司法書士の勉強時間3,000時間は誤り?3名の合格者からみる実態
勉強法
【記事のポイント】
- 勉強時間:司法書士試験は通説で「3,000時間」とされるが、この数字に明確な根拠はない。
- 合格者の実態:伊藤塾の合格者には約1,000時間で初回合格した社会人、実質6ヶ月で初回合格した会社員、8ヶ月で初回合格した消防士など、3,000時間より短い時間で合格した事例が多くある。
- 合否の分岐点:合格までの期間を分けるのは時間の総量ではなく、出題頻度の高い論点に絞ったメリハリのある学習ができるかどうか。
- 属性別の目安:1週間に確保できる勉強時間は専業で48時間、社会人で20〜27時間、主婦・主夫で25〜35時間。社会人でも1年〜1年半の合格は射程圏内。
- 時間捻出法:社会人受験生がまず実践すべきはスキマ時間の活用と早起き。1日2〜3時間の学習時間を、生活時間を見直すことで捻出できる。
「司法書士試験に合格するには3,000時間必要」と聞いて、合格を諦めかけていませんか。仕事や家事に追われる毎日のなかで、これだけの勉強時間を確保するのは無理だと感じる人は少なくないはずです。
働きながら、あるいは家庭と両立しながら合格を目指す人にとって、3,000時間という数字は大きな壁のように見えてしまいます。
しかし、実際の合格者を見ると、必要な勉強時間には大きな幅があります。伊藤塾の合格者には、約1,000時間で初回合格を果たした社会人や、実質6ヶ月で合格した会社員もいます。
この記事では、司法書士試験に必要な勉強時間の実態を、伊藤塾の合格者3名の事例とともに解説します。短期合格者と長期化する人の決定的な違い、専業・社会人・主婦(主夫)それぞれの立場での現実的なスケジュール、1日2〜3時間の勉強時間を捻出する具体的な方法まで紹介します。
【目次】
1. 司法書士試験の勉強時間は3,000時間も必要ない
司法書士試験は3,000時間が目安とされますが、実際には1,500時間ほどで合格する人もいます。合否を分けるのは時間の総量ではなく、学習の質と方法です。
1-1. 通説の3,000時間は根拠のない数字
司法書士試験は合格まで「3,000時間必要」とよく言われますが、この数字に根拠はありません。
ではなぜ「3,000時間」という数字が定着したのか。この背景にあるのが、司法書士試験の出題範囲の広さです。
司法書士試験は、試験範囲が11科目にわたる試験です。これだけの試験範囲を一通り学び、過去問で得点力を鍛え、記述式の答案作成練習までこなすと、それなりの時間がかかります。3,000時間は、こうした学習量から推測された数字と考えるのが妥当でしょう。
ただし、この数字はあくまでも推測値です。実際の合格者を見ると、1,500時間台から5,000時間超まで大きな幅があり、人によって必要な時間は大きく異なります。
※こちらの記事も多くの方に読まれています。
1-2. 実際の合格者3名から見る勉強時間の実態
伊藤塾の合格者の中には、3,000時間よりはるかに短い時間で合格した方が数多くいます。次にご紹介する3名は、いずれもその一例です。
①. フルタイムで働きながら、約1,000時間で初回合格(黒田巧さん)
独立行政法人で社会保険事務に携わる黒田さんは、業務で社会保険に関わる中で社会保険労務士に関心を持ち、行政書士試験を経て司法書士に挑戦。フルタイムで働きながら学習を進め、初回受験で合格しました。
学習期間は約1年6ヶ月ですが、実際の勉強時間は「1,000時間に届くか届かないか」くらいの時間でした。本人は「ゲーマー」を自称し、毎日3〜4時間取れた可処分時間のうち、欠かさず勉強に充てたのは1日1時間ほど。「やる気が出ない時は1週間勉強しない日が続くこともあり、長いときは3ヶ月ほど中だるみでテキストを開かない時期もあった」と振り返ります。
限られた学習時間を活かす工夫として、黒田さんが取り入れたのが通勤の車内学習です。片道40分の車移動で、理解が怪しい論点に絞り、音声教材を1.2倍速で流して復習しました。毎日やるべきことは最低限守りつつ、適度に息抜きをしながら進めていくスタイルが自分にあっていたといいます。
