賃貸クリーニング代が高すぎると感じたら確認すべき3つのチェックポイント

不動産の費用・お金

賃貸クリーニング代が高すぎると感じたら確認すべき3つのチェックポイント

退去時に支払うクリーニング代には、契約書に記載のない項目が上乗せされていたり、相場からかけ離れた金額が請求されていたりすることがあります。
こうした問題は、クリーニング代だけにとどまりません。壁紙の張り替えや鍵の交換など、本来は借主の負担ではない費用が、退去時にまとめて請求されるケースが多くあります。
本記事では、クリーニング代が妥当かどうかを判断する3つのチェックポイントを解説するほか、壁紙・鍵交換などクリーニング代以外で気をつけたい退去費用もお伝えします。

1. 賃貸クリーニング代が「高すぎる」と感じたら確認するべき3つのチェックポイント

賃貸物件を退去するとき、クリーニング代として請求された金額が「高すぎるのでは?」と感じたら、①契約書に特約として明記されているか、②契約書にない費用が含まれていないか、③相場から外れていないか、の3つを確認してみましょう。
一つずつ詳しく見ていきます。

1-1. 契約書にクリーニング特約が明記されているか

まず確認したいのが、クリーニング代が契約書に特約として明記されているかです。
実は、賃貸物件のクリーニング費用は本来、貸主が負担すべき費用とされています。契約書に特約の記載がなければそもそも払う必要がありません。

これはもともと「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)」によって示されていた考え方ですが、2020年(令和2年)施行の改正民法によって、法律上も明文化されました。
実際には、特約で「退去時にハウスクリーニング費用◯万円を借主が負担する」と明記されている物件が大半ですが、なかには契約書に何の記載もないのに、当然のようにハウスクリーニング代が請求されるケースもあります。
まずは契約書を見返して特約の有無を確認してみましょう。

1-2. 契約書に記載のない費用が含まれていないか

次に確認したいのが、契約書に記載のない費用が請求に含まれていないかです。
たとえば、特約で「退去時のハウスクリーニング費用として、賃借人は金50,000円を負担する。」と書かれているのに、内訳を確認するとエアコンクリーニング代、換気扇クリーニング代、浴室クリーニング代などが含まれているケースがあります。
こういった相談は、実際に国民生活センターなどにも寄せられています。

▼ 国民生活センターに寄せられた相談事例

2年間居住した、1LDKで家賃5万円、敷金と礼金が0円の賃貸アパートを退去した。(略)ハウスクリーニング代については契約書に特約として記載があるので支払うつもりでいるが、施工業者に確認したら相場はもっと安いと言われた。また、クリーニング代にはエアコンの清掃代が含まれているが、契約書にはエアコンの清掃代は「室内に喫煙の形跡が残っている場合のみ」と記載されており、自分は喫煙していない。

出典:国民生活センター「住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!―賃貸住宅の「原状回復」トラブルにご注意―」

ハウスクリーニング代だけなら数万円で済むケースがほとんどですが、エアコン代や換気扇代などの清掃費が上乗せされると、支払う費用は一気に高額になります。
「クリーニング代が高い」と感じたら、請求書の内訳を確認し、契約書に記載のない費用があれば、その根拠を管理会社に確認しましょう。

1-3. 物件の広さ・間取りに対してクリーニング代が高すぎないか

最後に確認してほしいのが、請求金額が物件の広さ・間取りに対する相場感から外れていないかです。いくら契約書に明記されていても、相場から逸脱したような高額なクリーニング代を特約で定めることは認められません。

この根拠となるのが消費者契約法です。消費者契約法第10条では、「消費者の利益を一方的に害する条項は無効」とされており、相場から著しく逸脱したような高額なクリーニング代は、ここに該当します。

