社労士試験の合格基準点は何点何割?足切りと救済措置を解説

試験日程・合格後

「合計点では届いていたのに、たった1科目の基準点割れで不合格だった」こうした声は毎年あとを絶ちません。合格点は何点なのか、足切りはどう避けるのか、救済はあてにできるのか。基準点の仕組みは、受験生がもっとも不安を感じる論点のひとつです。

本記事では、社労士試験の合格基準点を整理します。厚生労働省が公表する合格基準の考え方をもとに、原則の合格点と年度ごとの補正、救済措置がどの科目で起きやすいのかを解説します。あわせて過去の合格基準点の推移と、足切りで落ちないための科目別戦略まで、伊藤塾の指導視点でまとめます。

1. 社労士試験の合格基準点とは何か(足切りの仕組み)

社労士試験の合格は、総得点の基準と科目別の基準を同時に満たすことが条件で、1科目でも基準点を割れば不合格になります。

1-1. 「総得点基準」と「科目別基準」の二段構造とは?

合格には、試験全体の合計点が基準を超える「総得点基準」と、選択式・択一式の全科目で各基準点を超える「科目別基準」の両方を満たす必要があります。どちらか一方では合格できません。厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」によると、原則の基準点は選択式が総得点28点以上かつ各科目3点以上、択一式が総得点49点以上かつ各科目4点以上です。
出典:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

なお選択式8科目・択一式7科目の各科目基準に、選択式・択一式それぞれの総得点基準を加えた合計17の基準を、すべて同時に満たす必要があります。

1-2. なぜ1科目の基準点割れで不合格になるのか

科目別基準があるため、得意科目の高得点で苦手科目をカバーする戦略が通用しないからです。たとえば選択式で総得点35点を取っても、社会一般常識が2点なら、その1科目だけで不合格が確定します。各科目の基準点が総得点とは独立して課されることによります。
出典:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

もっとも、一定の条件を満たすと基準点が引き下げられる救済措置があり、年度により科目別の基準は変動します。

2. 社労士の合格点は何点・何割か(総得点基準の推移)

原則の合格点は選択式28点・択一式49点(ともに7割)ですが、実際の総得点基準は補正され、近年は選択式22〜27点・択一式42〜45点で推移しています。

2-1. 原則の合格基準点は選択式28点・択一式49点(7割)

原則の合格点は、選択式が40点満点中28点以上、択一式が70点満点中49点以上で、いずれも満点の7割にあたります。各科目の最低ラインは選択式3点・択一式4点です。この水準は2000年(平成12年)度に、出題形式と過去の動向をふまえて定められました。
出典:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

ただし7割は原則であり、毎年の難易度に応じて補正されるため、実際の合格点は原則より低い年がほとんどです。

2-2. 実際の合格基準点はどう推移しているか

近年の総得点基準は、選択式が22〜27点、択一式が42〜45点で推移しています。厚生労働省の公表値では、2025年度は選択式22点・択一式42点、2024年度は選択式25点・択一式44点、2023年度は選択式26点・択一式45点、2022年度は選択式27点・択一式44点、2021年度は選択式24点・択一式45点でした。

年度選択式 総得点
基準
択一式 総得点
基準
2025年22点42点
2024年25点44点
2023年26点45点
2022年27点44点
2021年24点45点

出典:厚生労働省「第57回(令和7年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第56回(令和6年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第55回(令和5年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第54回(令和4年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第53回(令和3年度)社会保険労務士試験の合格基準について

3. 救済措置はどの科目で起きるのか(過去の独自集計)

救済措置は、ある科目で基準点以上の受験者が5割に満たないときに発動し、選択式の一般常識(労一・社一)に集中して起きています。

3-1. 救済措置(基準点の引き下げ)とは何か

救済措置とは、ある科目で基準点以上を取った受験者の割合が5割に満たない場合に、その科目の基準点を引き下げる補正です。選択式なら3点を2点に下げる調整が行われます。ただし、厚生労働省の合格基準の考え方では、引き下げ後に7割以上が基準を満たす場合や、引き下げ後が選択式0点・択一式2点以下となる場合は、原則として引き下げないと定めています。
出典:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