【この事例から学べること】
黒田さんは、司法書士試験を「メリハリのある勉強をして出るところに特化して勉強していけば、短期間・短時間でも合格できる試験」と振り返っています。
3,000時間という通説に縛られず、出題頻度の高い論点に集中することで、合格に必要な時間は大きく圧縮できます。短期合格者に共通するのは、全範囲を均等に学ぶのではなく、出るところに絞り込む姿勢です。
②. 11月から勉強を始めて、正月休みを挟み実質6ヶ月で初回合格(本川さん)
ハウスメーカーで施工管理を担当していた本川さんは、業務で道路使用許可などの行政手続きに触れる機会が多く、士業に興味を持って司法書士を目指しました。
学習を始めたのは11月ですが、お正月休みをきっかけに1月・2月はほとんど勉強せず、本格再開は3月から。実質約6ヶ月の学習で初回受験で合格しています。
短期合格を実現した工夫は、教材のインプット学習を1回で最大限吸収することを徹底したこと。さらに「自分が問題作成者だったらどこを問題にするか」と出題ポイントを予測しながら学習することで、テキストや問題演習から得られる学びを最大化したといいます。
【この事例から学べること】
本川さんは「勉強時間や問題数ではなく、勉強の質に注力することが短期合格には必須」と振り返っています。
同じ学習時間でも、出題者の視点で「ここが問われそう」と予測しながら取り組むことで、得られる学びが大きく変わります。量よりも一回一回の濃度を上げる姿勢が、合格までの期間を大きく左右するといえるでしょう。
③. 消防士からの転身、働きながら8ヶ月で初回合格(安井さん)
政令指定都市の消防士として12年間勤務した安井さんは、コロナ禍に自身の人生と向き合い、宅建士・行政書士を経て司法書士を目指しました。
司法書士試験の勉強期間はわずか約8ヶ月。3月末まで消防士として24時間勤務をこなしながら、毎朝4時に起きて学習を進めました。勉強開始が遅かったため教材を一通り進めるのに必死で、教材は1度しか視聴・通読していません。4月にやっと一通りの学習を終え、その後(試験までの約3か月間)は問題演習・模試で実戦力を磨きました。
模試では一度も基準点に届かなかったものの、本試験までの最後の1ヶ月で「1日1問確実に取れるようになる」ことを目標に、記述式を1日3問解き続け、初回受験で合格を果たしています。
【この事例から学べること】
安井さんは「司法書士に話を聞きに行き、自分が将来どのような人生を送れるかを具体的にイメージしたことで、モチベーションが1度も下がらなかった。」と振り返っています。
短期合格者は、勉強そのものの工夫だけでなく、合格後の自分像を鮮明に描くことで、モチベーション高く学習を継続しています。
1-3. 他の資格試験と比べた勉強時間
司法書士試験は、他の法律系資格と比べて勉強時間が多めです。具体的に比較すると、次のような位置づけになります。
なお、ここで紹介する数値は、インターネット上で目安として広く出回っているものを整理したものです。司法書士試験の3,000時間と同様、いずれも明確な根拠があるわけでなく、あくまで一つの目安にすぎないことに注意してください。
| 資格試験名 | 合格までに必要な 勉強時間の目安 |
| 司法試験 | 2,000〜5,000時間 |
| 司法書士試験 | 2,000〜3,000時間 |
| 弁理士試験 | 2,000〜3,000時間 |
| 土地家屋調査士試験 | 1,000〜1,500時間 |
| 中小企業診断士試験 | 800〜1,000時間 |
| 社会保険労務士試験 | 800〜1,000時間 |
| 行政書士試験 | 600〜1,000時間 |
| 宅地建物取引士 資格試験 | 400〜600時間 |
司法書士試験は士業のなかでも勉強時間が長めですが、その長さだけを見て諦めるのは早計です。先に紹介した3名のように、メリハリのある学習を実践すれば、目安の半分以下の時間で合格することは十分に可能です。
2. 専業・社会人・主婦の勉強時間と合格までの期間は?