ハウスクリーニング代の相場に一律の基準はありませんが、一般的には以下のレンジに収まることが多いです。

▼ハウスクリーニング代の相場の目安

間取り目安金額
ワンルーム・1K2万円〜4万円
1LDK・2DK3万円〜5万円
2LDK・3DK5万円〜8万円
3LDK・4DK7万円〜10万円

請求された金額がこの範囲から著しく外れている場合は、ハウスクリーニング特約の有効性が問題となる可能性があります。

2. クリーニング代以外で確認したい賃貸物件の退去費用

退去費用の請求書には、ハウスクリーニング代以外にもさまざまな項目が含まれています。
特に、①壁紙(クロス)の張り替え費用、②床(フローリング・畳など)の補修費用、③鍵の交換費用の3つはトラブルになりやすい項目です。

2-1. 壁紙(クロス)の張り替え費用

退去費用のなかで最もトラブルになりやすいのが、壁紙(クロス)の張り替え費用です。
本来は借主が支払う必要のない費用ですが、「壁紙が汚れていたから張り替えが必要」と言われ、退去時に数万円〜十数万円を請求されるようなケースもあります。

▼実際に国民生活センターに寄せられている相談事例

約1年半居住した3LDK、家賃約10万円、敷金約20万円の賃貸マンションを退去した。退去時の立会いの際、クロスは退去する際にいつも全面張替えをしていると言われた。納得できないと伝えたところ、張替え費用が当初よりも減額されたが、各部屋のクロス張替え費用約14万円を請求され、契約書の特約にあるハウスクリーニング費用と合わせ約20万円を請求されている。(2024年5月受付 30歳代 女性)

出典:国民生活センター「賃貸住宅退去時トラブルの対処法-入居時からできる対策-」

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、日焼けによる変色や家具を置いていた場所のへこみといった「普通に生活していて生じる汚れや傷」は、貸主が負担するものと明記されています。
さらに、壁紙(クロス)は6年で価値がほぼゼロまで下がるため、6年以上住んでいた部屋では、たとえ借主の過失があっても新品の張り替え費用を全額請求されることは原則ありません。

※賃貸物件の退去費用のルールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

2-2. 床(フローリング・畳など)の補修費用

床の補修費用も、退去時にトラブルになりやすい項目の一つです。
「家具を置いていた場所がへこんでいる」「日に焼けて色が変わっている」といった理由で、退去時に補修費を請求されるケースがありますが、特約で定められていない限り、支払う必要はありません。
畳も同様です。日焼けによる変色や通常の使用による傷みなどがあっても、借主が負担する必要はありません。

2-3. 鍵の交換費用

退去時に鍵の交換費用(1万円〜2万円程度)を請求されるケースもありますが、これも特約で定められていない限り、支払う必要はありません。
なかには、入居時にも鍵の交換費用を支払っているにもかかわらず、退去時にも改めて請求されるようなケースもあります。契約書を見返して、特約の有無を確認しておきましょう。

3. 高すぎる賃貸クリーニング代で損をしないためには法律の知識が必要

高すぎるクリーニング代や退去費用で損をしないためには、自分で法律の知識を身につけるしかありません。

「自分で勉強しなくても、弁護士に相談すればよいのでは?」と考える人もいるかもしれません。ただ、クリーニング代や退去費用は数万円〜数十万円であることが多いため、相談料や着手金で費用倒れになる可能性が高いです。

日常的に遭遇しやすい、「弁護士に頼むほどではないが、決して安くはない(数万円〜数十万円)」という金額のトラブルには自分で対処するしかないのです。

知識がないと、業者の説明を受けて「これが普通なのかもしれない」と納得してしまうこともあるでしょう。しかし、法律の知識があれば、こう返すことができます。

よくある請求のパターン知識があれば、こう返せる
「うちは皆さんこうして
もらってます」
「契約書に明記されていない費用
は支払い義務がありません」
「入居時と同じ状態に戻
すのに◯◯円必要です」
「民法621条では、通常損耗は貸
主負担が原則とされています」
「契約書にサインしたん
だから払ってください」
「相場から大きく外れた特約は、
消費者契約法10条により無効とな
る可能性があります」

こうした知識が役立つのは、賃貸トラブルだけではありません。人生では、賃貸契約以外にも、不動産に関する大きなお金が動く場面は何度も訪れます。そのたびに契約書や重要事項説明書などを渡されますが、「内容を理解できないまま、なんとなく署名している」という人も多いはずです。
こういった場面で失敗しないためにも、不動産取引に関する基本的な法律知識を身につけておきましょう。

