法律関係の仕事14種まとめ!仕事内容・なり方・年収まで一挙紹介

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2025年09月11日

「法律関係の仕事って何があるの?」
「司法試験に合格しないとダメなんでしょ?」
法律関係の仕事というと、テレビドラマに出てくる弁護士や検察官のようにエリートの世界というイメージが強いかもしれません。しかし、実は法律業界には、法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)以外にもさまざまな仕事があります。

たとえば、行政書士や司法書士のような専門職、弁護士事務所で働くパラリーガル、裁判所事務官のように公務員として法律に携わる仕事もあります。

この記事では、法律関係の仕事を4つのタイプに分けて
・それぞれの仕事内容
・なり方、必要な資格や学歴
などを紹介するほか、あなたに合わせたおすすめの仕事もお伝えします。この記事を読めば、きっと自分に合った法律関係の仕事が見つかるはずです。

【目次】

1.法律関係の仕事は大きく4つに分けられる

法律関係の仕事は、大きく4つに分けられます。

仕事の種類 なるには?
法曹三者 ・弁護士
・検察官
・裁判官
司法試験に合格が必要
法律専門職 ・行政書士
・司法書士
・社会保険労務士
・宅地建物取引士
・海事代理士 など
(司法試験以外の)
国家試験に合格が必要
公務員 ・裁判所事務官・書記官
・検察事務官
・法務省の職員など
公務員試験に合格が必要
その他の
法律職
・企業の法務部
・パラリーガル
・法務事務所の事務員など
就職活動のみ
(資格は必要ない)


ドラマなどでよく見かける弁護士や検察官、裁判官は「法曹三者」と呼ばれ、司法試験の合格が必要です。これらの仕事が裁判や法律相談、紛争解決などを担当する、いわゆる「法律家」です。

一方、表舞台に立つシーンは少ないものの、法律の知識を活かして働くのが行政書士や司法書士などの法律専門職です。行政書士なら許認可申請、司法書士なら登記のように、特定の分野に特化して活躍しています。

このほかにも、裁判所や検察庁で働く公務員、企業の法務部で働く会社員や弁護士事務所で働くパラリーガルなど、法律に関わる仕事はさまざまです。
次章から、法律関係の仕事を上記4つの分類に分けて、それぞれ詳しく説明していきます。

2.司法試験合格が必要な法律関係の仕事(法曹三者)

まずは、「法曹三者」について見ていきましょう。
法曹三者とは、弁護士、検察官、裁判官の3つの職業を指します。すべて司法試験の合格が必要で、同じスタートラインから始まる仕事です。

◎ポイント
実は、検察官・裁判官も弁護士になる資格を持っています。
これは、司法試験に合格して司法修習を終えると、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)になる資格を得られるからです。その中から検察官や裁判官を希望する人が選考を経て任官し、弁護士になりたい人は弁護士名簿へ登録するという仕組みです。
つまり、検察官や裁判官を辞めれば、弁護士として働けますし、実際にそうしたキャリアチェンジをする人も多くいます。

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2−1.弁護士

弁護士は、個人や企業から依頼を受けて、法的トラブルを解決する仕事です。
離婚調停で依頼者に代わって話し合いをしたり、交通事故の示談交渉を行ったり、企業間のトラブルに対応したりします。
法律事務所に就職する、企業の法務部で働く、独立開業するなど、法曹三者のなかで唯一働き方を選べる仕事です。

仕事内容 法律相談、裁判代理、法律書面
の作成、示談交渉など
なるには 司法試験合格 → 司法修習(1年)
→ 弁護士登録
難易度 ★★★★★
推定年収 1191.1万円(平均年収)

(年収の出典:日弁連「近年の弁護士の活動実態について」)

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2−1−1.弁護士の仕事内容

弁護士の仕事には、依頼者との打合せ、裁判所への出廷、書面作成などがあります。
日中は、新規の相談や継続案件の打合せ、裁判への出廷などで埋まる日が多く、書面作成の時間が取れないことも珍しくありません。そのため、訴状や準備書面などの作成は夜遅くまで事務所に残って行う場合もあります。

