べられているものではなく、典型事例や判例を多く紹介しているものを選ぶことをおすすめします。先に紹介した「伊藤真の入門シリーズ」は、簡単な事例を紹介しつつ法律の全体像の解説がされているため、初心者には特におすすめです。

法律の問題は、学部試験、法科大学院入試、司法試験など、どれも事例を前提とした問題が出題されます。普段の学習で事例に触れていなければ、事例を前提とする問題には対応できません。そのため、事例を意識しての学習は、初心者から上級者まで、法律を学習するすべての人にとって重要なものといえます。

4. 初心者から上級者へのステップアップ方法

法律学習の初心者から上級者へステップアップするには、次の流れで学習を進めるのがおすすめです。

1.基本科目の全体像を学ぶ
2.基本科目の基礎を理解する
3.問題演習を通じて応用を身に付ける


ここでは、それぞれの段階の学習方法について解説します。

4-1. 基本科目の全体像を学ぶ

法律の学習は、科目数が多いだけでなく、各法律科目の範囲も広いです。ですが、各法律の細かい部分には立ち入らず全体像を把握するだけであれば、短い時間でも学習を終えられます。最初に法律の全体像を把握しておけば、後の学習も進めやすくなります。

4-2. 基本科目の基礎を理解する

基本科目の全体像を学んだら、次は、各科目の基礎を理解していきます。法律学習では、基礎の理解、徹底が何より重要です。基礎をしっかり理解し使いこなすことができれば、司法試験合格レベルの学力を身に付けることもできます。

基礎の理解には、試験対策講座シリーズがおすすめです。ただし、基礎といっても範囲は決して狭くはありません。試験対策講座シリーズも、通読が困難なほど、相当ぶ厚い書籍となっています。すべての基本科目の基礎を理解するには、相当の学習時間が必要となることを覚悟しておきましょう。

4-3. 問題演習を通じて応用を身に付ける

基礎学習がある程度進んだら、問題演習も並行してください。理解した基礎を使いこなせるようになるには、問題演習が欠かせません。

問題演習の種類には、大きく分けて択一式の問題と論述式の問題があります。最初は、択一式の問題を繰り返し解くことで、基礎知識を定着させるのがおすすめです。択一式の問題に取り組む際は、「ソクタンシリーズ」を利用するのが良いでしょう。

論述式の問題については、「試験対策問題集」のほか、ご自身が受ける試験の過去問学習が重要です。

5. 法律の勉強の初心者に関するよくある質問(FAQ)

法律の勉強を始めてから全体像を把握するまでに、どれくらいの期間が必要ですか?

目的によって異なりますが、入門書による全体像の把握だけであれば1冊あたり数時間から数日で完了します。基本科目(憲法・民法・刑法など)の基礎レベルの理解には半年から1年程度、司法試験合格を目指す場合は学習開始から最終合格まで数年単位の計画が一般的です。 なお、最初に全体像を持つことで細部の学習効率が上がるため、薄い入門書を短期間で読み終える段階を必ず経ることが、初心者の挫折防止に効果的です。

法律初心者が1日に確保すべき勉強時間の目安はどれくらいですか?

学部試験対策なら1日30分から1時間、仕事への活用なら1日1から2時間が現実的な目安です。司法試験合格を目指す場合はさらに長時間が必要ですが、社会人で1日3時間の継続学習で合格に至った事例も存在し、継続可能な時間設定こそが最も重要です。 もっとも、初心者の段階では時間の長さより「毎日条文と事例に触れる習慣化」が優先されます。短時間でも途切れず継続する方が、長時間を不定期に行うより定着率は高くなります。

法律初心者は独学と受験指導校では、どちらが効率的に学べますか?

学部の単位取得程度であれば独学でも対応可能ですが、司法試験や法科大学院入試などの本格的な目標を持つ場合は、受験指導校の活用が学習効率の面で優位です。試験頻出論点に絞った指導と質問対応により、学習時間を大幅に短縮できます。 ただし、独学を選ぶ場合でも、入門書で全体像を把握してから基礎テキストへ進むという順序を守れば、独学でも基礎理解の段階までは到達可能です。

法律初心者向けの入門書と試験対策テキストは、どのように使い分けるべきですか?

入門書は法律全体の地図を短期間で得る教材で、数時間から数日で読了するものです。試験対策テキストは基礎の徹底理解に使う教材で、入門書で全体像を把握した後の本格的な基礎固めに使用します。順序を逆にすると挫折の原因になりやすい点に注意が必要です。 なお、入門書を読まずに分厚いテキストから始めると、細部に迷い込んで全体像を見失うリスクがあります。初心者ほど薄い本から段階的に学ぶ姿勢が大切です。

法律の勉強を始めるのに、法学部卒業や特別な学歴は必要ですか?