つまり救済は主催者の裁量ではなく、得点分布という客観的なデータで判定される仕組みです。

3-2. 救済は選択式の一般常識(労一・社一)に集中する

過去の救済は、選択式の一般常識2科目の労働一般常識(労一)と社会一般常識(社一)に集中しています。2025年度は選択式の労災・労一・社一の3科目が2点に、2024年度は労一が2点に引き下げられました。一方で2023年度は選択式・択一式とも救済はありませんでした。
出典:厚生労働省「第57回(令和7年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,    「第56回(令和6年度)社会保険労務士試験の合格基準について」

一般常識2科目は労働経済白書・厚生労働白書などから出題され、範囲が限定されません。多くの受験者が得点しにくく、基準点以上が5割未満になりやすいことが、救済が集中する理由です。

3-3. 直近年度の救済科目(年度別の一覧)

直近をみると、救済がまったく行われない年と、複数科目で発動する年が混在します。厚生労働省の公表によると、2025年度は選択式3科目(労災・労一・社一)と択一式の雇用保険、2024年度は選択式の労一、2021年度は選択式の労一と国民年金法で救済がありました。択一式の救済は珍しく、2025年度の雇用保険は2017年度以来の発動です。

年度選択式の救済科目択一式の救済科目
2025年労災・労一・社一(各2点)雇用保険(3点)
2024年労一(2点)なし
2023年なしなし
2022年なしなし
2021年労一(1点)・国民年金法(2点)なし

出典:厚生労働省「第57回(令和7年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第56回(令和6年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第55回(令和5年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第54回(令和4年度)社会保険労務士試験の合格基準について」,「第53回(令和3年度)社会保険労務士試験の合格基準について

4. 足切りで落ちないための科目別戦略

救済は毎年あるとは限らないため、救済を当てにせず全科目で基準点を確保することが、足切りを避ける現実的な戦略になります。

4-1. 全科目で基準点を確保する学習を最優先する

最優先は、総得点を伸ばすことよりも「基準点を割る科目をゼロにする」ことです。得意科目を満点近くまで磨くより、苦手科目を選択式3点・択一式4点の最低ラインへ底上げするほうが、合格に直結します。科目別基準点が総得点とは独立して課されるため、1科目の基準点割れがそのまま不合格につながるからです。
出典:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

全科目を一定水準に保つ学習は、得点分布が読みにくい社労士試験で、安定して合格ラインに乗せる方法です。

4-2. 一般常識(労一・社一)のリスク管理

最も救済が多い一般常識2科目は、満点を狙う科目ではなく「最低3点を確保する」発想で取り組むのが現実的です。範囲が無限定なため、完全網羅を目指すと学習効率が大きく下がります。一般常識は白書・統計や時事的な労働経済の動向から出題され、過去に救済が集中してきました。

もっとも、頻出の統計の主要数値と近年の法改正に的を絞れば、基準点の確保は十分に狙えます。深追いより頻出論点の反復が有効です。

4-3. 模試で足切り傾向を可視化する

模試では総合点や偏差値だけでなく、科目別の得点に注目してください。基準点を割りやすい科目を早期に把握できれば、直前期の学習配分を最適化できます。総合点が高くても特定科目の弱点が残ると、不合格のリスクが残るためです。

基準点割れが頻発する科目こそ、優先的に補強すべき領域です。

5. 最新年度(2025年)の合格基準点は?

2025年度の合格基準は、選択式が総得点22点・各科目3点(労災・労一・社一は2点)、択一式が総得点42点・各科目4点(雇用保険は3点)でした。

2025年度(第57回)の合格基準は、選択式が総得点22点以上かつ各科目3点以上(ただし労災・労一・社一は2点以上)、択一式が総得点42点以上かつ各科目4点以上(ただし雇用保険法は3点以上)でした。これは社会保険労務士試験オフィシャルサイトおよび厚生労働省が公表した第57回の合格基準です。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(試験結果)

※最新の社労士試験の合格率・合格基準点について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

6. 社労士の合格基準点に関するよくある質問(FAQ)

社労士試験の合格点は何点ですか?

