社労士の将来性を徹底解剖・AI時代に求められるスキルと今後の需要を解説

仕事・年収

社会保険労務士(以下、社労士)は、労働社会保険諸法令に基づく手続や労務管理の専門家として、多くの企業から信頼を寄せられています。

しかし、AI技術の進化や労働環境の変化により、その役割や求められるスキルにも少しずつ変化が生じているのも事実です。そのようなAI時代において、社労士の将来性はどうなるのか。これから社労士試験の受験を検討している方にとっては、非常に気になるところではないでしょうか。

そこで、本記事では社労士の将来性に焦点を当て、今後の需要や必要とされるスキルについて詳しく解説してまいります。社労士の仕事に少しでも興味がある方は、ぜひ最後までご一読ください。

1. 社労士の仕事に将来性はある?

社労士の仕事は、近年の働き方改革や頻繁に行われる法改正により、さらにその需要が増しています。

社労士は国家資格であり、試験の合格率は近年5%台から7%台で推移しており、直近の2025年度(令和7年度)試験は5.5%でした。
出典:厚生労働省 第57回社会保険労務士試験の合格者発表

その希少性や専門性の高さ、また業務独占資格であるという点からみても、日本社会における雇用制度や社会保険制度が存続する限り、社労士の将来性について心配する必要はないといえるでしょう。

しかし、「社労士は食えない」「社労士の仕事はAIに奪われてなくなる」というような記事を見かけたり、意見を耳にしたりして、心配が払拭されないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、次章では多くの方が懸念されているAIの影響と社労士の将来性について、社労士の業務内容ごとに確認し、社労士の将来性が明るい理由を詳しく解説していきます。

2. 社労士の主要業務とAIの普及による影響

近年、AIを利用して業務を効率化している社労士や企業の人事労務担当者は増えつつありますが、すべての社労士業務がAIに取って代わられるということは起こり得るのでしょうか。社労士の主要業務それぞれについて、AIの普及が及ぼす影響について具体的に見ていきましょう。

2-1. 手続代行業務(1号業務)

「1号業務」とは、労働社会保険諸法令に基づく手続を社労士が担う業務です。具体的には、申請書等の作成、その提出手続の代行、そして事務代理の3つに分かれます。提出先は労働基準監督署・公共職業安定所(ハローワーク)・年金事務所等の行政機関です。

事務代理とは、依頼者に代わって申請等を行い、行政機関の調査や処分に関して主張や陳述をすることをいいます。
社労士法により独占業務(無資格者により業として行うことが制限されている業務)とされています。

「1号業務」はもっともAIによる代替が懸念されている業務ですが、現行法においては完全な自動化は難しく、社労士業務から無くなる可能性は低いといえます。理由は以下の通りです。

・複雑で専門的な判断が必要な場合がある
法令の解釈や個別ケースに応じた判断が必要な場合、AIは常に柔軟に対応できるとは限りません。複雑なケースやイレギュラーな状況では、社労士の専門知識と経験が必要です。

・行政機関との折衝が必要になる
事務代理では、労働基準監督署の調査や年金事務所の照会に対して、依頼者の実情を踏まえた説明や主張を行います。相手の反応を見ながら論点を組み立て、落としどころを探る場面もあります。定型的な入力や書類作成とは性質が異なり、AIが単独で担うことは想定しにくい領域です。

・顧客とのコミュニケーション
顧客のニーズを理解し、具体的なアドバイスや提案を行うコミュニケーション力は、人間ならではの能力です。AIはあくまでデータに基づく対応しかできないため、信頼関係や相談業務の部分は引き続き社労士の役割となるでしょう。

・法的な責任
AIが書類を自動作成する場合でも、その内容に対する最終的な法的責任は人間が負う必要があります。社労士が法律に基づいて適切な内容であることを確認し、責任を持つ役割は維持されるはずです。


上記の通り、「1号業務」が完全にAIに奪われる可能性は低いといえるでしょう。ただし、AI技術の活用によって業務効率化が進むことは間違いありません。書類の作成や提出といった定型部分は効率化が進む一方で、事務代理のように行政機関と直接向き合う部分は社労士の役割として残ります。

例えば、AIを活用した労務管理システムや自動申請ツールなどが開発され、社労士の業務をサポートするようになるでしょう。

社労士は、AI技術を理解し、活用することで、より高度な業務に注力できるようになるのです。

2-2. 帳簿作成業務(2号業務)

「2号業務」についても1号業務と同様、AIに完全に奪われることはないでしょう。
「2号業務」とは、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成する業務です。紙の帳簿だけでなく、システム上の電磁的記録を作成する場合も含まれます。