裁判の期日は1回あたり15分〜30分程度で終わることが多いですが、証人尋問がある場合は朝から夕方まで続くこともあります。一人の弁護士が20〜30件の案件を同時に抱えることも多く、離婚、相続、交通事故、企業間の契約トラブルなど、さまざまな事件を並行して処理していきます。

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2−1−2.弁護士になるには

弁護士になるには、次の2つのルートがあります。

①法科大学院(2年または3年)を修了後(所定の条件を満たした場合、修了見込みにて)司法試験を受ける(法科大学院ルート)
②予備試験に合格してから司法試験を受ける(予備試験ルート)

かつては「①法科大学院ルート」が一般的でしたが、最近は法律未経験から「予備試験ルート」で弁護士になる人も増えています。予備試験の合格率は3〜4%と難しいですが、受験資格がないため、誰でも挑戦できるのが大きなメリットです。
司法試験の合格率は、法科大学院修了者で約40%、予備試験合格者で約97%です。

合格後は約1年間の司法修習を受けて、その後、弁護士会に登録して弁護士として活動を開始します。司法修習を終えた人のうち、検察官や裁判官にならなかった人は、ほとんどが弁護士になるため、法曹三者の中で最も人数が多い仕事です。

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2−2.検察官(検事)

検察官(検事)は、警察が捜査した事件を引き継ぎ、容疑者を起訴するかどうか判断する国家公務員です。木村拓哉さん主演のドラマ「HERO」で描かれたように、事件を追求し、時には自ら現場に足を運んで捜査することもあります。
弁護士と違い国に雇われているので、個人の依頼者はおらず、開業などもできません。公務員という立場で、公益の代表者として働く仕事です。

仕事内容 被疑者の取り調べ、起訴判断、
公判の立会など
なるには 司法試験合格 →司法修習(1年)
→検察官任官
難易度 ★★★★★
推定年収 600万〜2500万

(年収の出典:裁判官・検察官の報酬俸給表 (令和7年4月1日現在)

2−2−1.検察官の仕事内容

検察官の仕事には、被疑者の取り調べ、証拠の収集、起訴・不起訴の判断、公判(刑事裁判)での犯罪事実の立証などがあります。
地方検察庁では一人で年間100件以上の事件を担当することもあり、万引きから殺人まで幅広い事件を経験できます。特捜部に配属されると、政治家の汚職や企業の粉飾決算など、社会的注目度の高い事件を扱います。

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2−2−2.検察官になるには

検察官になるには、司法試験合格後の司法修習で優秀な成績を収め、検察官として任官される必要があります。希望すると全員がなれるわけではなく、司法修習生約1500〜1800人のうち任官されるのは70〜80人程度です。
任官後は全国各地の地方検察庁に配属され、3〜4年ごとの転勤を繰り替えしながら、キャリアアップしていきます。

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2−3.裁判官

裁判官は、民事事件・刑事事件などで、法律に基づいて最終的な判断を下す国家公務員です。
ニュースなどでよく見る法廷の中央に座り、「判決を言い渡します」と宣言する裁判長の姿がまさに裁判官です。
弁護士や検察官とは違い、誰の味方でもない中立の立場から、憲法や法律、自己の良心にのみ従って仕事を進めていきます。

仕事内容 民事・刑事裁判の審理、
判決の作成、和解勧試など
なるには 司法試験合格 →司法修習(1年)
→裁判官任官
難易度 ★★★★★
推定年収 600万〜3500万

(出典:裁判官・検察官の報酬俸給表 (令和7年4月1日現在)

