社労士は独立すべき?年収1000万も夢じゃない・開業後の実態を解説
仕事・年収
【記事のポイント】
- 独立の見通し:2025年(令和7年)3月末時点で、社労士登録者の約6割が開業側で働いています。未経験からでも始められますが、収入が立ち上がるまでには数年かかります。
- 開業社労士の売上:年間売上の中央値は550万円です。平均の1,657.9万円は一部の大規模事務所が押し上げた数字なので、中央値のほうが実態に近いといえます。
- 顧問先30社という分岐点:顧問契約が30社を超えると、売上の中央値は1,200万円に届きます。開業社労士全体の中央値は10社です。
- 開業までの入り口:実務経験がなくても、事務指定講習を修了すれば登録できます。開業の直前まで社労士事務所にいた人は21.0%にとどまります。
- 必要な開業資金:自宅開業なら約60万円、事務所を借りる場合は約110万円が目安です。
「社労士になったら独立すべき?それとも勤務が良い?」
「独立したら年収1,000万円以上も目指せるって本当?」
「でも開業資金や集客が心配…」
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実は、社労士は未経験からでも非常に独立開業しやすい資格なのです。社労士の半数以上が独立開業しており、そのうち8割が未経験からスタートしています。
本記事では、独立開業した社労士の実際のデータをもとに、独立開業のメリット・デメリット、必要な費用、売上の実態、そして成功のポイントまで徹底解説します。
社労士の独立開業に興味がある方は、是非ご一読ください。
【目次】
1. 独立開業した社労士の売上は1,000万以上?
開業社労士事務所の年間売上は、平均1,658万円です。ただし平均値は一部の大規模事務所に引き上げられており、中央値は550万円です。
(出典:社会保険労務士白書 2024年版)
売上と所得(手取り金額)は異なりますが、社労士は半数近くが自宅内で開業しており、仕入れも必要ありません。そのため経費を抑えやすい仕事です。そのため、独立開業によって「年収1,000万円」を達成できる可能性は十分にあるといえるでしょう。
ちなみに、2024年の社労士白書では「平均的な開業社労士」の姿として、次のような社労士像が示されています。
開業歴約13年で、1事務所の体制としては開業社労士自身を含む2人体制で、年間売上は約 1,658 万円であるような社労士を、この調査結果の平均的な開業社労士像としてイメージすることができる。
(引用:社会保険労務士白書 2024年版)
開業初期は収入が安定しないこともあるでしょう。
しかし、実績を積み重ねていくことで、年収1,000万円以上の高収入を目指せるチャンスが広がっているのです。独立開業した社労士は、経験を積むことで年収1,000万円以上を目指せる可能性が十分にあるといえます。
2. 社労士は未経験からでも独立開業できる?
独立開業は社労士にとって特別なことではありません。
社労士の2人に1人は独立開業しており、さらに開業社労士の80%近くが未経験からスタートしています。開業社労士の割合や未経験から開業した人の割合について、さらに詳しく説明します。
2-1. 社労士は独立開業している人が53.7%
社会保険労務士白書2025年版によれば、2025年(令和7年)3月31日現在、登録者46,237人のうち53.7%にあたる24,819人が開業社労士(社労士法人の社員を除く)として登録しています。社労士法人の社員8.9%を含めると、6割を超える社労士が開業側で働いている計算です。
「開業できる社労士は限られた人だけ」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際にはそうではありません。独立開業は特別なことではなく、多くの社労士が実現できるキャリア選択なのです。
2-2. 未経験から開業した人はどれくらい?
