賃貸の申込後・審査後はキャンセルできる?8つのタイミング別に解説
不動産の費用・お金
【記事のポイント】
- キャンセル可否:賃貸物件の申込後でも審査後でも、賃貸借契約書への署名押印前ならキャンセルできます。
- 預り金の扱い:申込金・預り金・申込証拠金など、契約成立前に支払った金銭は名目を問わず全額返還されます。
- 違約金:賃貸借契約書に署名押印した後のキャンセルは、法律上「中途解約」の扱いとなり、契約書の解約条項により違約金が発生する場合があります。
- 信用情報:賃貸キャンセルは個人信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に記録されず、将来のクレジットカードや住宅ローン審査に影響することはありません。
- トラブル防止:現実には預り金の返金拒否や違約金の不当請求といったトラブルも報告されており、契約成立のタイミングを正しく理解しておくことが身を守る手段となります。
賃貸物件に申し込んだ後、あるいは入居審査が通った後で、「家庭の事情が変わった」「転勤の話が出てきた」など、状況が変わったりするケースがあります。このとき気になるのがキャンセルできるのか、違約金は発生するのかという点です。
本記事では、賃貸物件の申込後・審査後キャンセルについて、民法・宅地建物取引業法・消費者契約法などをもとに、キャンセル可能なタイミング、預り金や違約金の取扱い、信用情報への影響、業者への連絡方法、多発するトラブルの実態などを整理して解説します。国民生活センターの相談事例なども踏まえ、賃貸契約の基本知識をお届けします。
1. 賃貸契約は申込後・審査後でもキャンセルできる?
キャンセルできるかどうかの境目は、賃貸借契約書への署名押印です。申込書の提出後も入居審査の通過後も、その前であれば費用の負担なく取りやめることができます。
1-1. 法律上は申込後でも審査後でもキャンセルはできる
申込書を出した後でも、入居審査に通った後でも、法律上はキャンセルできます。借主が申し込んだ段階では、貸主が正式に承諾したとはいえず、契約がまだ成立していないためです。
根拠となるのは、契約の成立時期を定めた民法第522条です。
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Gov法令検索
賃貸借契約は、貸主と借主の意思が合致すれば、それだけで成立するのが原則です。契約書の作成は、成立の条件ではありません。ただし実務では、双方が賃貸借契約書に署名押印した時点を契約の成立とみなすのが一般的です。それまでの申込みは、契約の締結に向けた意思表示にとどまります。貸主からの正式な承諾があったとは認められないため、キャンセルできる扱いになります。
なお、まれに「申込書を出した時点で契約成立だから」と説明される場合もあります。しかし、申込書を提出しただけ、あるいは入居審査に通っただけでは、貸主からの正式な承諾があったとはいえません。そのため、通常は契約の成立として扱われません。
1-2. 申込・審査・契約締結・鍵渡しの段階別キャンセル可否
賃貸契約のキャンセルができなくなるのは、賃貸借契約が成立したタイミングです。契約の成立時期は、実務では賃貸借契約書への署名押印の時点と考えられています。
入居までの流れを8つのタイミングに分けて、キャンセル可否を整理すると、以下のようになります。
| 流れ | キャンセル可否 | キャンセル料 ・違約金 |
| ①申込書の提出前 (内見段階) | ○可能 | なし |
| ②申込書の提出直後 (審査前) | ○可能 | なし |
| ③入居審査中 | ○可能 | なし |
| ④入居審査の通過後 | ○可能 | なし |
| ⑤重要事項説明の後 (契約書への署名押印前) | ○可能 | なし |
| ⑥賃貸借契約書への 署名押印後 | △中途解約扱い | 発生し得る |
| ⑦初期費用の入金後 (鍵渡し前) | △中途解約扱い | 発生し得る |
| ⑧鍵渡しの後(入居開始) | △中途解約扱い | 発生し得る |
表からわかるとおり、賃貸借契約書への署名押印を境にして、キャンセルの取扱いが大きく変わります。
なお、重要事項説明の際には、重要事項説明書への署名を求められることが一般的です。しかしこれは「重要事項について説明を受けた」ことを確認するものであり、契約の成立ではありません。実務では、重要事項説明書と賃貸借契約書への署名押印を同じ日に行う場合が多いものの、両者は別の手続きです。
したがって、重要事項説明書に押印した後であっても、賃貸借契約書への署名押印を行う前であれば、キャンセルは可能です。
※賃貸契約までの流れを内見から鍵渡しまで整理した記事もあわせてご覧ください。
2. 申込後・審査後にキャンセルすると、違約金や預り金はどうなる?