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2−3−1.裁判官の仕事内容

裁判官の仕事には、裁判での審理、判決文の作成と言渡し、令状の交付などがあります。
よくイメージされる裁判の立ち会い、つまり法壇に座って当事者の主張を聞いたり、証人尋問に立ち会ったりする仕事は、実は全体の2〜3割程度です。残りの時間は、非公開の準備期日に立ち会ったり、執務室で事件記録を読み込んだり、判決文を書いたりしています。
地方裁判所では一人の裁判官が年間200件以上の事件を担当することもあり、民事・刑事・家事などの配属先に応じて、さまざまな事件を扱います。

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2−3−2.裁判官になるには

裁判官になるには、まず司法試験に合格して、司法修習中に裁判官志望を表明します。その後、裁判教官による面接や適性検査が実施されて、「判事補」として採用されるのが一般的なルートです。

任官後は「判事補」として経験を積みながら、しばらくは先輩裁判官と一緒に合議制の事件のみを扱います。その後「判事」になってから、1人で事件を担当します。
全国の裁判所を3〜5年ごとに異動するため、転勤生活は避けられません。また、政治活動は禁止、私生活でも中立性を保つ必要があるなど、制約の多い仕事でもあります。その代わり、社会的地位は高く、定年まで安定した身分が保証されています。

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◎ワンポイント
実は、司法試験に合格しなくても、裁判官になれるルートがあります。
たとえば、簡易裁判所の裁判官である簡易裁判所判事(簡裁判事)の場合、司法試験の合格者ではなく、後述する裁判所書記官から内部試験を経て任官するケースが多いです。
もちろん、司法試験ルートが王道ですが、司法試験以外にも裁判官への道があることは知っておいてもよいでしょう。

3.専門職として働く法律関係の仕事

法曹三者以外にも、国家資格を取得すれば法律の専門家として働ける仕事があります。
これらは「士業」と呼ばれており、特定の分野では弁護士以上の専門性を有しています。

◉専門職として働く法律関係の仕事

・行政書士
・司法書士
・社会保険労務士
・宅建士
・海事代理士

3−1.行政書士

行政書士は、官公署に提出する許認可申請書類の作成などを得意とする仕事です。
飲食店を開業するときの営業許可、建設業を始めるときの建設業許可、外国人のビザ申請など、行政手続きのプロフェッショナルとして活躍しています。

仕事内容 許認可申請、契約書作成、
相続・遺言書作成など
なるには 行政書士試験合格
→行政書士として登録
学歴要件
受験資格
なし
難易度 ★★★☆☆
推定年収 591万円

(年収の出典:厚生労働省|職業情報提供サイトjob tag‐行政書士(令和6年賃金構造基本統計調査を元に掲載))

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3−1−1.行政書士の仕事内容

行政書士は、法律関係の仕事の中でも特に幅広い業務範囲を持っています。
メインとなるのは許認可申請ですが、「税理士=税金」「司法書士=登記」というような決まった業務があるわけではありません。許認可申請に強い行政書士、相続に強い行政書士、補助金に強い行政書士など、人によって扱っている仕事はさまざまです。

「行政書士=○○」という代名詞的な業務があるわけではなく、各々がこれまでのキャリアや得意分野を活かして、特定分野のスペシャリストとして活躍していくイメージの仕事です。

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3−1−2.行政書士になるには

行政書士になるには、行政書士試験に合格する必要があります。
合格率は10〜15%。難関資格ではありますが、本格的な法律資格のなかでは比較的挑戦しやすい資格です。標準的な学習期間は約1年ですが、人によっては3ヶ月〜半年で合格できるケースもあり、法律関係の仕事につく第一歩として最適な資格です。

合格後、実務経験などは求められていません。行政書士会へ登録すれば、すぐに開業して行政書士としての仕事をスタートできます。

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3−2.司法書士

司法書士は、不動産や会社の登記手続きを専門とする法律職です。
弁護士のように紛争性のある案件を扱うことが少ないため、「平和産業・幸福産業」とも呼ばれています。
トラブル解決以外の側面から法律に関わりたい人におすすめの仕事です。