開業社労士のうち、開業の直前まで社労士事務所や社労士法人で働いていた人は21.0%です。残りの8割近くは、社労士の実務とは別の職業から独立しています。
最も多いのは社労士事務所以外の会社員で、46.5%を占めます。
出典:2024年度社労士実態調査 調査結果(詳細版)
ここで一つ補足があります。この設問が聞いているのは「開業の直前まで就いていた主な職業」です。過去に社労士事務所で働き、その後に別の仕事を経て開業した人は、この21.0%には入りません。企業の人事労務部門で経験を積んだ人も同じです。そのため「8割が実務未経験」とまでは言い切れません。
一方で、開業直前まで社労士事務所などに勤めていた21.0%の人は、平均勤務年数が8.2年でした。5年未満は39.4%です。実務を経てから開業する人は少数派ですが、その人たちは相応の年数を積んでいることになります。
いずれにしても、社労士事務所での勤務を経ずに開業する道は、例外ではなく主流です。実務経験が2年に満たない場合は「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」を修了すれば登録できます。他の業界で培った経験やスキルを、そのまま独立の土台にできます。
※社労士の事務指定講習について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
3. 社労士が独立開業した後のイメージを掴もう
社労士の独立開業に興味があるなら、開業後の姿をイメージすることが重要です。
具体的なイメージを掴むことで、自分の将来の姿をリアルに思い描くことができるからです。ここでは、「社会保険労務士白書(2024年版)」のデータを元に、独立開業した社労士の働き方を説明します。
3-1. 従業員数は1人〜2人が多い
独立開業している社労士事務所の56.4%は自身「1人」で運営されています。
本人を含めて2人の事務所が11.1%となっており、約7割の事務所が社労士自身を含めて2人以下の体制で業務を行っています。

(画像引用:社会保険労務士白書 2024年版)
本人を含む1事務所あたりの平均人数は2.7人ですが、これは一部の大規模事務所が平均値を引き上げている結果です。実際に最も多いのは、社労士本人だけの1人事務所です。
3-2. 自宅開業と事務所を借りるのは半々
事務所を自宅内に置くか、外に借りるかは、ほぼ半々に分かれます。
2024年度社労士実態調査によると、事務所が居宅内(自宅内)にあると答えた開業社労士は49.1%、居宅外にあると答えた人は50.8%でした。調査でも「比としてはおよそ1対1である」とまとめられています。
出典:2024年度社労士実態調査 調査結果(詳細版)
社労士には他士業のような事務所要件が少ないため、自宅開業は初期費用を抑える手段として現実的な選択肢になります。
自宅事務所の最大のメリットは、賃料などの固定費を大幅に減らせることです。通勤時間もなくなるため、育児や介護と両立しやすく、働く時間を組み立てやすくなります。
一方で、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、来客に応対するスペースの確保も簡単ではありません。自宅の住所が公表されることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
同じ調査には、もう一つ手がかりがあります。居宅内の割合は、開業年数や売上、顧問契約社数の区分が上がるにつれて低くなるという傾向です。事務所の規模が大きくなるほど、外に構える人が増えていきます。
自宅開業は、開業直後の出発点として無理のない選択です。仕事が増えて手狭になった段階で事務所を借りるという進み方は、この傾向とも整合します。
出典:2024年度社労士実態調査 調査結果(詳細版)
3-3. 顧問契約社数は中央値で10社
開業後に何社の顧問先を持つのかを見ていきましょう。
顧問契約社数の中央値は10社です。平均値は33.2社ですが、これは100社以上を抱える一部の大規模事務所が引き上げた数字なので、開業後の見通しを立てるときは中央値のほうを見てください。
分布を見ると、1〜9社が28.2%で最も多く、10〜19社が13.3%と続きます。顧問契約が0社という開業社労士も16.5%います。 0社を含めると、20社未満の社労士が58.0%と6割近くを占める計算です。
一方で、100社以上の顧問先を持つ社労士も8.3%います。30社以上まで広げると29.4%で、およそ3割です。開業年数を重ねるほどこの層に近づいていきます。

顧問先10社で年600万円、30社で1,200万円が一つの目安です。 年収1000万円を目標にするなら、30社前後の顧問先を持つことが具体的な到達点になります。
まずは数社の顧問先からスタートし、実績と信頼を積み重ねながら顧問先を増やしていくのが現実的な進め方です。中央値の10社を当面の目標に置くと、開業直後の計画が立てやすくなります。
4.【独立開業後の年数別】社労士の売上モデル
社労士として独立開業すると、売上はどのように上がっていくのでしょうか?