帳簿とは主に「労働者名簿」「出勤簿」「賃金台帳」「年次有給休暇管理簿」の4つを指します。労働者名簿と賃金台帳は労働基準法、年次有給休暇管理簿は同法施行規則により、企業に作成と保存が義務付けられています。年次有給休暇管理簿には、時季・日数・基準日を労働者ごとに記載し、対象期間の満了後3年間保存することが求められます。

出勤簿については、労働基準法に名称の定めがありません。ただし労働安全衛生法により、企業には労働者の労働時間の状況を把握し、その記録を3年間保存することが義務付けられています。このほか、就業規則や各種労使協定の作成業務も2号業務に含まれます。
出典:e-Gov法令検索 労働基準法施行規則
参考:厚生労働省
年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

AIはこれら帳簿の生成や更新をスピーディーに行えますが、内容の正確性や法的な適合性を保証するには社労士の確認が欠かせません。特に、法改正が頻繁に行われる昨今の日本の労働法制では、AIだけで最新のルールに対応することは難しいため、社労士の介在が重要です。

2-3. コンサルティング業務(3号業務)

「3号業務」とは、労務管理や社会保険などに関する相談、指導、コンサルティング業務を指します。2025年の社会保険労務士法改正では、法令・労働協約・就業規則・労働契約の遵守状況を監査すること(労務監査)が3号業務に含まれることが条文上明記されました。

専門家としての判断そのものが法律上の業務として位置づけられた領域であり、1号から3号業務のなかでもっともAIによる代替が難しく、将来性のある業務といえます。
出典:e-Gov法令検索 社会保険労務士法
全国社会保険労務士会連合会 第9次社会保険労務士法改正成立

2-4. 紛争解決手続代理業務

紛争解決手続代理業務については、将来的にもAIが行うには難しいと予想される業務です。この業務を行えるのは、社労士のなかでも「特定社労士」に限られます。特定社労士とは、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた社労士のことです。社労士とは別の資格ではなく、社労士登録に上乗せされる位置づけになります。

紛争解決手続代理業務とは、企業と従業員との間でトラブルが発生した際、特定社労士が当事者の代理人として裁判外でトラブル解決のサポートを行うものです。社会保険労務士法により、この業務は特定社労士でなければ行うことができないと定められています。ただし、弁護士は他の法律の定めにより同様の代理を行うことができます。

この分野は、AIが直接関与することが難しい領域です。もちろん、特定社労士が紛争解決のための事前調査や解決案の検討のためにAIを利用することはあり得ますが、現行の手続では、当事者や代理人として出席するのは人間に限られています。

労働トラブル問題は感情的な側面が大きく、当事者間の交渉には共感力や調整能力が求められます。AIが提供するデータ分析や法的アドバイスはサポートに過ぎず、実際の交渉や説得は社労士が担うべき重要な役割です。

※特定社労士について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

3. 労働環境の変化と社労士の需要の高まり

社労士が将来性のある職業であることの理由として、昨今の労働環境の変化により社労士の需要が高まっていることが挙げられます。

近年、働き方改革や法改正が進む中で、労働環境や労働現場の課題が大きく変化しています。このような変化は同時に企業において対応すべき労務課題が発生することになるため、社労士の需要がますます高まっているのです。特に、以下の3つの要因がその背景にあります。

3-1. 働き方改革や相次ぐ法改正による、企業の社労士ニーズの増加

2016年(平成28年)の働き方改革実現会議の設置以降、政府による働き方改革の取り組みが本格化し、企業側に求められる対応が増加しています。

以下は、働き方改革の実現に向けた厚生労働省の取り組みのなかで見直された項目で、これによって一部または全部の項目への対応(就業規則の変更等)が必要となりました。


出典:厚生労働省|「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について

また、働き方改革を実現するための段階的な法改正への対応も、継続的に必要になります。例えば、残業時間の上限規制について適用猶予されていた一部業種(建設業、ドライバー、医師等)について、2024年4月より規制が開始されました。特に物流業界では「物流の2024年問題」といわれ、マスコミも大きく取り上げていたこともあり、耳にした方も多いのではないでしょうか。

これにより、関連する企業は人材不足の問題を抱えながら、必要に応じて社内規定の見直しや、従業員の労働時間を短縮するような対応が求められました。

さらに、2026年(令和8年)10月1日からは、改正労働施策総合推進法によりカスタマーハラスメント対策が事業主の義務となります。対象となるのは、顧客等の言動のうち社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものです。