仕事内容 不動産登記、商業登記、裁判
書類作成、成年後見業務など
なるには 司法書士試験合格
→司法書士として登録
学歴要件
受験資格
なし
難易度 ★★★★☆
推定年収 765.3万円

(年収の出典:厚生労働省|職業情報提供サイトjob tag‐司法書士(令和6年賃金構造基本統計調査を元に掲載))

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3−2−1.司法書士の仕事内容

司法書士の仕事には、不動産登記、商業登記、裁判書類の作成、成年後見業務などがあります。マイホームの購入や会社設立など、人生の節目となるシーンに、手続き的な側面から関わっていきます。
認定司法書士になれば、簡易裁判所管轄で140万円以下の事件に限り、弁護士と同じように訴訟代理人になることもできます。

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3−2−2.司法書士になるには

司法書士になるには、司法書士試験に合格する必要があります。受験資格はなく誰でも挑戦できます。合格率は3〜4%と予備試験並みに低いです。
ただし、問題のレベルが難しいのではなく、覚える知識の量が膨大なのが、低い合格率の要因です。そのため「努力型の試験」と言われており、司法試験よりも挑戦しやすいといえるでしょう。
合格後は司法書士会に登録し、実務研修を受けると司法書士としてスタートできます。すぐに独立開業もできますが、まずは司法書士事務所に就職して経験を積むのが一般的です。

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3−3.社会保険労務士

社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する専門家です。
企業の経営に欠かせない「ヒト・モノ・カネ」のうち、ヒトに関する問題を扱っている法律職です。

仕事内容 社会保険手続き、就業規則作成、
労務相談、年金相談など
なるには 社労士試験合格
→ 実務経験 or 講習
→ 社会保険労務士として登録
学歴要件
受験資格
大学・短大卒業、
実務経験3年以上 など
難易度 ★★★☆☆
推定年収 903.2万円

(年収の出典:厚生労働省|職業情報提供サイトjob tag‐社会保険労務士(令和6年賃金構造基本統計調査を元に掲載))

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3−3−1.社会保険労務士の仕事内容

社会保険労務士の仕事には、社会保険・労働保険の手続き、就業規則の作成、給与計算、労務相談などがあります。
さらに「特定社労士(紛争解決手続代理業務試験に合格した社労士)」になれば、紛争性のある案件も一部扱えるようになります。たとえば、残業代の未払いやパワハラなどが起きたときに、企業と従業員の間に入って調停、和解の交渉代理をするなどです。

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3−3−2.社会保険労務士になるには

社会保険労務士になるには、社労士試験に合格する必要があります。受験するには大学や短大卒業、または実務経験3年以上などが必要です。

合格率は6〜7%と難関ですが、合格者のうち約8割は社会人です。働きながらでも十分に合格できる試験といえるでしょう。
合格後、2年以上の実務経験または事務指定講習を受講すれば、社労士として登録して業務をスタートできます。

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3−4.宅建士

不動産資格で有名な宅地建物取引士(宅建士)も、実は法律関係の仕事の1つです。
複雑な契約内容を正しく理解して説明する、契約書に問題がないかチェックするなど、不動産取引で法律トラブルを防ぐ役割を担っています。

仕事内容 重要事項説明、契約書への記名、
不動産取引の相談など
なるには 宅建試験合格
→ 登録実務講習(または2年以上の経験)
→ 宅建士として登録
学歴要件
受験資格
なし
難易度 ★★☆☆☆
推定年収 618.3万円

(年収の出典:厚生労働省|職業情報提供サイトjob tag「住宅・不動産営業」(令和6年賃金構造基本統計調査を元に掲載))