司法書士試験に合格するまでの期間は、1週間に確保できる勉強時間によって幅があります。フルタイム勤務の人と専業受験生では、確保できる時間も合格までの月日も自然と変わってきます。
一般的に「3,000時間」が目安とされる司法書士試験ですが、メリハリのある学習を実践すれば、2,000時間程度での合格も十分に可能です。属性別に1週間の勉強時間を試算し、2,000時間・3,000時間それぞれに到達するまでの期間をまとめました。
| 1週間の勉強時間 | 2,000時間で 合格するケース | 3,000時間で 合格するケース |
| 約20時間 (フルタイム勤務など) | 約1年11ヶ月 | 約2年11ヶ月 |
| 約27時間 (時短勤務など) | 約1年5ヶ月 | 約2年2ヶ月 |
| 約25〜35時間 (主婦・主夫など) | 約1年2ヶ月 〜1年6ヶ月 | 約1年8ヶ月 〜2年4ヶ月 |
| 約42〜56時間 (専業受験生など) | 約8〜11ヶ月 | 約1年〜1年5ヶ月 |
ここから、専業・社会人・主婦などの立場で、現実的に確保できる勉強時間と合格までの目安を見ていきます。
2-1. 専業受験生の1週間のモデルスケジュール・合格までの期間
専業受験生は1週間に48時間程度の勉強時間を確保できます。
このペースで進めると、2,000時間に到達するのは約10ヶ月、3,000時間でも約1年3ヶ月です。1年以内の合格も十分に視野に入ります。
▼1週間のモデルケース
| 曜日 | 勉強時間 |
| 月 | 8時間 |
| 火 | 8時間 |
| 水 | 8時間 |
| 木 | 8時間 |
| 金 | 8時間 |
| 土 | 8時間 |
| 日 | 休息日 |
| 合計 | 48時間 |
ただし、専業で司法書士を目指すことは基本的におすすめしません。仕事を辞めて勉強に専念すると「合格しないと後がない」というプレッシャーが精神的な負担になるからです。専業になるのが合理的なのは、合格の見込みが十分に立っている、すでに退職している、合格できなかった場合のプランがあるなど、限られたケースです。
2-2. 社会人の1週間のモデルスケジュール・合格までの期間
社会人受験生が確保できる勉強時間は、フルタイム勤務で1週間に20時間前後、時短勤務でも27時間程度が現実的なラインです。2,000時間到達まで約1年5ヶ月〜1年11ヶ月、3,000時間到達まで約2年2ヶ月〜2年11ヶ月が目安となります。
限られた時間で合格するには、出題頻度の高い論点に絞り、メリハリのある学習を実践して、いかに勉強時間を短縮するかがポイントとなるでしょう。
▼1週間のモデルケース
| 曜日 | 勉強時間 (フルタイム勤務) | 勉強時間 (時短勤務) |
| 月 | 2時間 | 3時間 |
| 火 | 2時間 | 3時間 |
| 水 | 2時間 | 3時間 |
| 木 | 2時間 | 3時間 |
| 金 | 2時間 | 3時間 |
| 土 | 5時間 | 6時間 |
| 日 | 5時間 | 6時間 |
| 合計 | 20時間 | 27時間 |
社会人受験生にとっての最大の課題は、限られた時間でいかに効率良く勉強するかです。通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を活用し、まとまった時間が取れない平日でも学習リズムを途切れさせないことが、合格までの期間を縮める鍵になります。
また、平日と休日の使い分けも重要です。平日は新しい論点のインプットや過去問演習に充て、休日にまとまった時間で記述式の答案作成や模試の復習を行うなど、時間の質に応じた配分が効率を上げます。
