司法書士と社労士を比較解説!難易度の実態や年収・ダブルライセンスなど
基本情報
2026年03月06日
「司法書士と社労士、どっちを目指すべきだろう?」
どちらも法律系の人気資格だけに、迷っている方は少なくないはずです。
司法書士は不動産や相続の「登記」、社労士は企業の「社会保険・労務」が主な仕事です。扱うジャンルは異なりますが、試験の合格率はどちらも5%前後とほぼ同水準です。
この記事では、両資格の仕事内容・試験難易度・年収を比較し、それぞれどんな人に向いているかを解説しました。読み終えるころには、「自分はどちらを目指すべきか」が見えているはずです。
すでにどちらかの資格をお持ちの方に向けて、ダブルライセンスのメリットも取り上げていますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1. 司法書士と社労士(社会保険労務士)の仕事
司法書士と社労士(社会保険労務士)は、どちらも法律系の国家資格ですが、扱う仕事はまったく違います。司法書士は、「登記申請」を中心とした法律事務を、社労士は「社会保険・労務」に関する法律事務を扱っています。
1-1. 司法書士の仕事
司法書士は、不動産登記・商業登記、相続登記など、暮らしに関わる法律手続きの専門家です。どんな場面で何ができるのか、身近な例で見てみましょう。
【家を買ったとき】
売買契約だけでは、その家の持ち主が自分だと法的に証明できません。法務局で「登記」という手続きをして、初めて所有権が確定します。この登記手続きを売主・買主に代わって行うのが司法書士です。
【会社をつくるとき】
会社を設立するには、法務局への申請(商業登記)が必要です。この申請を行ったり、会社の定款を作成したりするのも、司法書士の役割です。
【親が亡くなったとき】
故人名義の不動産を相続人に変更する「相続登記」も司法書士の仕事です。2024年4月から義務化されたこともあり、最近、特に依頼が増えています。
戸籍の収集や財産調査、遺産分割協議書の作成など、相続に関する手続きを一括して行っています。
【紛争トラブルが発生したとき】
たとえば「貸したお金を返してもらえない」「敷金が返ってこない」といった場面です。
認定司法書士であれば、訴額140万円以下の民事事件について依頼者の代理人として相手方との交渉や簡易裁判所での裁判を行うことができます。
仕事の性質上、司法書士は案件ごとに依頼を受けるスタイルが基本となります。
この点は、社労士と大きく異なる点です。
※司法書士の仕事はこちらの記事で詳しく解説しています。
1-2. 社労士の仕事
社労士が関わる場面も、具体的に見てみましょう。
【従業員を雇うとき】
健康保険、厚生年金、雇用保険などは届出先も書類もバラバラで、慣れない経営者にはハードルが高い手続きです。これらを依頼者に代わって行うのが社労士の役割です。
【就業規則を作成・更新するとき】
従業員が10人以上になると、就業規則を労働基準監督署に届け出る義務があります。法改正への対応も含めた会社のルールづくりも、社労士の業務の一つです。
【助成金を申請するとき】
雇用関連の助成金は種類が多く、条件も複雑です。「うちの会社が使える助成金はあるか」「書類はどう書けばいいか」。こうした経営者の相談に応えるのも、社労士の腕の見せどころです。
【職場でトラブルが起きたとき】
残業代の未払い、ハラスメント、解雇をめぐる紛争。特定社労士になれば、こうした相談に対応し、問題解決をサポートすることもできます。
【人事制度を見直すとき】
「評価制度を変えたい」「リモートワークに対応した就業規則にしたい」。経営方針や働き方の変化に合わせて、人事・労務の仕組みをどう整えるかを経営者と一緒に考えるコンサルティング業務も、社労士が担う仕事です。
スポット的な業務ではなく、継続的に発生する仕事が多いのが社労士の特徴です。
1つの会社と顧問契約を結び、毎月の手続きや相談対応を続けていく働き方が中心となります。
※社労士の仕事はこちらの記事で詳しく解説しています。
2. 司法書士試験と社労士試験の難易度はほぼ同じ
続いて、司法書士試験と社労士試験の難易度を比較していきます。
結論として、「どちらかが圧倒的に難しい」あるいは「簡単だ」ということはありません。両者の難易度は「ほぼ同じ水準」だと考えてよいでしょう。
2-1. 合格率はどちらも5%〜
| 司法書士試験 | 社労士試験 | |
| 令和3年度 (2021年) | 5.1% | 7.9% |
| 令和4年度 (2022年) | 5.2% | 5.3% |
| 令和5年度 (2023年) | 5.2% | 6.4% |
| 令和6年度 (2024年) | 5.3% | 6.9% |
| 令和7年度 (2025年) | 5.2% | 5.5% |
参照:司法書士試験|法務省、社会保険労務士試験の結果について|厚生労働省
司法書士試験は5%前後、社労士試験は5〜8%前後です。
以前は「社労士の方が簡単」と言われることが多かったのですが、ここ数年は社労士試験が急激に難化しています。合格率をはじめ、両者の差はほとんどなくなってきています。