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3−4−1.宅建士の仕事内容

宅建士には3つの独占業務があります。「重要事項の説明」「重要事項説明書(35条書面)への記名」「契約書(37条書面)への記名」の3つです。

このうち、最もイメージしやすいのが重要事項の説明でしょう。たとえば、物件の権利関係(誰が所有者か、抵当権は付いているか)、法令上の制限(建て替えができるか)、水道・電気・ガスなどのインフラ状況、契約解除の条件などを説明します。
この説明は契約前に必ず行わなければならず、宅建士にしかできません。

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3−4−2.宅建士になるには

宅建士になるには、宅地建物取引士試験(宅建士試験)に合格する必要があります。
合格率は15〜17%。法律系資格の入門的な位置づけとなっており、比較的合格しやすい部類に入ります。試験科目は権利関係(民法など)、宅建業法、法令上の制限、税・その他の4分野で、全50問のマークシート方式です。3ヶ月〜6ヶ月程度の勉強で合格する人が多いです。

合格後、宅建士として登録するには「2年以上の実務経験」が必要です。ただし、実務経験がない場合は、登録実務講習を受講すれば、「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」として認められます。

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3−5.海事代理士

海事代理士は別名「海の行政書士」「海の司法書士」と呼ばれる、海に関連する法律のスペシャリストです。全国に約400人しかおらず、知名度は低いですが、弁護士などと並ぶ「8士業」として高度な専門性を有しています。

仕事内容 船舶登録、船員手帳申請、
小型船舶免許更新など
なるには 海事代理士試験合格
→ 海事代理士として登録
学歴要件
受験資格
なし
難易度 ★★★☆☆
推定年収 ※公的データなし


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3−5−1.海事代理士の仕事内容

海事代理士の仕事には、船舶の登録や登録内容の変更手続き、船の安全性検査の申請手続き、モーターボートやヨットなどの小型船舶操縦免許証の更新手続きのサポートなどがあります。
大型船舶に関する仕事から、モーターボートやヨットなどの小型船舶に関する仕事、身近なマリンスポーツに関わる仕事まで、海上の安全を守る役割を担っています。

3−5−2.海事代理士になるには

海事代理士になるには、海事代理士試験に合格する必要があります。
合格率は40〜50%と他の士業と比べて高めですが、海事関係の実務経験がある受験生が多いため、見た目の合格率より難しい試験です。

出題科目も、憲法・民法などの一般的な法律ではなく、「船舶に関する法律」や「海商法」などがメインなので、勉強しづらいと感じる人が多いでしょう。法学部出身者であっても、ゼロからスタートするつもりでの対策が必要です。
合格後、特に実務経験の要件などは設けられていません。海事代理士として登録すれば、すぐに業務をスタートできます。

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4.公務員として働く法律関係の仕事

公務員も、法律関係の仕事の1つです。
弁護士やその他の専門職が、法律で国民の権利を守る役割を担っているのに対し、公務員は法律を執行していく役割を担っています。
以下では、公務員の中でも法律関係の仕事として特にイメージしやすい、裁判所事務官・書記官、検察事務官、法務省の職員を紹介します。

4−1.裁判所事務官・裁判所書記官

裁判所事務官・書記官は、裁判所で働く国家公務員です。
裁判がスムーズに進むように、裁判官をサポートする役割を担っています。

仕事内容 裁判への立会、調書の作成、
事件記録の管理など
なるには 裁判所職員採用試験合格
→ 事務官として採用
→ 試験・研修を経て書記官
受験資格 年齢制限あり(〜30歳が目安)
難易度 ★★★☆☆
推定年収 約600万〜700万

4−1−1.裁判所事務官・書記官の仕事内容

裁判所事務官は、裁判所の窓口で訴状を受け付けたり、裁判の日程を調整したりして、裁判官の事務的なサポートを行う仕事です。一般の公務員と同じように、総務・人事・会計などの仕事も扱っています。
裁判所書記官になると、専門職としてより高度な法律事務を担当します。