契約締結前なら違約金は発生せず、申込金(預り金)も全額返還されます。締結後は中途解約の扱いとなり、契約書の条項によって違約金の支払いが必要になる場合があります。
2-1. 契約締結「前」のキャンセルなら違約金は発生しない
賃貸借契約が締結される前のキャンセルなら、申込後・審査後であっても、違約金は発生しません。これは違約金が契約に基づいて発生するものだからです。契約締結前のキャンセルでは、そもそも支払い義務の前提となる契約関係が存在しません。
ただし、契約締結前であっても、契約が成立すると強く期待させる言動によって貸主に具体的な損害を与えた場合には、損害賠償を求められる可能性があります。契約を結ぶ前の段階であっても、相手に持たせた期待を一方的に裏切ってはならない、という考え方が裁判で認められているためです(最高裁昭和59年9月18日判決)。
不動産売買について示された考え方であり、賃貸借で問題になることはまれですが、例外として知っておくとよいでしょう。
2-2. 契約締結「後」のキャンセルは短期解約違約金条項があれば違約金が発生し得る
一方で、契約締結後のキャンセルは、法律上「キャンセル」ではなく「中途解約」という扱いとなり、契約書の条項によって扱いが変わります。
一般的な賃貸借契約書には、契約から1年以内など短期間で解約する場合に違約金を支払う旨の条項が定められていることがあります。これは短期解約違約金条項と呼ばれ、該当すると違約金の支払義務が生じる可能性があります。金額は契約書の定めによりますが、国民生活センターが公表した相談事例では、解約時の違約金として家賃1か月分と記載されていた例が報告されています。
ただし、契約書に書かれた違約金がそのまま有効になるとは限りません。根拠は消費者契約法第9条第1項第1号です。同号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償額や違約金の定めのうち、事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効としています。
賃貸借では、貸主の平均的な損害として空室期間中の家賃相当額などが想定されます。違約金がこれを大きく超えるときは、超える部分が無効となる可能性があります。
(出典:消費者契約法|e-Gov法令検索)
2-3. 申込金(預り金)はいかなる名目で預けていても返還される
申込金(預り金)は、契約締結前のキャンセルであれば全額返還されます。業者が返還を拒むことは、宅地建物取引業法上はっきりと禁止されているためです。
根拠は、宅地建物取引業法施行規則第16条の11第1項第2号です。同号は宅建業者に対し、契約の申込みの撤回に際して「既に受領した預り金を返還することを拒むこと」を禁じています。
(出典:宅地建物取引業法施行規則|e-Gov法令検索)
業者によっては「申込金」「申込証拠金」「契約証拠金」など、さまざまな名目を挙げて返還を拒む場合があります。しかし契約の成立前にやり取りされた金銭は、名目にかかわらず「預り金」として扱われます。
(出典:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(預り金の返還の拒否の禁止について)」)
したがって、申込書を提出する際にどのような名目で支払ったお金であっても、契約の成立前のキャンセルであれば返還を請求することができます。
3. 賃貸の申込・審査後キャンセルは信用情報に影響する?