法律の勉強を始めるのに、法学部卒業や特定の学歴は不要です。司法試験の合格者にも非法学部出身者は毎年存在します。重要なのは学歴ではなく、法的三段論法という法律特有の思考方法を身に付け、条文と事例を行き来する習慣を作ることです。 もっとも、法学部出身者は基本科目の全体像を学部講義で先に学んでいる分、初期段階でアドバンテージがあります。非法学部出身者は入門書での全体像把握を特に重視するとよいでしょう。

法律初心者が最初に学ぶべき科目は、憲法・民法・刑法のうちどれですか?

法律初心者には、最初に憲法または民法から学ぶことが一般的に推奨されます。憲法は条文数が少なく国家統治の枠組みを学べる入りやすい科目です。民法は人間の権利義務という日常に直結する内容で、後に学ぶ商法や民事訴訟法の前提知識にもなります。 なお、刑法は条文解釈の論理的訓練には適していますが、初学者がいきなり始めると抽象度に戸惑うことが多いため、憲法・民法の後に取り組む方が定着しやすくなります。

理系出身者や数学が得意な人でも、法律の勉強は理解できますか?

理系出身者でも法律の勉強は十分に理解可能で、司法試験合格者にも理系学部出身者は毎年存在します。論理的思考や条文の構造分析といった法律学習の中核は、理系の素養とむしろ親和性が高い面があります。 ただし、判例や学説の議論には独特の言い回しがあるため、最初の段階で法律用語に慣れる時間を確保することが重要です。入門書を複数回読むことで、語彙への抵抗感は薄れていきます。

法律の勉強で挫折しないためには、どのような工夫が必要ですか?

法律の勉強で挫折しないためには、①最初に全体像を短期間で把握する、②条文と事例を常にセットで学ぶ、③一人で抱え込まず質問できる環境を作る、の3点が重要です。細部の暗記に入る前に全体地図を持つことで、学習中の迷子を防げます。 なお、法律学習の挫折要因の多くは「分厚いテキストをいきなり読み始める」「条文を見ずに解説だけ読む」の2点に集約されます。入門書からのスタートと六法参照の習慣化で、多くの挫折は回避可能です。

法律初心者はどの六法を選び、いつ購入すべきですか?

法律初心者は学習開始と同時に、ポケット六法や小型版の六法を購入することが推奨されます。学習レベルが上がった段階で、判例付き六法など情報量の多いものへ切り替える方法が一般的です。最初から大型の判例付き六法を選ぶと、情報過多で初期学習の妨げになります。 もっとも、六法は毎年改正があるため、購入時は最新年度版を選ぶことが必須です。古い版を使い続けると、改正後の条文知識が抜け落ちる原因となります。

法律の入門書を読み終えた後、次に取り組むべきことは何ですか?

入門書で全体像を把握した後は、基本科目ごとの基礎テキストで詳細を理解する段階に進みます。基礎理解がある程度進んだら、択一式の問題演習を並行して開始し、知識の定着と使いこなしを同時に進めることが効率的です。 なお、基礎テキストは入門書より分量が多いため、最初から完璧を目指さず、不明点を残しながらも一通り通読することを優先する姿勢が重要です。後の演習で穴は徐々に埋まります。

6. 初心者から上級者までの一貫した学習には受験指導校の利用がおすすめ

初心者から上級者まで着実にステップアップしていくには、受験指導校の利用がおすすめです。

法科大学院入試や司法試験合格を目指すには、広範囲、長時間の勉強が欠かせません。大学生活を送りながらや、社会人として働きながらの生活では、勉強に割くことのできる時間は限られています。自分だけで勉強を進めていくと、時間をかけても理解できない部分が出てきたり、試験までに膨大な範囲の勉強を終えられなかったりなど、途中で挫折してしまう要因が多くなってしまいます。

受験指導校で学習するメリットはまさにそこにあります。

試験に出るところをメリハリをつけて教えてもらえることにより、学習時間が短縮され、理解できないところへの質問等のサポートも受けることができます。

司法試験の合格実績を出している受験指導校には、長年の指導経験と合格者データによって信頼十分な、初心者から上級者までに対応した講座が用意されています。法律の勉強方法に不安のある方、効率良く勉強を進めたい方は、ぜひ一度、伊藤塾までお問い合わせください。

2025年 司法試験合格者1,581人中 1,432名(90.6%)※1
2025年 予備試験合格者 452人中405名(89.6%)※2
伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座640名、講座・答練321名、模試471名)
※2(講座内訳:入門講座228名、講座・答練130名、模試47名)

なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

25年司法試験合格祝賀会

著者:伊藤塾 司法試験科

1995年の創立以来、司法試験・予備試験指導の専門機関として約30年の実績を持つ伊藤塾の司法試験科が監修・執筆しています。2025年度の司法試験合格者占有率は業界トップクラスの90.6%。現役弁護士を含む専門講師陣が、予備試験ルート・法科大学院ルートの両方に精通した正確な情報をお届けします。