書記官の最も代表的な仕事は、法廷に立ち会って、誰が何を話したかを記録する「調書」の作成です。裁判に立ち会い、どこが争いとなっているかを考えながら、法律知識をもとに内容をまとめていきます。この調書は裁判の記録となり、作成した書記官の名前とともに保管されます。
その他、日々の事件記録を管理したり、当事者とやり取りをしたり、期日の管理をしたりするのも裁判所書記官の役割です。

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4−1−2.裁判所事務官・書記官になるには

裁判所事務官・書記官になるには、裁判所職員採用試験に合格する必要があります。
合格すると、「採用候補者名簿」に名前が登載されて、高順位の候補者から順番に採用されていきます。なお、試験に合格した段階ではあくまでも採用「候補者」です。順位が低いと採用されないケースもあるので、できるだけ高順位での合格が必要です。

採用後は、まず裁判所事務官として各地の裁判所に配属されます。その後、実務経験を経て内部試験に合格し、研修を修了すると裁判所書記官に任命されます。

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4−2.検察事務官

検察事務官は、検察庁で働く国家公務員です。検察官とペアになって、事件の捜査や裁判に携わっていきます。

仕事内容 刑事事件の捜査、刑事裁判の補助、
事件記録の管理など
なるには 国家公務員採用一般職試験合格
→ 官庁訪問 → 採用
受験資格 年齢制限あり(〜30歳が目安)
難易度 ★★★☆☆
推定年収 約600万〜700万

4−2−1.検察事務官の仕事内容

検察事務官の仕事は、配属先によって大きく「捜査公判部門」「検務部門」「事務局部門」の3つに分かれます。
「捜査公判部門」は、あらゆる刑事事件について、検察官とともに、被疑者の取り調べや証拠書類の作成といった事件処理を扱います。ドラマでもみかける、もっともイメージしやすい仕事でしょう。一定の経験を積んで、検察官事務取扱検察事務官になれば、一部の犯罪について起訴・不起訴の処分もできます。

一方、「検務部門」は、事件の受理手続きや証拠品の管理、記録の管理など、刑事事件についての事務的な内容を担当します。
その他、「事務局部門」として、総務・人事・会計などを扱う仕事もあります。

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4−2−2.検察事務官になるには

検察事務官になるには、「国家公務員採用一般職試験」に合格する必要があります。
試験に合格後、官庁訪問を行い、各地方の検察庁が行う面接を受けて採用されると、検察事務官として働くことができます。

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4−3.法務省の職員

法務省の職員は、国の法務行政全般を扱う国家公務員です。
法律の制定や改正、戸籍や登記制度の管理、人権擁護活動など、国民生活を支える幅広い仕事に携わります。

仕事内容 国の法務行政
(法案作成、戸籍・登記管理、
訟務事務など)
なるには 国家公務員採用試験合格
→ 官庁訪問 → 内定・採用
受験資格 年齢制限あり(〜30歳が目安)
難易度 ★★★☆☆
推定年収 約600万〜700万

4−3−1.法務省職員の仕事内容

法務省の職員の仕事は多岐にわたります。
たとえば、本府省に配属された場合、メインとなるのは政策の企画・立案です。民法や刑法といった基本法の改正作業などに携わる人もいます。
一方、地方法務局では登記を扱ったり、戸籍や国籍を管理したりする仕事が中心ですが、配属先によっては国家賠償請求訴訟の訟務事務に関わるケースもあります。

4−3−2.法務省の職員になるには

法務省の職員になるには、国家公務員採用試験に合格する必要があります。
将来の幹部候補となる「総合職」と、実務の中核を担う「一般職」の2つの区分があり、それぞれ求められる役割が異なります。総合職は政策の企画立案が中心、一般職は法務行政の実務をこなす役割が中心です。
試験合格後、官庁訪問を行って、法務省から内定を得れば法務省職員として働けます。
その後は2〜3年ごとに部署を異動しながら、さまざまな経験を積んで、法務行政のプロとして成長していきます。