企業には、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事実関係の確認から再発防止までの事後対応が求められます。同じ日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も義務化されます。指針はすでに告示されているため、企業は施行までに就業規則や社内マニュアル、相談窓口の整備を進めることになります。
参考:厚生労働省 令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます

このような場面では、就業規則や人事コンサルティングの相談に乗ることができる社労士のサポートが不可欠となるため、将来的にも需要がなくなるということはないといえるでしょう。
参考:厚生労働省 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)

3-2. 多様な雇用形態・働き方への対応を求められる企業からのニーズの増加

新型コロナウイルス感染拡大を契機に普及したテレワークによる就労や時差出勤、フレックスタイム制の導入、スポットワーカーの受け入れなど、働き方の多様化に対応する企業への支援を行うのも社労士の役割です。

具体的には、下記のような支援業務が考えられます。

・就業規則の作成・改定
・テレワーク規定の導入
・非正規雇用労働者の管理
・副業・兼業の管理業務
・フレックスタイム制度や裁量労働制の導入
・過重労働防止と健康管理
・評価制度・賃金制度の見直し
・育児・介護休業制度の整備
・ハラスメント防止に関する規定
・カスタマーハラスメント対策の体制整備
・メンタルヘルス対策
・労務リスクマネジメント
・労務管理に関するコンサルティング
・相談窓口設置など労働者とのコミュニケーション促進
・テレワークや働き方改革に関する政府の助成金申請
・多様な人材の活用支援

社労士は、上記のように企業の課題に対する実務的なアドバイスや体制構築を支援しています。企業ごとにまったく違う労働環境のなかで、適切な労務運用を行っていくためのアドバイスは今後も増えていくことが予想され、社労士の需要の高まりを後押しするでしょう。

3-3. 労働人口減少に伴う人材マネジメントの重要性の高まり

労働人口の減少に伴う人材マネジメントの重要性の高まりが注目されています。人材不足の状況下で、企業は限られた人材を効率的に活用する必要があり、従業員採用や定着支援のためのアドバイスやコンサルティングを求める企業が減ることはないでしょう。

また、この労働人口減少や人材不足の問題を政府としても解消に向けた取り組みをしていることがうかがえる例として、助成金の種類の豊富さが挙げられます。以下は、企業の人材不足課題を支援するための助成金の種類一例です。

・働き方改革推進支援助成金
・業務改善助成金
・人材確保等支援助成金
など

今後は助成金の活用を含めた、よりいっそう戦略的な労務管理に関するコンサルティングが求められていくでしょう。ここでも社労士の専門知識が活かされるため、社労士の需要が高まることが予想されます。

4. 社労士の将来性からみる今後の年収増減予想

4-1. 現状の社労士の平均年収

社労士の平均年収は、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によると1,134.6万円と公表されています。これは賃金構造基本統計調査をもとにした、企業や事務所に雇用されて働く社労士の数値です。

日本の給与所得者の平均給与は2024年(令和6年)においては478万円なので、高い水準の年収が確保できている仕事であるといえます。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag
国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査結果について

※社労士の年収について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

4-2. 将来的に社労士の年収はどうなる?

社労士の将来性は、労働環境や法律の変化に強く影響を受けます。その中で、社労士の年収は今後も一定の増加傾向が見込まれるでしょう。

しかし、すべての社労士の年収が一律に増えるわけではありません。年収面で将来性のある社労士の特徴として、以下の要素が挙げられます。

① ITツールやAIの活用ができる

従来は手作業で行っていた申請書類の作成業務が効率化される一方で、社労士にはITリテラシーを活かした新しい業務※への対応が求められています。
※クラウドシステムを利用した勤怠管理や、RPA(Robotic Process Automation)による単純な手続作業の自動化など

この変化に適応でき、さらに顧問先への導入支援までできる社労士は、収入の面でも優位性を持つでしょう。

② 法改正への対応が迅速にできる

3章で紹介した働き方改革関連法の施行や時間外労働の上限規制に加え、2026年10月にはカスタマーハラスメント対策が義務化されます。企業が対応すべきタスクは増え続けており、今後なくなることはありません。

これらの変化に伴い、社労士に対する企業の依頼件数が増加し、そのチャンスをしっかり掴むことができる社労士は収入アップの見込みが十分にあると考えられます。

逆にアプローチが後手に回る社労士は、顧客の期待を超えることができず、チャンスを拡大することはできません。日頃から法改正や労務ニュースにアンテナを張って、いつ相談や対応依頼を受けてもすぐに応えられるよう準備できている社労士が、将来性ありといえるでしょう。