※働きながら合格した社会人の具体的な勉強法については、こちらもあわせてご覧ください。
2-3. 主婦・主夫の1週間のモデルスケジュール・合格までの期間
主婦・主夫受験生は、家事や育児の合間を縫っての学習となるため、確保できる勉強時間は家庭の状況によって幅があります。子どもが幼いか学童期か、家族の協力が得られるかによって変わりますが、1週間で25〜35時間程度が現実的なラインです。
2,000時間到達まで約1年2ヶ月〜1年6ヶ月、3,000時間到達まで約1年8ヶ月〜2年4ヶ月が目安となるでしょう。
▼1週間のモデルケース
| 曜日 | 勉強時間 (幼児期) | 勉強時間 (学童期) |
| 月 | 3時間 | 5時間 |
| 火 | 3時間 | 5時間 |
| 水 | 3時間 | 5時間 |
| 木 | 3時間 | 5時間 |
| 金 | 3時間 | 5時間 |
| 土 | 5時間 | 5時間 |
| 日 | 5時間 | 5時間 |
| 合計 | 25時間 | 35時間 |
主婦・主夫受験生の特徴は、まとまって机に向かいづらいことです。そのため、15分・30分という細切れの隙間時間や、家事や育児の合間に「ながら勉強」できるような教材選定が重要になります。音声教材や短時間で完結できる問題集など、細切れ時間に適した教材を活用しましょう。
家族の理解を得て、土日だけ学習量を意識的に増やせるような計画を立てておくと、無理なく合格レベルまで到達できます。
3. 司法書士試験合格までに時間がかかる人・かからない人の4つの違い
司法書士試験で短期合格を果たす人と、長期化してしまう人。両者の違いは才能や法律センスではなく、日々の学習方法の違いに集約されます。
多くの司法書士試験合格者を指導してきた伊藤塾だからこそ分かる、合格までに時間がかかる人とそうでない人の決定的な違いを4つ解説します。
3-1. 手当たり次第に教材を増やさず、信頼できる教材一つに絞っているか
短期合格者と長期化する人の最大の違いは、教材の絞り込みができているかです。
「自分に合った教材を1つに決めている」と思っている人は多いです。しかし実際に学習スタイルを聞くと、ほとんどの場合、複数の教材を並行して使っています。
勉強が長期化する人によくあるパターンは次のようなものです。
【勉強が長期化する人によくあるパターン】
基本テキストを使いながら、SNSで評判の良いテキストを次々に買い足し、苦手分野はYouTubeの解説動画を漁る。すべてが中途半端になり、知識が定着しないため、本番で得点が伸びなくなる。
このような学習を続けると、どれが正しいのかわからなくなって、結局どれも記憶に残りません。一方、短期で合格している人が実践しているのはこういう勉強法です。
【短期合格する人によくあるパターン】
テキストの何ページのどこに、どの論点が載っているかが頭に浮かぶレベルまで使い込み、本試験や模試で類似論点に遭遇したとき、「あのページのあの箇所の話だ」とすぐにイメージできる。
手当たり次第に教材を増やすのではなく、1つの教材を信じて徹底的に反復することで、本試験で迷いの出ない強度の記憶を作っているのです。
3-2. インプットが終わったら、過去問にいち早く着手しているか
過去問に手をつけるタイミングが、合格までの期間を大きく左右します。
「知識を固めてから問題演習に入る」というアプローチは一見王道に見えますが、司法書士試験では長期化の典型パターンになりがちです。
勉強が長期化する人の進め方はこうです。
【勉強が長期化する人によくあるパターン】
まずテキストを熟読し、ノートにまとめ、マーカーを引く。インプットを完璧にしてから過去問へ、と意気込んで進めていくが、テキストの後半に進んでいくうちに最初に勉強した内容はほとんど忘れてしまう。