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5.資格なしで働ける法律関係の仕事

法律関係の仕事の中には、特別な資格がなくても働ける仕事もあります。たとえば、企業の法務部、パラリーガル、法務事務所の職員などです。

5−1.企業の法務部

企業の法務部は、会社内で法律に関する業務全般を担当する部署です。
契約書のチェックや作成、法的トラブルの対応、コンプライアンス体制の構築など、企業活動を法的な側面から支えます。大企業では専門の法務部がありますが、中小企業では総務部などが法務を兼ねることもあります。

法律資格は必須ではありませんが、ビジネス実務法務検定や行政書士資格を持っていると採用や実務で有利になります。

仕事内容 契約書作成・審査、法的トラブル対応、
コンプライアンス管理など
なるには 新卒・中途採用で企業に入社
→ 法務部に配属
あると
有利な資格
ビジネス実務法務検定、
行政書士、司法書士など


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5−2.パラリーガル(法律事務職員)

パラリーガルは、法律事務所で弁護士の業務をサポートする法律事務職員です。
判例や文献の調査、クライアントとの調整、裁判書類の初稿の作成など、弁護士業務の実務的な部分を担当します。弁護士資格はありませんが、法律知識を活かして専門的な業務に携わることができます。
将来的に弁護士を目指す人が、実務経験を積むために選ぶことも多い仕事です。

仕事内容 法律文書作成補助、判例・文献リサーチ、
クライアント対応など
なるには 法律事務所に就職
あると
有利な資格
行政書士、ビジネス実務法務検定、
パラリーガル認定資格など


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5−3.法務事務所の事務員(司法書士事務所・行政書士事務所など)

法務事務所の職員は、司法書士事務所や行政書士事務所などで働く事務スタッフです。
書類の作成補助、申請書類の準備、顧客対応、電話応対、スケジュール管理など、事務所運営に必要な業務全般を担当します。
実務を通じて専門知識を身につけられるため、司法書士・行政書士などを目指す人にも人気の仕事です。

仕事内容 書類作成補助、顧客対応、
その他事務など
なるには 法務事務所に就職
あると
有利な資格
ビジネス実務法務検定など

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6.【タイプ別】おすすめの法律関係の仕事

6章では、以下3つのタイプに分けて、おすすめの法律関係の仕事を紹介していきます。

・法律家として最前線で活躍したい人 
・紛争トラブル以外のシーンで法律に関わりたい人
・未経験から法律家にキャリアチェンジしたい人

6−1.法律家として最前線で活躍したい人

法律家として、裁判や紛争トラブルの最前線で活躍したい場合は、次のような仕事がおすすめです。

・弁護士
・検察官
・裁判官

一方、以下の仕事では法律の最前線で活躍するというよりは、サポート的な役割が中心になります。

・裁判所事務官、裁判所書記官
・パラリーガル
・法務事務所の事務員

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6−2.紛争トラブル以外のシーンで法律に関わりたい人

紛争トラブルの解決や裁判ではなく、手続きのサポートや予防法務などの場面で法律に関わりたい場合は次のような仕事がおすすめです。

・行政書士
・司法書士
・社会保険労務士
・宅建士
・海事代理士

これらの仕事は、トラブルが起きてから対応するのではなく、そもそもトラブルを起こさないために活躍する仕事です。対立する当事者の間に入ることが少ないので、争いごとが苦手な人にも適しています。
それぞれの分野では弁護士以上の専門知識を有しているので、実績を積めば、特定分野の第一人者として活躍していけるでしょう。

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6−3.未経験から法律関係の仕事にキャリアチェンジしたい人

法律の勉強経験がなく、ゼロから法律関係の仕事にキャリアチェンジしたい人には次のような仕事がおすすめです。

・行政書士
・宅建士
・パラリーガル

特に行政書士は、受験資格がなく、法律系国家資格の登竜門ともいわれている資格です。
合格すれば、行政書士だけでも開業して食べていけますし、行政書士になったことをきっかけにして、司法書士・弁護士などへキャリアアップしていく人も多くいます。
未経験から法律家を目指す人にとって最適の資格といえるでしょう。