③ 複雑化する労働課題を解決できる

ハラスメント防止や多様な雇用形態への対応など、企業が直面する課題は年々増えています。また企業に対して従業員の個性を重んじることが求められる時代の波の中で、従来はなかったようなセンシティブな問題が出てくることも予想されます。

これらの問題は労働関係法令の勉強だけで解決できるものではなく、企業やヒトに寄り添い、柔軟な思考と倫理的な観点から考察し解決していく力も必要になります。顧客の職場環境やそこで働く従業員の個性に合わせたアドバイスができる、高度なコンサルティング能力を持つ社労士ほど、希少性が高く求められていくでしょう。

④ 特定社労士の付記を受けている

特定社労士の付記を受けていることは、対応できる業務の範囲を広げ、顧客からの信頼にもつながるため、年収を高める要素になります。特定社労士は、ADR(裁判外紛争解決手続)の代理人業務を行うことができます。

例えば企業と従業員の間でいじめ・嫌がらせ、不当解雇などのトラブルがあった場合、裁判によることなく専門家である第三者を介入させ問題解決に導く方法がADRです。その敷居の低さや費用面から、今後この手続の利用者が増える可能性があります。

なお、厚生労働大臣が指定する民間の紛争解決機関で行う手続については、紛争の目的の価額が120万円を超える場合、弁護士との共同受任が必要です。一方、都道府県労働局の紛争調整委員会が行うあっせんや調停では、この価額による制限はありません。扱える範囲を正確に理解したうえで、必要に応じて弁護士と連携できる特定社労士は、収入面でも優位性があるといえるでしょう。

※特定社労士について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

5. 社労士の将来性からみる社労士という仕事の魅力

社労士は、労働法や社会保険制度に関する専門家として企業の人事労務を支える重要な役割を担っています。その将来性を考えると、この仕事の魅力がより一層際立ちます。

まず、社労士の需要が高まっている点です。働き方改革や法改正が進む中で、企業は複雑化する労務管理やコンプライアンス遵守に対応しなければなりません。

時間外労働の上限規制への対応に加え、2026年10月から義務化されるカスタマーハラスメント対策など、企業が備えるべき論点は増え続けています。いずれも社労士の専門知識が欠かせない領域であり、これはあくまで一例にすぎません。このように社会や企業の変化に伴い、社労士の存在感はいっそう高まっています。

次に、キャリアの柔軟性が挙げられます。勤務社労士として企業内で安定した収入を得る道もあれば、独立開業をして自分の事務所を運営し、自由度の高い働き方を選択することも可能です。特に独立開業すれば、自分次第で高収入を得るチャンスもあります。

さらに、社会に貢献できる点も魅力です。社労士は、労働環境の改善や働きやすい職場作りを通じて、労働者の権利を守り、企業の健全な成長を支援する役割を担っています。そのため企業や労働者から感謝されることも多く、将来性や高収入の期待値を差し引いても、目の前の仕事にやりがいを感じられる仕事です。社労士は法律知識と実務スキルを生かし、社会の変化に対応しながら活躍できる専門職です。その将来性と多様な働き方、そして社会貢献性が、この仕事の大きな魅力といえるでしょう。

※社労士の仕事内容について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

6. 社労士の将来性に関するよくある質問(FAQ)

「社労士は食えない」と言われるのはなぜですか?

開業直後は顧問先がゼロから始まるため、収入が安定するまで時間がかかることが理由の1つです。手続代行だけを請け負う場合、価格競争に巻き込まれやすい点も挙げられます。一方で、労務相談や制度設計まで担う社労士は、企業から継続的に依頼を受けやすい傾向にあります。

ただし、勤務社労士として企業の人事部門や社労士事務所で働く道を選べば、開業のような収入の変動はありません。働き方によって収入の安定度は大きく変わります。

社労士の仕事はAIに置き換えられてなくなりますか?

なくなる可能性は低いといえます。申請書の作成や提出といった定型作業は自動化が進みますが、行政機関の調査に対して依頼者に代わって主張や陳述を行う事務代理は、その場の判断を伴います。労務管理の相談や紛争解決の代理も、人の判断と交渉を前提とした業務です。

もっとも、AIを使わない社労士が有利になるわけではありません。定型業務をAIに任せ、相談や制度設計に時間を振り向けられる社労士ほど、成果を出しやすくなります。

AIを使えば、企業が自社で社会保険の手続をできるようになりませんか?