一方、短期合格者は以下のように、学習開始直後から過去問に着手しています。
【短期合格する人によくあるパターン】
テキストで論点を学んだその日のうちに、該当範囲の過去問を解いて知識を定着させる。さらに「この知識が試験ではどう問われるか」を体感することで、次にテキストを読むときの解像度が上がる。
インプットとアウトプットを往復させる勉強が、知識を「知っているだけの状態」から「本番で使える状態」に変えていくのです。
3-3. 記述式を後回しにせず、択一式と同じタイミングで早期に取り組んでいるか
記述式に早い段階から取り組んでいるかも、短期合格者と長期化する人の分かれ目です。
司法書士試験では、記述式の配点が140点(全350点中の40%)と大きく、記述式で得点できないと総合得点で合格点に届きません。2024年(令和6年)度試験から配点が大幅に引き上げられ、より重要性が増しています。
(出典:法務省「【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について」)
合格まで時間がかかる人の進め方は以下のようなものです。
【勉強が長期化する人によくあるパターン】
記述式を「択一式が固まってから」と後回しにし、本試験半年前まで対策しない。いざ取り組むと、択一の知識だけでは埋まらない技術が必要だと気づき、慌てて対策をスタートする。
記述式は択一の知識を答案として表現する訓練であり、択一と並行して進めなければ本試験までに必要なレベルに到達できません。
一方、短い勉強時間で合格する人は早い段階から記述式の対策に取り組んでいます。
【短期合格する人によくあるパターン】
最初は本試験レベルの10分の1ほどの簡単な事例から始め、答案作成の型を段階的に身につける。記述式は択一式とは異なる「事案を読み取る力」と「申請書を書く技術」の両輪が必要なことに気づき、相応の時間をかけるために、早期に訓練時間を確保している。
早期に着手して訓練時間を確保することが、合格までの期間を大きく短縮するのです。
※記述式の具体的な対策方法については、こちらもあわせてご覧ください。
3-4. 思いつきで勉強するのではなく、ゴールから逆算してスケジューリングしているか
思いつきで勉強するのではなく、ゴールから逆算してスケジューリングしているかも、短期合格を分けるポイントです。
「計画は立てている」と答える人でも、内容を聞くと曖昧なケースがほとんどです。
【勉強が長期化する人によくあるパターン】
今日は民法の気分だから民法を解き、明日は不動産登記法に興味が湧いたからそちらを進める。進めやすい科目に時間が偏り、苦手な商業登記法やマイナー科目は手つかずのまま、気づけば本試験まで残り2ヶ月、初めて触る科目が3つあるという状況に陥る。
一方、短期合格者は試験日から逆算して月単位・週単位の計画を立てています。
【短期合格する人によくあるパターン】
試験日から残された期間の中で、いつまでにどの科目を終わらせ、いつから過去問の総復習に入るのかを明確にして取り組んでいる。計画通りに進まない日があっても、ゴールから逆算しているため、どこで取り戻せばよいかを即座に判断できる。
司法書士試験の学習期間は1年以上に及ぶことが多く、無計画に進めると途中で失速します。試験日から逆算した月単位・週単位の計画があれば、毎日の学習に迷いがなくなり、合格までの期間を大きく縮められます。
※具体的なスケジュール作成方法については、以下の記事もご覧ください。
4. 司法書士試験の勉強時間はどうやって確保すればいい?