開業後の年数別に、売上の変化を見ていきましょう。
【独立開業後の社労士の売上モデル】
| 500万円 未満 | 500万〜 1,000万円 未満 | 1,000万円 以上 | 平均売上 | 中央値 | |
| 5年未満 | 66.5% | 12.4% | 13.2% | 612.7万円 | 135万円 |
| 5年~9年 | 46.3% | 19.5% | 29.2% | 1427.8万円 | 500万円 |
| 10年~14年 | 38.1% | 19.1% | 37.6% | 1889.5万円 | 660万円 |
| 15年~19年 | 35.2% | 19.1% | 41.1% | 1830.9万円 | 800万円 |
*原典の9区分を3区分に集約しています。「500万円未満」は「収入なし」を含み、「1,000万円以上」は「1,000万円以上2000万円未満」から「1億円以上」までを合算した数値です。
開業して5年未満の社労士事務所では、売上500万円未が66.5%を占めます。中央値は135万円です。
ここで直視しておきたいのは、開業5年未満の17.1%が「収入なし」と答えていることです。資格を取ればすぐに収入が立つわけではありません。開業当初の生活費をどう確保するかは、独立を決める前に考えておくべき問題です。
ただし、この「収入なし」は年数とともに急速に減ります。5年〜9年で4.0%、10年〜14年で3.6%、20年を超えると2.2%です。
売上の伸び方は、中央値で見るとはっきりします。5年未満の135万円が、5年〜9年で500万円、10年〜14年で660万円、15年〜19年で800万円、25年〜29年で1,000万円と、開業年数とともに一貫して上がっていきます。
1,000万円以上を売り上げる社労士の割合も同じ方向に動きます。5年未満では13.2%ですが、10年を超えると37.6%、20年を超えると45.5%、25年を超えると53.1%と半数を上回ります。
なお平均売上は15年〜19年で1,830.9万円と、10年〜14年の1,889.5万円をわずかに下回ります。平均値は一部の大規模事務所に左右されるため、開業後の見通しを立てるときは中央値を基準にしてください。
このデータから読み取れるのは、社労士として独立開業することの伸びしろです。最初の数年は厳しく、時間もかかります。しかし顧問先と実績を積み上げていけば、年収1,000万円を超えることも現実的な目標になります。
※社労士の年収について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
5. 社労士が独立開業するメリット
社労士として独立開業することには、様々なメリットがあります。
- 自分次第で高収入を目指せる
- 好きな時間、好きな場所で働ける
- 安定した継続案件が多い
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
5-1. 自分次第で高収入を目指せる
独立開業する最大のメリットは、自分の努力次第で高い収入を得られることです。
会社員として働く場合、給与は会社が決めた範囲内に制限されます。5年後に、収入が3倍になっているような上がり方はあまり期待できません。
しかし独立開業すれば、自分の力で稼げる金額に上限はありません。提供するサービスの質を高め、信頼を積み重ねていくことで、年収1,000万円以上も十分に目指せるのです。
顧問契約を増やしたり、専門分野の知識を深めて単価の高い案件を獲得したりすることで、収入アップを図ることができます。自分の市場価値を高め、それに見合った報酬を自分で決められるのは、独立開業の醍醐味といえるでしょう。
5-2. 好きな時間・好きな場所で働ける
働く時間や場所を、自分で自由に決められることも独立開業の大きなメリットです。
会社勤めをしていると、決められた時間に出社し、指示に従って働く必要があります。しかし独立開業すれば、自分の裁量で自由にスケジュールを組むことができます。