一部の定型手続は自社対応が進むと考えられます。ただし、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成や提出代行を、報酬を得て業として他人から請け負えるのは社労士に限られます。自社の手続を自社で行うことと、他社の手続を代行することは、法律上まったく別の話です。

なお、自社で手続を行う企業でも、法改正に伴う規定の変更や労働基準監督署の調査への対応では、専門家の判断が必要になる場面が残ります。

社労士と行政書士では、将来性にどのような違いがありますか?

扱う分野が異なります。社労士は労働社会保険諸法令に基づく手続と労務管理を担い、企業と顧問契約を結んで継続的に関わる働き方が中心です。行政書士は官公署に提出する書類の作成を幅広く扱い、許認可などの案件ごとの依頼が中心になります。

ただし、継続的な収入を重視するなら社労士、扱う分野の幅を重視するなら行政書士というように、どちらが有利かは目指す働き方によって変わります。両方を取得して業務範囲を広げる方もいます。

勤務社労士と開業社労士では、将来性の考え方は違いますか?

違います。勤務社労士は企業の人事労務部門や社労士事務所で働き、安定した給与のもとで専門性を高めていきます。開業社労士は顧問先を自分で開拓する必要がある一方、業務範囲や単価を自分で設計でき、成果がそのまま収入に反映されます。

なお、勤務社労士として実務経験を積んでから開業する道もあり、どちらか一方を最初に決め切る必要はありません。実務を経験してから判断することもできます。

社労士の独占業務とは何を指しますか?

労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行・事務代理(1号業務)と、法定帳簿等の作成(2号業務)が独占業務にあたります。社会保険労務士法により、社労士以外の方が報酬を得て業として行うことは制限されています。

独占業務の範囲と違反した場合の罰則については、社労士の独占業務とはで詳しく解説しています。

特定社労士は、社労士とは別の資格ですか?

別の資格ではありません。社労士として登録したうえで紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた方が特定社労士と呼ばれます。

取得までの流れは、特定社会保険労務士とは?社労士との違いや資格取得の方法を徹底解説をご覧ください。

社労士の平均年収はいくらですか?

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、社労士の平均年収は1,134.6万円と公表されています。これは賃金構造基本統計調査をもとにした、企業や事務所に雇用されて働く社労士の数値です。

勤務先別の違いや年収を上げる方法は、社労士の年収はどれくらい?稼げる社労士の特徴を解説で解説しています。

社労士試験の合格率はどのくらいですか?

直近の2025年度試験の合格率は5.5パーセントでした。受験者数は43,421人、合格者数は2,376人です。近年は5パーセント台から7パーセント台で推移しています。

AI時代の社労士に求められるスキルは何ですか?

3つあります。1つ目は、クラウド勤怠管理などのITツールを理解し、顧問先への導入を支援する力です。2つ目は、法改正の内容を早く把握し、企業への影響を説明する力です。3つ目は、職場ごとの事情を踏まえて解決策を組み立てるコンサルティング力です。

なお、ITツールを自分で使いこなす必要はあります。ただし開発の知識までは求められず、業務の流れをどう変えるかを設計できることが重要になります。

これから社労士を目指す場合、どの分野を重点的に学ぶとよいですか?

まずは試験科目の学習が最優先です。そのうえで実務を見据えるなら、就業規則と労働時間管理、ハラスメント対策、助成金の3分野が入口になります。いずれも法改正が続いており、企業からの相談が生まれやすい分野です。

もっとも、受験段階で実務知識を先取りする必要はありません。合格後に登録し、実務経験を積みながら専門分野を決めていく流れが一般的です。

7. 社労士の将来性に関するまとめ

今回の記事では以下のことについて解説しました。

  • 社労士の仕事は、将来AI等に奪われて無くなる可能性は極めて低い
  • 労働環境の変化に伴う課題の増加によって、社労士の需要は今後ますます高まっていくことが予想される
  • 高い専門性を持ち、対応力と問題解決能力に優れた社労士は、需要の増加に伴い今後も年収アップが期待できる
  • 将来性の高さ、多様な働き方、社会貢献性の高さが社労士の仕事の大きな魅力

社労士の仕事については解説してきたとおり、とても将来性が期待できやりがいもある仕事です。社労士として働いてみたい、知識やスキルを使って企業活動に貢献していきたいと思う方は、ぜひ社労士試験にチャレンジしてみてください。

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伊藤塾 社労士試験科

著者:伊藤塾 社労士試験科

社会保険労務士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。合格率6〜8%という難関試験について、10科目17試験の合格基準・頻出法改正・科目別ボーダーラインまで、実務に精通した専門チームが正確にお届けします。