仕事や家庭と両立する社会人受験生にとって、最大の課題は1日の中で勉強時間をどう捻出するかです。働きながら司法書士試験に合格するためには、1日2〜3時間の勉強時間を継続的に確保する必要があります。
限られた1日の中で勉強時間を捻出するには、スキマ時間の活用と早朝の有効活用が現実的な選択肢になります。
4-1. 隙間時間を活用する
まとまった時間が取れない受験生でも、隙間時間を積み重ねれば1日あたり1〜2時間の勉強時間を確保できます。
隙間時間とは、すでに生活の中に存在しているが意識されていない細切れの時間のことです。代表的なものは次のとおりです。
- 通勤・通学の電車内(往復1時間)
- 昼休み(30分〜1時間)
- 待ち時間(病院・カフェ・待ち合わせ)
- 家事の合間(料理中・洗濯機を回している間)
- 入浴中や就寝前の数十分
これらを足し合わせると、1日に1〜2時間のまとまった勉強時間に匹敵します。1年続ければ300〜700時間に到達し、必要な勉強時間の3〜4分の1を隙間時間だけで賄える計算です。
「まとまった時間でないと勉強できない」という思い込みを手放すことが、勉強時間を確保する第一歩になります。
※隙間時間を活用した勉強法については、以下の記事で詳しく解説しています。
4-2. 早朝の時間を有効活用する
隙間時間に加えて、早朝の時間を活用することも有効です。朝1〜2時間早く起きるだけで、1週間で7〜14時間の勉強時間が確保できます。
社会人にとって、早朝は誰にも邪魔されない時間帯です。残業や飲み会で勉強時間が削られることもなければ、仕事で疲れきって集中力を欠くこともありません。さらに睡眠で記憶が整理された直後の朝は、脳が疲れていない状態にあるため、極めて学習効率が高くなります。
伊藤塾の宇津木講師は、現在は司法書士試験の指導にあたっていますが、受験当時は激務の不動産仲介営業として働きながら、早朝や隙間時間を活用して司法書士試験に合格しました。毎朝出社時刻の1時間前にファミレスに入って勉強しており、「朝は邪魔が入らず、最もクリアな状態で勉強できる時間」と振り返っています。
時間のない社会人にとって、早朝の時間をうまく活用することは、勉強時間を捻出する最も現実的な答えのひとつだと言えるでしょう。
こうした隙間時間や早朝を味方につけて合格を勝ち取った社会人は、伊藤塾にも数多くいます。2024年度の司法書士試験では、最終合格者737名のうち433名、つまり合格者の約59%が伊藤塾で学んでいます。
(出典:伊藤塾「伊藤塾が選ばれる理由 -司法書士試験-」)
5. 司法書士の勉強時間に関するよくある質問(FAQ)
-
法律の知識ゼロから司法書士試験に合格できますか?
-
はい。司法書士試験の合格者の多くは、法律の勉強経験がない状態から学習を始めています。試験範囲は民法・不動産登記法・商法など11科目と広いものの、ゼロから順を追って学習すれば、初学者でも合格レベルに到達することは十分に可能です。
-
法学部以外の出身でも合格できますか?
-
はい。法学部出身者は、民法や憲法など一部の科目で基礎知識があるため、未経験者と比べて勉強のとっつきやすさという面では有利ですが、優位性は限られています。
司法書士試験でメイン科目となる不動産登記法・商業登記法などは、法学部でも扱わないケースが多く、資格試験の勉強と大学の講義では、知識の使い方や問われ方も異なります。そのため、出身学部による差は少ないと考えてよいでしょう。
-
行政書士に合格してから司法書士を目指す場合、勉強時間は短縮できますか?
-
はい。行政書士試験と司法書士試験は、民法・憲法など複数の科目で出題範囲が重なります。特に民法は両試験の中心科目で、行政書士試験で身につけた基礎が司法書士試験でも大いに活きます。
ただし、商法や不動産登記法・商業登記法などはゼロからの学習となるため、相応の追加学習は必要です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
-
宅建士に合格していると司法書士試験の勉強時間は短縮できますか?
-
はい。宅建士試験で学ぶ民法・不動産登記法の基礎は、司法書士試験でも問われる範囲です。とくに不動産登記法は司法書士試験の主要科目であり、宅建士の学習で身につけた知識が司法書士試験の下地として活きるでしょう。
ただし、民法・不動産登記法ともに司法書士試験の方がはるかに難易度が高いため、追加で本格的な学習が必要です。
-
勉強時間が思うように取れません。どうすればいいですか?