朝型の人なら早朝から集中して仕事を進め、午後は自分の趣味に充てることもできます。家族との時間を大切にしたい人は、子どもの学校イベントに合わせて仕事のスケジュールを調整することも可能です。ライフステージに合わせた働き方ができるのは、独立開業の大きな魅力です。
また、働く場所も自由に選べます。自宅を事務所にして通勤時間をゼロにしたり、カフェなどで気分を変えて仕事をしたり、場所にとらわれない働き方が実現できるのです。
自分の働き方を自分でデザインできることは、独立開業ならではのメリットといえるでしょう。
5-3. 安定した継続案件が70%以上
社労士の独立開業には、安定した継続案件を見つけやすいというメリットもあります。
「2024年 社労士白書」のデータによると、社労士事務所の売上内訳は顧問契約が平均71.9%、スポット受注が28.1%となっています。つまり、売上の7割以上が継続的な顧問契約から生まれているのです。
これは、他の士業と比べても社労士ならではの特徴です。例えば「行政書士」の場合、スポット契約の比率が高く、1件あたりの単価は高くても安定的な売上を確保しにくいと言われています。
しかし「社労士」の場合、従業員の労務管理といった継続的なサービスをメインに取り扱うため、顧問契約という形で毎月安定した収入を得やすいのです。いわゆる「フロー型」ではなく「ストック型」のビジネスをイメージすると良いでしょう。
一度クライアントを獲得すれば、長期的な関係を築きやすいので、独立開業のリスクを大きく軽減してくれます。新規開拓のプレッシャーが少なく、安定した経営基盤を作りやすいことは、社労士で独立開業する大きなメリットといえるでしょう。
6. 社労士が独立開業するデメリット
社労士として独立開業することには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。特に「収入の不安定さ」と「集客の難しさ」は、独立開業を考える上で覚悟しておくべき問題です。
6-1. 収入が不安定になりやすい
独立開業する大きなデメリットは、収入が不安定になりやすいことです。
毎月決まった給与が振り込まれるわけではありません。会社員のように、働いた分が翌月そのまま収入になるという保証はないのです。
ただし社労士の場合、その不安定さには特徴があります。月ごとに収入が乱高下するというより、開業してから収入が立ち上がるまでに時間がかかるという形で現れます。
実際の数字を見てみましょう。開業5年未満の社労士事務所では、17.1%が「収入なし」と回答しています。売上500万円未満まで広げると66.5%で、中央値は135万円です。顧問契約が0社という開業社労士も16.5%います。
出典:2024年度社労士実態調査 調査結果(詳細版)
一方で、いったん顧問先がついてからの収入は読みやすくなります。開業社労士の売上は平均で71.9%が顧問契約によるもので、毎月の入金が積み上がる形だからです。開業5年〜9年になると「収入なし」は4.0%まで下がり、10年〜14年では1,000万円以上が37.6%に届きます。
つまり社労士の収入リスクは、当たり外れの大きさではなく、最初の数年をどう乗り切るかに集中しています。開業前に生活費の見通しを立てておくことが、そのまま最大の備えになります。
6-2. 集客力が必要になる
自分自身で顧客を獲得する必要があることも、独立開業の大きなデメリットです。
会社員であれば、会社が顧客を見つけてくれるので、自分で仕事を探す必要はありません。しかし独立開業すると、自分で営業活動を行い、顧客を見つけなければいけません。いくら専門知識があっても、営業が苦手だと集客に苦戦してしまいます。専門性を磨くだけでなく、自分の価値や強みをアピールして、自分のことを知ってもらう努力が求められるのです。
HPを作成したり、SNSを活用したり、人脈を形成したりするなど、様々な方法が必要になるでしょう。他の社労士との差別化を図ったり、一度獲得した顧客との信頼関係を大切にして、紹介を得られるよう努めることも大切です。