4. 不動産で損をしないための知識を体系的に学べるのが宅建士

本記事で紹介したような不動産取引のルールを体系的に学べるのが、国家資格である「宅建士(宅地建物取引士)」です。
毎年20万人以上が受験する人気資格で、不動産業界で働く人だけでなく、賃貸契約や住宅購入で損をしないために学ぶ社会人も増えています。

4-1. 宅建士試験で身につく不動産知識

宅建士試験では、賃貸・売買・相続など不動産取引の現場で使われる法律知識を学びます。本記事で扱った原状回復のルールや特約の考え方などもその一部です。
たとえば、引っ越しやマイホーム購入、相続といった場面で生じる次のような疑問に、自分で答えられるようになります。

  • 今の賃貸契約で、退去時に自分が払うべき費用はどこまでか
  • 契約書で「この内容で大丈夫?」と思ったときに、どう判断すればよいか
  • マイホームを買うとき、重要事項説明書で何を確認すれば後悔しないか
  • 親から不動産を相続したとき、何から手をつければよいか

4-2. 国家資格なので就職・転職にも強い

宅建士は、就職・転職にも強い国家資格です。

不動産会社では、従業員5人ごとに1人の宅建士を置くことが宅建業法で義務づけられており、有資格者が不足すると会社として営業ができなくなります。
そのため求人サイトには「宅建士有資格者歓迎」「資格手当あり」と書かれた募集が多く、月1万円〜3万円程度の資格手当を支給する会社も珍しくありません。

さらに、宅建士の知識が活きるのは不動産業界だけではありません。住宅ローンを扱う金融機関、火災保険を扱う保険会社、賃貸物件を扱う管理会社、建設会社や住宅メーカーなど、不動産に関わる幅広い業界で評価されています。

※宅建士の資格が就職や転職に強い理由を、こちらの記事で詳しく解説しています。

4-3. 伊藤塾なら39,800円でスキマ時間に楽しく学べる

ここまで読んで、「宅建士、ちょっと興味が出てきた」と感じた方におすすめなのが、伊藤塾の宅建士合格講座です。法律系資格の指導で30年以上の実績があります。
講義は1コマ約30分で設計されており、倍速視聴を使えば1コマ15分。通勤や昼休みのスキマ時間でも学習を進められます。
合格に必要な教材とサポートが39,800円(税込)にすべて含まれており、追加費用はかかりません。オリジナルテキスト、厳選過去問集、直前予想模試、問題演習アプリ「It’s D」までセットになっています。
働きながら宅建士を目指す社会人でも、無理なく合格を目指せる環境が整っています。

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5. 賃貸のクリーニング代に関するよくある質問(FAQ)

自分で掃除すればクリーニング代は払わなくていいですか?

契約書に特約として「退去時にハウスクリーニング費用◯万円を借主が負担する」と明記されている場合は、退去前に自分で掃除をしていても支払い義務が生じます。特約は、「業者によるクリーニング費用」を指すため、自分で掃除をしたかどうかは関係ありません。

入居時にクリーニング済みの部屋でも、退去時にクリーニング代はかかりますか?

契約書にクリーニング特約があれば、入居時に清掃された部屋だったかどうかにかかわらず、退去時のクリーニング代は請求されるのが一般的です。退去時のクリーニングは、次に入居する人のために行うものと位置づけられているためです。特約がなければ、原則として支払う義務はありません。入居時と退去時で二重に負担していないか気になる場合は、契約書で費用の負担時点を確認しておきましょう。

入居中あまり掃除をしていなかった場合、追加でクリーニング代を請求されることはありますか?

通常使用の範囲内であれば、多少汚れがあっても、契約書に記載されたクリーニング代を超えて追加請求されることは少ないです。ただし、室内でタバコを吸ってヤニ汚れがついていたり、長期間カビを放置していたりした場合は、原状回復費として別途請求される可能性があります。

短期間しか住んでいなくても、満額のクリーニング代を請求されますか?