-
まずはスキマ時間の活用から始めることをおすすめします。通勤時間・昼休み・待ち時間など、生活の中に存在する細切れの時間を学習に変えれば、1日1〜2時間の勉強時間は確保できます。1年続ければ300〜700時間に到達する計算です。
加えて、1〜2時間早起きして勉強時間を確保することも有効です。残業や付き合いで崩れにくい早朝は、習慣化しやすく学習効率も高い時間帯です。すでにある生活時間の中から、勉強に充てられる時間を見直してみましょう。
-
1日何時間勉強すれば1年で合格できますか?
-
1年合格を目指す場合、1日あたり平均5〜6時間の勉強時間が目安です。2,000時間を52週で割ると週38時間、1日あたり5.4時間に相当します。
専業受験生なら現実的なラインですが、社会人にとっては難易度が高く、スキマ時間の徹底活用と早朝学習を組み合わせる必要があります。
-
司法書士試験に挫折しないためにはどうすればよいですか?
-
学習を生活に組み込んで習慣化することが挫折防止に有効です。朝起きたらまずテキストを開く、通勤電車では毎回一問一答を聞くなど、毎日の決まった行動と学習を紐付けると、モチベーションに左右されずに継続できます。
また、定期的に模試を受けて現在地を把握することも重要です。何ができていて何ができていないかを数値で把握できれば、不安や焦りに振り回されず、必要な対策を冷静に進められます。
-
司法書士試験は独学で合格できますか?
-
不可能ではありませんが、独学での合格は難易度が高いといえます。司法書士試験は試験範囲が広く、頻出論点の見極めや記述式の答案作成など、自力での判断が難しい部分が多くあります。教材選びや学習順序を間違えると、時間ばかりかかって合格に届かないリスクがあります。
独学で目指す場合は、信頼できる教材を1つに絞り、過去問演習を学習の中心に据えることが必須です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
-
受験指導校を利用すれば勉強時間を短縮できますか?
-
受験指導校を利用して正しい方向の勉強を継続できれば、より少ない勉強時間で合格水準に達することができます。
司法書士試験で合格までの期間を分けるのは、量ではなく質を重視した学習ができるかどうかです。受験指導校では、これまでの指導経験と蓄積されたデータを基に、学習範囲の絞り込みと頻出論点の反復が設計されたカリキュラムを提供しています。
量ではなく質を重視した無駄のない効率的な勉強法は、独学ではなかなか再現できません。勉強時間の確保が難しい社会人受験生にこそ、受験指導校の活用は検討に値する選択肢だといえます。※伊藤塾の講座について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
6. 司法書士の勉強時間は総量より質で決まる
司法書士試験の勉強時間は、3,000時間という通説に縛られる必要はありません。合格までの期間を分けるのは費やした時間の総量ではなく、出るところに絞り込み、インプットとアウトプットを往復させる学習の質です。
- 通説の3,000時間に明確な根拠はなく、伊藤塾の合格者には約1,000時間で初回合格した人もいる
- 専業で1週間およそ48時間、社会人でおよそ20〜27時間が現実的な勉強時間で、社会人でも1年から1年半での合格は射程に入る
- 短期合格者は教材を1つに絞り、過去問と記述式に早期着手し、ゴールから逆算して計画を立てている
- 1日2〜3時間はスキマ時間の活用と早起きで捻出でき、1年続ければ必要な時間の大きな部分をまかなえる
これから受験を検討する人は、まず確保できる勉強時間を試算し、現実的な合格時期を描くことから始めましょう。すでに学習を進めている人は、教材の絞り込みと過去問・記述式の進め方を一度見直してみてください。
限られた時間で質の高い学習を実現したい方は、伊藤塾の「司法書士入門講座」で効率的な合格への道筋を確かめてみてください。
➤ 伊藤塾の「司法書士入門講座」の無料体験講義は、こちらでご視聴いただけます。
➤ 「お問い合わせ・ご相談」は、こちらからお気軽にお申し込みください。