社労士としての専門スキルに加え、マーケティングや営業スキルも必要になることは、独立開業の大きなハードルです。しかしこれらは、社労士に関わらず、独立開業には必要不可欠なスキルです。身につけて損はありません。
できれば開業前に、すでに独立開業している先輩社労士から、開業成功のコツなど話が聞けるとよいでしょう。開業前から集客について情報収集し、準備をしておくことが、独立開業を成功させる近道となります。
伊藤塾では、「合格後を考える」という理念のもと、社労士だけでなく弁護士、司法書士、行政書士といった他資格の伊藤塾卒業生が集う「同窓会」や「明日の社労士講座」など、受講中だけでなく合格後も皆様を支援するしくみをご用意しています。
社労士を目指されている皆様は、合格も合格後も安心して伊藤塾にお任せください。
※~伊藤塾で「社労士」を目指す意味とは~ 伊藤真塾長×持田裕講師の対談動画はこちらをご覧ください。
7. 社労士が独立開業するための費用
社労士として独立開業を考えるとき、まず知っておくべきなのが必要な開業資金です。
社労士は、他の資格と比べて低コストで開業できると言われていますが、自宅以外で事務所を構える場合、全体で110万円程度の資金を見ておくと安心です。
どのような費用がかかるのか、具体的な内訳を見てみましょう。
| 項目 | 金額 |
| 社労士登録費用 | 20万6千円 |
| 講習費用(未経験の場合) | 7万7千円 |
| パソコン、コピー機 電話、FAXなど | 15万〜 |
| 机や椅子、オフィス用の 什器など | 10万〜 |
| HPなどの広告費 | 5万〜 |
| 事務所を賃貸する場合に かかる初期費用 | 50万〜 |
※これらの金額はあくまで目安です
登録費用206,000円の内訳は、登録免許税30,000円、登録手数料30,000円、入会金50,000円、年会費96,000円です。
入会金と年会費は都道府県会ごとに異なります(上表は東京都社会保険労務士会の場合)。
年会費は初年度のみ入会月に応じた月割です(東京都会は入会月から3月までの月数×8,000円)。実際の初年度負担は96,000円より少なくなる場合があります。
事務指定講習の受講料は、実務経験が2年に満たない方が対象です。従業員を雇用する場合は、人数分の人件費も別途かかります。ただし開業当初から従業員を雇うケースは多くありません。
なお登録申請は、2025年(令和7年)7月15日からマイナポータルを使ったオンライン申請も選べます。登録免許税と手数料は紙申請と同額です。出典:東京都社会保険労務士会 登録・入会について
※社労士の登録について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
開業費用を抑えたい方には、自宅を事務所にする方法があります。事務所の賃貸にかかる初期費用がなくなるため、開業資金をおよそ60万円前後まで下げられます。
少ないリスクで独立を目指すなら、まずは自宅開業から始めるのも一つの選択です。費用を抑えて小さく始め、仕事が増えてから広げていけるのは、社労士ならではの強みといえます。
8. 独立開業した社労士が成功する4つのポイント
社労士として独立開業して成功するためには、次の4つのポイントを押さえることが重要です。
・専門性を磨く
・集客力を高める
・士業の人脈を広げる
・ダブルライセンスなどで差別化する
それぞれのポイントについて更に詳しく見ていきましょう。
8-1. 専門性を磨く
社労士として成功するための第一のポイントは、専門性を高めることです。
社労士の業務範囲は非常に広く、すべての分野に対応するのは現実的ではありません。むしろ、特定の分野に特化して専門性を高めることで、他の社労士との差別化を図り、高い報酬を得ることができるようになります。
「年金問題に力を入れる」「企業の労務管理を専門的に取り扱う」「助成金に強くなる」など、自分の得意分野を見つけて追求していくことが大切です。専門性が高まれば、より複雑な案件にも対応できるようになり、顧客からの信頼も厚くなります。