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2-2. 必要な勉強時間は司法書士の方がやや長め
一般的には、社労士は800〜1,000時間、司法書士は3,000時間が必要だと言われますが、この数字だけで判断する必要はありません。
たしかに司法書士試験の方が学習範囲は広く、勉強時間がやや長めになる傾向はあります。ただ、実際には個人差が大きく、司法書士試験に1,000時間以下で合格する人もいれば、逆に社労士試験に2,000時間以上かかる人もいます。
《司法書士試験に短期で合格された方々》
● え?誰が言ってたの?合格に必要な勉強時間が3000時間なんて?1000時間以下の学習時間で合格「黒田さん」
● 消防士として働きながらわずか8か月で合格!安井さん
● 6ヶ月の学習、1回の受験で合格「岡信瑞希さん」
どちらの試験でも共通して言えるのは、「何時間勉強したか」ではなく、「どういう方法で勉強したか」が合否に大きく影響するということです。
正しい方法で効率よく学べば、どちらも働きながらでも合格できる試験です。
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2-3. 社労士試験には受験資格があるので注意
社労士試験には受験資格があります。 大きく分けると「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の3つのルートがあり、いずれか1つを満たすことが必要です。
司法書士試験は受験資格がないため、 年齢・学歴に関係なく、誰でも受験できます。
※受験資格の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
3. 司法書士と社労士はどっちが稼げる?
平均年収・就職のしやすさ・開業後の収入の3つの視点から、それぞれの「稼ぎやすさ」を比較していきます。
3-1. 平均年収はどちらも高め
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、司法書士・社労士の平均年収は以下のとおりです。
● 司法書士:765.3万円
● 社労士:903.2万円
出典:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag「司法書士・社労士」
社労士の方が高く見えますが、司法書士、社労士、いずれもその資格のみの平均年収ではありません。
司法書士は「法務従事者」、社労士は「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」として集計されており、他の職種のデータも含まれた数値となっています。
ただ、どちらの数値も一般的な給与所得者の平均年収「約478万円※」を大きく上回っています。
※出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
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3-2. 就職のしやすさは「目指す先」によって異なる
「どちらが就職しやすいか」については、どのような環境で働きたいかによって結論が変わります。
① 一般企業への就職・転職なら「社労士」が有利
社労士は、企業の「人事・労務部」という明確なポストに直結する資格です 。働き方改革や労働環境の改善が求められる昨今、専門知識を持つ社労士の需要は非常に安定しています 。
実務未経験であっても、これまでの社会人経験に資格を掛け合わせることで、一般企業の管理部門への転職を成功させやすいのが大きな特徴です。
② 専門事務所への就職なら「司法書士」が非常に有利
一方、司法書士法人などの事務所への就職を希望する場合、司法書士は極めて高い需要を誇ります。有資格者の数が限られているため希少性が高く、事務所側からは常に求められている状態です。
そのため、年齢や性別、実務経験を問わず、合格後すぐに条件の良い事務所へ就職できるケースが多く、50代・実務未経験からでも就職に困ることはほとんどありません 。
「一般企業の社員として専門性を発揮したい」なら社労士が、「法律の専門家として事務所で修行し、将来の独立も見据えたい」なら司法書士が、それぞれのフィールドにおいて「就職しやすい」といえるでしょう。
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3-3. 開業後の平均売上
独立開業した場合の平均売上(収入)は、どちらもほぼ同じ水準です。
● 司法書士(開業):平均売上「約1,683万円」
● 社労士(開業):平均売上「約1,658万円」
出典:司法書士白書 (2021年版),社会保険労務士白書 (2024年版)
上記はあくまで売上ですが、どちらも多額の仕入れや固定費が必要な仕事ではありません。
大きな経費は事務所の家賃やスタッフの人件費などのみです。経費を差し引いても十分な金額が残ると考えてよいでしょう。
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4. 司法書士と社労士はどっちを目指すべき?