賃貸のキャンセルは個人信用情報機関には記録されず、ローンやカードの審査に影響しません。ただし、不動産会社の社内記録には残る場合があり、同じ会社での再申込では考慮される可能性があります。
3-1. 個人信用情報機関には賃貸キャンセルは記録されない
賃貸物件のキャンセルが、個人信用情報機関に記録されることはありません。個人信用情報機関が扱うのは、クレジットカードやローンなどの契約情報と支払い履歴であり、賃貸借契約はその対象に含まれないためです。
国内の個人信用情報機関は、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つです。いずれもクレジットカードやローンなどの契約内容と支払い履歴を扱う機関であり、賃貸借契約はその範囲に含まれません。
また、いわゆる「ブラックリスト」に載ることもありません。ブラックリストとは、実際に存在するリストではありません。信用情報機関に長期の延滞や債務整理などの記録が登録されている状態を指す俗称です。賃貸のキャンセルではこうした記録は登録されないため、ブラックリストとは無関係です。
なお、影響がないのはキャンセルそのものについてです。入居したあとに家賃を滞納した場合は、支払い方法によっては信用情報に記録が残ることもあります。キャンセルと滞納は分けて考えておきましょう。
3-2. 管理会社などの社内記録として残り得るが影響範囲は限定的
一方で、不動産会社や管理会社の社内データベースには、キャンセルの履歴が記録される場合があります。ただし社内記録は、その会社が独自に管理している顧客情報にとどまります。
家賃の滞納などを除けば、信用情報機関を介して他の金融機関に共有される性質のものではありません。そのため、影響が及ぶ範囲は限定的です。
過去のキャンセル履歴は、同じ不動産会社で再び申し込む場合には審査で考慮されることがあります。もっとも、別の不動産会社で物件を探す場合には基本的に影響しません。
4. 申込後・審査後の賃貸キャンセルは誰にどのように伝えればよい?
申込先の不動産会社に対し、メールや書面など記録に残る形で、キャンセルを決めた時点で速やかに伝えるのが基本です。
4-1. 連絡先は申込先の不動産会社、方法は記録に残る形で
賃貸キャンセルの連絡先は、申込書を提出した不動産会社です。法律上は口頭でも意思表示は有効です。ただし、後日の「言った・言わない」というトラブルを避けるため、メールや書面など記録に残る形で伝えておきましょう。電話で先に連絡した場合も、あとからメールなどで改めて意思表示を残しておくと安心です。
連絡の際は、以下の内容を簡潔に書いておくと、業者側の対応もスムーズになります。
- 申込日
- 物件名と所在地
- 申込者の氏名
- キャンセルする旨
- 申込金(預り金)を支払っている場合は、その返還の依頼
4-2. キャンセルを決めた時点で速やかに連絡する
申込後・審査後のキャンセルの連絡は、キャンセルを決めた時点で速やかに行いましょう。連絡が遅れると、業者側で鍵の手配や入居の準備が進んでしまうことがあります。その結果、思わぬ費用を請求されたり、やり取りが長引いたりする可能性があります。
また、法律上はキャンセルできても、実際には貸主や仲介会社の業務に影響が生じることも事実です。マナーの観点からも、早めの連絡を心がけましょう。
5. 賃貸の申込後・審査後キャンセルで多発する預り金の返金拒否トラブル
法的にはキャンセル自由・預り金全額返還が原則ですが、現実には預り金返金拒否や違約金の不当請求といったトラブルが多数報告されています。
国民生活センターの消費生活相談データベース(PIO-NET)には、賃貸住宅に関する相談が年間3〜4万件程度寄せられています。国土交通省の調査でも、相談を受ける立場の方が日頃受ける相談のうち「契約解除(キャンセル)に関する相談」は17.3%を占めており、入居前に起きるトラブルとして目立つ類型のひとつです。
(出典:国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)」p2)
国民生活センターは、以下のような相談事例を公表しています。