「〇〇分野の専門家」というイメージが定着していけば、仕事の単価も格段に高くなるでしょう。
8-2. 集客力を高める
社労士として成功するためには、集客力を高めることも重要です。
どれだけ専門性が高くても、それを知ってもらう機会がなければ仕事につながりません。積極的に発信して、継続的に顧客を獲得できる仕組みを作ることが大切です。
例えば、ホームページやSNSを活用した情報発信は非常に効果的です。自分の専門知識や実績をわかりやすく伝え、顧客が知りたい内容を発信することで、知名度を高めることができます。法改正のポイントや助成金の申請方法など、企業の役に立つ情報を定期的に提供すれば、自然と問い合わせが増えるでしょう。
また、既存顧客からの紹介を増やす工夫も必要です。「この社労士に任せておけば安心」と思ってもらえるサービスを提供できれば、自然と口コミが広まり、紹介によって仕事が増えていきます。
8-3. 士業の人脈を広げる
士業同士のネットワークを広げることも重要なポイントです。
社労士の業務範囲は広いですが、それでもカバーできない領域があります。行政手続きは行政書士、税務は税理士、訴訟は弁護士というように、それぞれの専門家との提携が必要になるケースは多いです。
信頼できる他士業との人脈があれば、その都度、顧客にとって必要な専門家を紹介できます。その結果として満足度が高まることはもちろん、その専門家から別の顧客を紹介してもらえるケースも多いのです。例えば、行政書士事務所や税理士事務所などと提携して、お互いに顧客を紹介し合っているケースは珍しくありません。
そのためには、積極的に士業同士の交流会や勉強会に参加し、信頼関係を築いていくことが大切です。「この案件はこの人に任せれば間違いない」と思えるパートナーを見つけることができれば、仕事の幅は格段に広くなります。
伊藤塾の同窓会には、弁護士、司法書士、行政書士、宅建士としてご活躍中の卒業生の皆様が参加され、情報交換、人脈を広げる場としてご活用いただいています。
8-4. ダブルライセンスなどで差別化する
社労士として成功するための4つ目のポイントは、自分ならではの強みを持つことです。
その手段としてよく挙げられるのがダブルライセンスです。ただし、ここには一つ誤解があります。資格を増やすこと自体は、思ったほど差別化になりません。
2024年度社労士実態調査によると、開業社労士13,061人のうち、社労士以外の国家資格を持たない人は52.2%でした。裏を返せば、無回答を除く46.3%は、すでに何らかの国家資格を併せ持っていることになります。

最も多い行政書士は、開業社労士の5人に1人が保有しています。つまり、行政書士登録をしたからといって、それだけで希少な存在になれるわけではありません。
では、何が差別化を生むのでしょうか。答えは資格の数ではなく、組み合わせに必然性があるかどうかです。
たとえば行政書士を併せ持てば、会社設立や各種許認可の手続と、その後の就業規則作成・社会保険手続を一続きで引き受けられます。依頼する企業から見れば、窓口を分けずに済むという明確な利点があります。外国人材を採用する企業であれば、在留資格の申請から入社後の労務管理までを同じ担当者に任せられます。
大切なのは、二つの資格がつながる場面を自分の言葉で説明できることです。そしてこれは、ダブルライセンスに限った話ではありません。特定の業種に絞る、就業規則の作成に特化する、人事評価制度の設計まで踏み込むなど、強みの作り方はいくつもあります。
結局のところ、最も大切なのは「この社労士に依頼すべき理由」を明確に示せるようになることです。自分ならではの価値を常に意識することが、独立開業後の成功につながる大きなポイントといえるでしょう。
※社労士と行政書士の難易度の違いについて詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
9. 社労士の独立開業に関するよくある質問(FAQ)
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開業社労士は全国に何人いますか?