4章では、それぞれの資格がどんな人に向いているかを見ていきます。
4-1. 司法書士が向いているのはこんな人
● 法律家として働きたい人
● 不動産・相続などに興味がある人
● 未経験から、資格をとって就職したい人
司法書士が向いているのは、不動産・相続などの暮らしに関わる法律家として働きたい人です。
家を買ったときの名義変更、親が亡くなったあとの相続登記、会社をつくるときの設立登記。どれも、普通に生活していれば誰もが直面しうる場面です。こうした場面で頼られる法律家になりたいなら、司法書士は有力な選択肢になるでしょう。
未経験からでも事務所に就職しやすく、働きながら経験を積めるのも司法書士の強みです。
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4-2. 社労士が向いているのはこんな人
● 企業の人事・労務に関心がある人
● 会社員として資格を活かしたい人
● 企業と長く付き合う顧問型の働き方がしたい人
社労士が向いているのは、企業の「人」に関わる仕事がしたい人です。
従業員の社会保険手続き、就業規則の整備、助成金の申請、職場トラブルへの対応。企業の人事・労務を幅広くサポートするのが社労士の仕事です。「働く人を支えたい」という気持ちがある人なら、やりがいを感じやすいでしょう。
独立開業だけでなく、企業内で活かしやすいのも社労士の特徴です。特に、総務・人事の実務経験がある人は、その知識がそのまま試験勉強や実務に直結します。
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5. ダブルライセンスのメリットは?
司法書士と社労士は、ダブルライセンスのメリットも大きい組み合わせです。
主なメリットを3つ紹介します。
● 一方の業務を通じて、もう一方の見込み顧客とつながりやすい
● スポット型と顧問型の売上を掛け合わせることで、経営が安定しやすい
● ダブルライセンス保有者が少ないため、同業者との差別化になる
5-1. 見込み顧客とつながりやすい
ダブルライセンスの最大のメリットは、一方の業務を通じて、もう一方の業務の見込み顧客を獲得できることです。
たとえば、司法書士として会社設立の依頼を受けたとします。定款を作成し、商業登記を行って新しい株式会社が立ち上がる。そうなれば当然、その後は従業員の雇用、社会保険の手続き、就業規則の作成といった仕事が発生します。
司法書士の資格しか持っていなければ、この部分は他の社労士に任せるしかありません。しかし、ダブルライセンス保有者なら、すべて自分で対応できます。1回の依頼から、2つの業務を受任できるため売上アップが期待できます。
5-2. 経営が安定しやすい
経営が安定しやすいのも、ダブルライセンスの大きなメリットです。
司法書士は仕事を取りやすい一方で、扱う業務のほとんどはスポット型です。不動産登記、商業登記、相続登記など、案件が完了すればその依頼者との取引も終了します。継続的に1人の顧客と付き合い続けるケースは多くありません。
一方、社労士の売上の中心は顧問契約です。仕事を得るのは難しいですが、一度契約すれば年間を通じて安定した収入が入ってくるため、売上の波が小さいです。
司法書士のスポット型の売上と、社労士の継続的な売上を掛け合わせれば、事務所の経営はかなり安定します。
5-3. 士業としてのブランディングになる
司法書士も社労士も難関資格なので、両方を持っている人の数はごくわずかです。だからこそ、ダブルライセンスはそれ自体が強力なブランディングになります。
たとえば、司法書士を探しているお客さんが「この人は社労士の資格も持っている」と知れば、それだけで専門家としての信頼感は一気に上がるでしょう。
数ある司法書士事務所・社労士事務所の中から選ばれる理由になります。
6. 司法書士・社労士を目指すなら伊藤塾
ここまで読んで「司法書士を目指そう」「社労士に挑戦しよう」と思った方は、ぜひ当コラムを運営する伊藤塾にご相談ください。
伊藤塾は、法律系の資格指導校のトップランナーとして創立から31年、圧倒的な実績を出し続けてきた受験指導校です。司法書士試験でも、「合格者の6割近くが伊藤塾の有料講座受講生」という圧倒的な実績を誇っています。
司法書士試験も社労士試験も難関資格ですが、正しい方法で学べば、働きながらでも合格できます。伊藤塾には、その方法を知り尽くした業界トップレベルの講師陣がそろっていますので、安心してついてきてください。