原則は選択式28点・択一式49点(いずれも満点の7割)です。ただし毎年の難易度で補正され、近年の総得点基準は選択式22〜27点・択一式42〜45点で確定しています。各科目の最低ラインは選択式3点・択一式4点です。

社労士の合格点は何割くらいですか?

原則は7割です。ただし補正により、実際は選択式で5割5分〜6割5分程度、択一式で6割前後で合格となる年が多くなっています。満点や8割超の知識がなくても、各科目で基準点を確保すれば合格できます。

選択式と択一式で合格基準はどう違いますか?

選択式は40点満点で総得点28点・各科目3点が原則、択一式は70点満点で総得点49点・各科目4点が原則です。どちらも総得点と科目別の両方を満たす必要があり、片方だけ高得点でも合格にはなりません。

救済が多いのは選択式と択一式のどちらですか?

選択式です。とくに一般常識(労一・社一)で頻繁に起きています。択一式の救済は珍しく、2025年度の雇用保険は2017年度以来の発動でした。

社労士試験の足切りとは何ですか?

1科目でも科目別の基準点を下回ると、総得点が合格ラインを超えていても不合格になる仕組みです。選択式は各科目3点、択一式は各科目4点が原則の最低ラインで、これを下回ると足切りになります。

17の基準とは何を指しますか?

選択式8科目と択一式7科目の各科目別基準点(15)に、選択式・択一式それぞれの総得点基準(2)を加えた合計17の基準を指します。社労士試験ではこの17をすべて同時にクリアする必要があります。

救済される科目を予想できますか?

確実な予想は困難です。過去のデータでは選択式の一般常識(労一・社一)が救済されやすい傾向がありますが、救済は毎年あるとは限りません。2022年度・2023年度は救済が一切ありませんでした。救済を前提とした学習は危険です。

1科目だけ足切りされたら不合格ですか?

はい。総得点が基準を大きく上回っていても、1科目でも基準点を下回れば不合格です。これが社労士試験の足切り制度で、得意科目で苦手科目を補えない点が難しさの本質です。

足切りを避けるにはどう学習すればよいですか?

救済を当てにせず、全科目で基準点を確保する学習を最優先してください。得意科目を伸ばすより、苦手科目を最低ラインへ底上げするほうが合格に直結します。とくに一般常識は満点ではなく基準点の確保を目標にするのが現実的です。

模試は足切り対策にどう使えばよいですか?

総合点だけでなく科目別の得点に注目し、基準点を割りやすい科目を早期に把握してください。弱点科目が分かれば、直前期の学習時間を重点配分でき、足切りのリスクを下げられます。

7. 社労士の合格は救済に頼らず全科目の基準点確保で決まる

社労士試験の合格は、総得点と全科目の科目別基準を同時に満たすことが条件で、1科目の基準点割れ(足切り)が最大のリスクです。救済はあるものの、対象科目や発動する年に大きな偏りがあり、毎年あるとは限りません。

  • 合格には総得点基準と全科目の科目別基準の同時クリアが必要
  • 原則は選択式28点・択一式49点(7割)、実際は補正で選択式22〜27点・択一式42〜45点
  • 救済は選択式の一般常識(労一・社一)に集中し、択一式では珍しい
  • 救済は毎年あるとは限らず、全科目で基準点を確保する学習が現実的な合格ルート

これから学習を始める人は全科目をバランスよく進める計画を、学習中の人は模試で科目別の弱点を早期に把握し、基準点を割りやすい科目から重点的に補強するとよいでしょう。

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伊藤塾 社労士試験科

著者:伊藤塾 社労士試験科

社会保険労務士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。合格率6〜8%という難関試験について、10科目17試験の合格基準・頻出法改正・科目別ボーダーラインまで、実務に精通した専門チームが正確にお届けします。