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2025年(令和7年)3月31日現在、社労士の登録者46,237人のうち、開業社労士は24,819人で53.7%です。これに社労士法人の社員4,127人(8.9%)を加えると28,946人となり、登録者の62.6%が開業側で働いている計算になります。残りの17,291人(37.4%)が勤務等の区分です。
出典:社会保険労務士白書2025年版
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独立開業した社労士の平均年齢は何歳ですか?
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社労士全体の平均年齢は55.5歳です。年齢構成は40歳代が25.1%、50歳代が32.4%、60歳代が23.1%となっており、40歳以上が9割を超えています。なお開業社労士だけを取り出した平均年齢は公表されていないため、この数値は勤務社労士を含む全体のものです。
出典:2024年度社労士実態調査
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開業社労士の平均的な開業歴は何年ですか?
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平均13.3年です。ただし内訳を見ると開業5年未満が24.0%、5年から9年が19.7%で、開業10年未満の社労士が4割を超えています。ベテランばかりの世界ではありません。
出典:2024年度社労士実態調査 詳細版
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勤務社労士と開業社労士は何が違いますか?
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登録の種別が違います。開業は自分の事務所を設けて、自分の名前で依頼を受ける形です。勤務等は、勤務先の従業員として社労士業務にあたる形になります。
所属する都道府県会も変わります。開業は事務所の所在地、勤務は事業所の所在地が属する都道府県の会に所属します。入会金と年会費も種別ごとに異なり、東京都社会保険労務士会の場合、開業は入会金50,000円・年会費96,000円、勤務等は入会金30,000円・年会費42,000円です。
収入の考え方も別物です。勤務は給与ですが、開業は事務所の売上から経費を差し引いたものが手元に残ります。※登録の種別について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
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独立と勤務は、どちらを選べばよいですか?
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判断の分かれ目は、収入が立ち上がるまでの時間を確保できるかどうかです。
独立が向いているのは、収入の上限を自分で決めたい方、働く時間や場所を自分で組み立てたい方です。開業社労士の年間売上は中央値で550万円ですが、顧問先が30社を超えると中央値は1,200万円まで上がります。一方で、開業5年未満の社労士は17.1%が「収入なし」と回答しており、売上の中央値は135万円です。毎月決まった収入を優先したい方や、営業よりも実務に集中したい方には、勤務という選び方も現実的です。
勤務を続けながら準備を進め、顧客の見通しが立った段階で独立する進み方もあります。どちらか一方を今すぐ選ばなければならないわけではありません。
出典:2024年度社労士実態調査 詳細版
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社労士試験に合格したら、すぐに独立開業できますか?
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試験の合格だけでは開業できません。全国社会保険労務士会連合会への登録が必要です。
登録には、労働社会保険諸法令に関する事務に通算2年以上従事した経験か、事務指定講習の修了が求められます。実務経験がない方は事務指定講習を修了すれば登録できます。受講料は77,000円(税込)です。実際、開業の直前まで社労士事務所や社労士法人で働いていた人は21.0%にとどまり、8割近くは事務所勤務を経ずに開業しています。合格後すぐに独立する道は、例外ではありません。
※事務指定講習について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
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会社に勤めながら社労士として開業できますか?
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準備は在職中に進められます。事務指定講習は通信指導課程とeラーニングで構成されているため、働きながらでも受講できます。ただし登録の種別は、開業・社労士法人の社員・勤務等・その他から一つを選ぶ形です。在職のまま開業で登録できるかどうかは、勤務先の就業規則で副業が認められているかと、所属予定の都道府県会への確認が必要になります。
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社労士として独立して廃業することはありますか?
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連合会が廃業率を公表した資料は確認できませんが、収入が立ち上がるまでに時間がかかるのは事実です。
開業5年未満の社労士事務所では17.1%が「収入なし」と回答し、売上500万円未満まで広げると66.5%を占めます。顧問契約が0社という開業社労士も16.5%います。備えとして現実的なのは、開業前に生活費の見通しを立てておくことです。前職の人脈があり、顧問先の当てが数社ある方であれば、立ち上がりは早くなります。逆に貯えがないまま独立するより、勤務を挟んで顧客との接点を作ってから独立する進み方のほうが、無理がありません。
出典:2024年度社労士実態調査 詳細版
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顧問先がゼロの状態からでもやっていけますか?