娘が賃貸マンションを借りることになり、営業所に出向いて娘が契約書にサインし、私が保証契約書にサインして仲介手数料、敷金(家賃 1カ月分)を含む約 18 万円を支払った。その後、娘が体調を崩して入居できなくなったため、仲介業者に解約を申し出たところ、「契約は成立している。受け取った金額のうち、清掃費用2万円のみ返還できる。その他は返金できない」と言われた。契約書には、解約時の違約金として家賃 1 カ月分と記載されていた。鍵も受け取っていないのに、支払ったお金がほとんど返ってこない。自己都合であることはわかっているが、なんとかならないか。(2021年1月受付 当事者:10 歳代女性学生)
出典:国民生活センター「新しいお部屋で新生活!「賃貸借契約」を理解して、トラブルを防ごう!!」
これは、違約金と預り金の返還をめぐってトラブルになった事例です。返還されない16万円は確かに高額です。ただし、この事例では契約書への署名が済んでおり、法律上は契約が成立しているため、業者の主張にも一定の根拠があると考えられます。
最終的には個別の事情によって判断される問題です。それでも、こうしたトラブルから身を守る最大の備えは、賃貸契約に関する基本的な知識を事前に持っておくことです。
6. 賃貸契約の知識は宅建士試験で体系的に学べる
賃貸キャンセルの場面に限らず、不動産取引のトラブルから自分を守る知識を体系的に学べるのが、宅建士(宅地建物取引士)試験です。
2025年度(令和7年度)の受験者数は24万5,462人でした。職業別の構成比を見ると、不動産業が33.2%である一方、他業種が27.9%、学生が10.9%を占めています。不動産業界の従事者だけでなく、幅広い層が学んでいる国内最大規模の資格試験となっています。
(出典:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」2025年11月26日発表)
6-1. 宅建士の知識は賃貸契約のあらゆる場面で実際に役立つ
宅建士試験で学ぶのは、賃貸契約に限らず、不動産の購入や相続など、取引の現場でそのまま使える知識です。
本記事で扱った「契約成立のタイミング」「預り金の返還ルール」などのほかにも、以下のようなテーマが試験の出題範囲に含まれます。
- 物件を借りる前に、契約書のどこを確認しておけばよいか
- 入居中の修繕は貸主・借主どちらの負担になるか
- 退去時の原状回復費用や敷金返還の妥当性をどう判断するか
- マイホームを買うとき、契約や登記の手続きはどう進めるか
不動産取引の現場では、契約書や重要事項説明書を渡されても専門用語が多く、貸主や仲介業者の説明をそのまま受け取るしかない場面が少なくありません。
宅建士の知識があれば、提示された内容が法律に照らして妥当かどうかを自分で判断できます。大きなお金が動く場面でも、業者任せにせず自分の意思で決められるようになります。
資格の取得を目指すかどうかにかかわらず、この判断力は日々の暮らしで役立ちます。
※仲介手数料や家賃の値上げに関する知識については、こちらの記事で詳しく解説しています。
6-2. 国家資格として就職や転職で評価される
宅建士は、賃貸契約の知識が身につくだけでなく、不動産業界で安定した需要がある国家資格です。宅地建物取引業法第31条の3とと同法施行規則第15条の5の3により、宅建業を営む事務所には、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で専任の宅建士を置く義務が課されているため、宅建業者にとって宅建士は事業運営に欠かせない存在となっています。
加えて、宅建業法第35条で定められた重要事項説明と、35条書面・37条書面への記名は、いずれも宅建士だけができる独占業務です。資格を持たない人は行うことができません。こういった法律上の位置づけがあるため、不動産業界では宅建士の有資格者を求める動きが続いています。
採用の現場でも「宅建士有資格者歓迎」といった求人は珍しくありません。資格手当の制度を設けている企業も見られます。賃貸契約のトラブルに対応できる実用的な知識が身につくうえ、就職や昇進、転職の場面でも評価されやすい点が、宅建士資格の魅力です。