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7.法律関係の仕事を目指すなら伊藤塾がおすすめ

ここまで、法律関係の仕事について詳しく解説してきました。
法曹三者から士業などの専門職まで、法律関係の仕事にはさまざまな選択肢がありますが、その多くは難関資格に合格する必要があります。
しかし、いざ資格を目指そうとしても、「何から始めればいいか分からない」「仕事と両立できるか不安」など、さまざまな不安があるでしょう。このような法律を学びたいと考える方々をサポートしているのが、当コラムを運営する伊藤塾です。

伊藤塾は1995年の開塾から約30年にわたり、数多くの法律家を世に送り出してきた法律資格専門の受験指導校です。司法試験や司法書士試験といった最難関資格において、業界トップクラスの合格実績を誇っています。

◉2024年度 伊藤塾の合格実績

・司法試験   :合格者1,592名中1,436名が伊藤塾を利用(占有率90.2%)
・予備試験   :合格者449名中405名が伊藤塾を利用(占有率90.2%)
・司法書士試験 :合格者737名中433名が伊藤塾を利用(占有率59%)

さらに、これらの難関資格で培ったノウハウを他の資格試験にも活かして、宅建士、賃貸不動産経営管理士、社労士、中小企業診断士などでも次々と実績を伸ばしています。
資格をとって、法律関係の仕事に就きたいと思っている方は、ぜひ伊藤塾の講座をチェックしてみてください。伊藤塾が、あなたの合格を力強くサポートさせていただきます。

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8.法律関係の仕事14種・総まとめ

本記事では、法律関係の仕事14種について、仕事内容、なり方、年収などを詳しく解説しました。
以下にポイントをまとめます。

・法律関係の仕事は、大きく分けて「法曹三者」「法律専門職」「公務員」「その他の法律職」の4つのタイプがあります。
・法曹三者(弁護士、検察官、裁判官)は、司法試験の合格が必須であり、裁判や紛争解決の最前線で活躍する「法律家」です。司法試験合格後、司法修習を経て、弁護士登録、検察官任官、裁判官任官というルートに進みます。
・法律専門職は、司法書士や行政書士、社会保険労務士、宅建士、海事代理士などが含まれ、司法試験以外の国家試験に合格することで特定の分野の専門家として活躍しています。
・公務員の法律関係の仕事には、裁判所事務官・書記官、検察事務官、法務省の職員などがあり、公務員試験の合格が必要です。裁判官の事務的なサポートや法廷での調書作成、刑事事件の捜査補助、国の法務行政などに携わり、法律を執行していく役割を担います。
・その他の法律職には、企業の法務部、パラリーガル、法務事務所の事務員などがあり、特定の資格がなくても就職活動のみで働ける場合があります。法律知識を活かして、契約書作成・審査、弁護士業務のサポート、事務所運営に必要な事務全般などを担当します。
・キャリアチェンジを目指す法律初学者には、行政書士や宅建士、パラリーガルが特におすすめです。特に行政書士は受験資格がなく、法律系国家資格の登竜門として、未経験から法律関係の仕事を目指す方にとって最適な資格とされています。

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以上です。

本記事で見てきたように、多くの法律関係の仕事は司法試験を始めとする難関資格の取得が求められています。当コラムを運営する伊藤塾は、開塾以来約30年にわたり、数多くの法律家を輩出してきました。司法試験や予備試験で90.2%、司法書士試験で59%という業界トップクラスの合格実績を誇り、難関試験で培ったノウハウを活かし、宅建士や社労士などの資格試験でも実績を伸ばしています。

法律関係の仕事を目指し、資格取得に挑戦したいとお考えの方は、ぜひ伊藤塾の講座をチェックしてみてください。

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伊藤塾が、あなたの合格を力強くサポートさせていただきます。

伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。