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顧問契約が0社の開業社労士は16.5%いますが、その年間売上は中央値で20万円です。スポットの依頼だけで生活を成り立たせるのは簡単ではありません。
顧問先が1社から9社になると売上の中央値は200万円、10社から19社で600万円、30社から39社で1,200万円まで上がります。開業社労士の売上は平均で71.9%が顧問契約によるものです。
まずは顧問先10社を当面の目標に置くと、計画が立てやすくなります。10社は開業社労士全体の中央値にあたる数です。
出典:2024年度社労士実態調査 詳細版
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40歳代や50歳代から独立しても遅くありませんか?
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遅くありません。社労士の年齢構成は40歳代が25.1%、50歳代が32.4%、60歳代が23.1%で、40歳以上が9割を超えています。20歳代は0.4%、30歳代は6.6%です。
平均年齢は55.5歳、平均の開業歴は13.3年です。企業で人事や労務を担当してきた経験は、そのまま顧客への提案材料になります。年齢が不利に働きにくい仕事だといえます。
出典:2024年度社労士実態調査
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一人で開業しても業務は回りますか?
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開業社労士事務所の56.4%は、社労士本人だけの1人体制で運営されています。本人を含めて2人の事務所を加えると67.5%で、7割近くが2人以下です。本人を含む1事務所あたりの平均人数は2.7人ですが、これは一部の大規模事務所が引き上げた数字です。
売上の71.9%を顧問契約が占めるため、毎月の業務が読みやすく、一人でも計画を立てやすい構造になっています。人を雇うのは、業務が増えてからで間に合います。
出典:2024年度社労士実態調査 詳細版
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登録の手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?
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全国社会保険労務士会連合会は、登録完了後2週間程度で社労士証票を発行するとしています。証票は登録日に簡易書留郵便で発送されます。2025年(令和7年)7月15日からは、マイナポータルを使ったオンライン申請も選べるようになりました。登録免許税30,000円と手数料30,000円は紙申請と同額です。ただしオンライン申請では都道府県会の入会手続はできないため、入会の手続きは別途必要になります。
出典:社労士の登録申請について(オンライン申請)
10. 社労士の独立開業後の実態まとめ
記事のポイントをまとめます。
- 独立開業後の年収は1,000万円以上も狙える
- 社労士は未経験からでも独立開業できる
| ・社労士の半分以上は独立開業している ・開業前の仕事は一般のサラリーマンが最多(46.5%) |
- 独立開業した社労士のイメージ
| ・スタッフの目安は1人〜2人 ・事務所は自宅内と自宅外がほぼ半々 ・顧問契約数は平均33社 |
- 開業10年で、4割近くの社労士が売上1,000万円を達成
- 社労士が独立開業するメリット
・自分次第で高収入を目指せる
・好きな時間、好きな場所で働ける
・安定した継続案件が70%以上
- 社労士が独立開業するデメリット
| ・収入が不安定になりやすい ・集客力が必要になる |
- 社労士が独立開業するための費用は60万〜110万円が目安
- 立開業した社労士が成功するポイントは4つ
| ・専門性を磨く ・集客力を高める ・士業の人脈を広げる ・ダブルライセンスなどで差別化する |
以上です。
社労士は未経験からでも独立開業しやすく、経験を積むことで着実に収入も上がっていきます。社労士として働いてみたい、知識やスキルを使って企業活動に貢献していきたいと思う方は、ぜひ社労士試験にチャレンジしてみてください。
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合格をあきらめずに、夢の実現に向けて、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
※伊藤塾 2027年合格目標・社労士合格講座ガイダンスの動画はこちらをご覧ください。