請求されます。ハウスクリーニング代の特約は、居住年数にかかわらず一律の金額が借主負担となるのが一般的です。仮に数ヶ月しか居住していなくても、契約書に記載されている特約金額は支払う必要があります。

ハウスクリーニング代の支払いを拒否することはできますか?

契約書に特約として明記されている場合、原則として拒否することはできません。
ただし、相場から著しく逸脱した金額が請求されている場合は、特約自体の無効を主張できる可能性はあります。

入居時と退去時の両方でクリーニング代を請求されることはありますか?

通常、ハウスクリーニング代は入居時か退去時のどちらかで支払う仕組みなので、両方で請求されることはありません。
契約書に「本契約締結時にハウスクリーニング費用として◯◯円を支払うものとする」「賃貸借契約終了時にハウスクリーニング費用◯◯円を借主が負担するものとする」といった記載があることが多いので、まずは契約書を確認してみるのがおすすめです。

ハウスクリーニング代と原状回復費用は何が違いますか?

ハウスクリーニング代は、通常の清掃を超える専門業者による室内清掃の費用で、契約書に特約があれば借主負担にできます。一方、原状回復費用は、借主の故意や過失、手入れ不足でつけた傷や汚れを直すための費用です。日焼けや家具の設置跡といった通常の使用による損耗は原状回復に含まれず、貸主が負担します。特約の有無で判断するのがクリーニング代、損傷の原因で判断するのが原状回復費用と整理すると分かりやすいでしょう。

壁紙以外の設備にも、退去費用で考慮される耐用年数はありますか?

あります。国土交通省の原状回復ガイドラインでは、クッションフロアやカーペット、畳床なども壁紙(クロス)と同じく6年で価値が1円まで下がるとされ、住んだ年数に応じて借主の負担割合が減っていきます。一方、畳表や襖紙、フローリングの部分的な補修などは経過年数を考慮しない扱いで、年数による減額は行われません。設備によって考え方が異なるため、請求内容と照らし合わせて確認しましょう。

退去時の原状回復トラブルは、実際にどのくらい起きているのですか?

国民生活センターによると、賃貸住宅に関する相談は毎年3万件以上寄せられ、そのうち原状回復に関する相談は毎年1万3,000件〜1万4,000件程度で、賃貸住宅の相談全体の約4割を占めています。クリーニング代を含む退去費用のトラブルは決して珍しいものではなく、納得できない請求を一人で抱え込む必要はありません。

ハウスクリーニング代を抑える方法はありますか?

契約書のクリーニング特約に金額が明記されている場合、その金額自体を変えることはできません。契約前に、特約の有無や金額をしっかり確認したうえで、納得できる物件を選ぶことが大切です。

6. 高すぎる賃貸クリーニング代は特約と相場で見極められる

退去時のクリーニング代は、契約書の特約、請求の内訳、部屋の広さに対する相場という3点を確認すれば、妥当かどうかを自分で判断できます。特約があっても、相場を大きく超える金額はそのまま支払う必要がない場合もあります。

  • 特約のない費用に支払い義務はなく、特約があっても内訳と相場の確認が欠かせません。
  • 壁紙や床、鍵の交換などの費用も、特約がなければ原則として借主の負担ではありません。
  • 弁護士に頼みにくい数万円〜数十万円のトラブルは、自分の知識で対処するしかありません。
  • 不動産取引のルールは、国家資格である宅建士の学習を通じて体系的に身につけられます。

いま高額な請求に直面している方は、まず契約書と請求書の内訳を照らし合わせ、納得できない点は管理会社に説明を求めましょう。これから引っ越しを控えている方は、契約前に特約の有無と金額を確認しておくと安心です。

退去費用のトラブルを入り口に不動産の法律知識を体系的に学びたい方は、伊藤塾の「宅建士合格講座」で、是非その第一歩を踏み出してみてください。

伊藤塾 宅建士試験科

著者:伊藤塾 宅建士試験科

宅地建物取引士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。毎年20万人以上が受験する宅建士試験について、民法改正の実務的影響・科目別の攻略法・効率的な学習スケジュールまで、法律指導のプロが正確にお届けします。