7. 司法書士と社労士どちらを選ぶべきか迷っている人のよくある質問
Q. 働きながら合格を目指す場合、どちらの方が学習を継続しやすいですか?
A. 経験、向き不向き、興味関心によって、一概には言えません。
学習時間の目安だけで比較すれば、社労士は約1,000時間、司法書士は約3,000時間と言われており、社労士の方が短期間で合格圏内に到達しやすいように見えます。しかし、「働きながら継続できるか」は、単なる時間の長さだけではなく、「どちらの内容なら、仕事終わりの疲れた状態でもテキストを開く意欲が湧くか」という視点で、考えてみることが大切です。
Q. 会社を辞めずに「副業」として活動することは可能ですか?
A. どちらも可能ですが、ハードルは異なります。
社労士は、週末を利用したコンサルティングや就業規則の作成など、比較的副業として始めやすい環境にあります。一方、司法書士は業務の性質上、法務局が開いている平日の日中に動く必要が生じることが多いです。しかし、近年はオンライン申請の普及により、場所や時間を問わない働き方も模索されています。どちらも資格を維持するための登録費用や会費がかかるため、収益とのバランスを考えて「認定」を受けるタイミングを見極める必要があります。
Q. AIの発達によって、将来的に仕事がなくなる不安はありませんか?
A. 単純な書類作成業務は効率化されますが、資格の価値そのものがなくなることはありません。
むしろ、AIによって定型業務が自動化されることで、司法書士であれば「複雑な相続スキームの提案」、社労士であれば「従業員のモチベーション向上やメンタルヘルス対策」といった、より高度な対面コンサルティングに時間を割けるようになります。専門家としての判断力や、クライアントとの信頼関係に基づく業務の需要は、今後さらに高まっていくと考えられます。
8.【まとめ】司法書士と社労士の比較とダブルライセンスのメリット
本記事では、司法書士と社労士の違いや特徴とダブルライセンスを取得することのメリットについて解説しました。
以下にポイントをまとめます。
- 仕事内容の違い
司法書士は不動産や商業などの「登記申請」を中心とした案件ごとのスポット型業務が基本です。一方、社労士は企業の「社会保険・労務」に関する手続きや相談などを、顧問契約を通じて継続的にサポートする働き方が中心です。 - 試験の難易度
合格率はどちらも5%前後でほぼ同じ水準です。一般的に、学習範囲の広い司法書士の方が勉強時間が長くなる傾向があります。また、司法書士は年齢・学歴に関係なく誰でも受験できますが、社労士試験には受験資格(学歴や実務経験など)が必要になる点に注意が必要です。 - 年収と就職先
平均年収や独立開業後の平均売上は、両資格ともに一般的な給与所得者を大きく上回る高水準です。専門事務所への就職には司法書士が極めて有利であり、一般企業の人事・労務部門への就職・転職には社労士が有利に働きます。 - 向いている人
不動産や相続など個人の暮らしに関わる法律家として働きたい方は司法書士が、企業の「人」に関わる仕事を通じて働く人を支えたい方は社労士が向いています。 - ダブルライセンスのメリット
両方の資格を保有することで、会社設立(司法書士の業務)から社会保険の手続き(社労士の業務)までを一貫して対応できるようになり、見込み顧客を獲得しやすくなります。また、スポット型収入と顧問型の継続収入を掛け合わせることで経営が大きく安定し、強力なブランディングにも繋がります。
司法書士試験も社労士試験も難関資格ですが、正しい学習方法を身につければ、働きながらでも十分に合格を目指すことができます。
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