※宅建士の就職・転職、独占業務については、こちらの記事で詳しく解説しています。
6-3. 宅建士の学習が向いている方と、別の進め方も検討したい方
賃貸トラブルへの備えとして宅建士の学習を始めるかどうかは、目的と使える時間によって判断が分かれます。
【向いている方】
不動産の賃貸や購入をこれから複数回経験する見込みがあり、契約書や重要事項説明書を自分で読み解けるようになりたい方です。宅建士試験の学習範囲は民法・宅建業法・法令上の制限などに広がるため、賃貸のキャンセルだけでなく、購入や相続の場面まで知識がつながります。仕事で不動産に関わる予定がある方も、学んだ内容をそのまま実務に生かせます。
【他の選択肢も検討したい方】
いま目の前にある1件のトラブルを解決したい方は、消費者ホットライン「188」や自治体の消費生活センターに相談する方が早く解決できます。宅建士試験は年1回の実施で、学習にはまとまった時間が必要になるためです。資格の取得そのものに関心が薄い場合は、国土交通省や国民生活センターが公開している賃貸借契約の解説資料を読むだけでも、当面の判断には十分役立ちます。
6-4. 伊藤塾の宅建士合格講座は楽しく学びながら合格を目指せる
「賃貸トラブルから自分を守るために宅建士を目指したいけれど、法律をゼロから学ぶのは不安…」そんな方にこそおすすめしたいのが、伊藤塾の宅建士合格講座です。
伊藤塾の宅建士合格講座が掲げているコンセプトは、「色々と楽しくなる講座」です。法律の学習が初めての方でも無理なく合格までたどり着けるよう、3つの特長を備えたカリキュラムが組まれています。
① 丸暗記に頼らない理解中心の進め方
条文をひたすら覚えていくスタイルではなく、「法律は困りごとに効く薬」という捉え方を出発点に、それぞれのルールが存在する理由を1つずつ解きほぐしていきます。
「ただ覚える」のではなく「なるほど、こういうことか」と納得できる瞬間を積み重ねる構成のため、難しく感じる法律の世界も楽しみながら学べます。
② 実務家講師によるエピソードトーク
講義を進めるのは、宅建業や行政書士の業務を現役で手がける実務家講師陣です。書籍だけでは見えてこない不動産取引の現場を、具体的な事例を交えて解説します。そのため、難しい印象を持たれがちな法律の話題も、身近な出来事として頭に入ってきます。
どうしても覚えるしかない論点には、ユニークな語呂合わせをいくつも用意しています。
③ 挫折しないための伴走体制
講義は1コマ約30分(2倍速なら約15分)に設計されているので、通勤電車や昼休みなどのすき間時間で無理なく受講できます。
わからないことが出てきても、教室で講義が受けられるスクーリング、気軽に相談できるカウンセリングを利用できます。途中で挫折しないための仕組みをいくつもご用意しています。
7. 賃貸の申込後・審査後キャンセルに関するよくある質問(FAQ)
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賃貸の申し込みキャンセルを何度も繰り返すとペナルティはありますか?
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業務妨害にあたるような悪質な場合を除き、法律上の罰則や違約金の負担は原則としてありません。キャンセルは契約の成立前の行為であり、借主に義務が生じていないためです。ただし、不動産会社の社内記録には残る場合があります。同じ会社で短期間に何度もキャンセルすると、次に申し込むときの審査で考慮されることがあります。
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賃貸の「仮押さえ」と呼ばれた段階でもキャンセルできますか?
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賃貸借契約書に署名押印していなければ、キャンセルできます。「仮押さえ」は法律上の契約の種類ではなく、実務で使われている呼び名にすぎないためです。ただし実際には、「仮押さえで他の方をお断りした」として業者に渋られることがあります。その場合も、キャンセルの意思はメールなど記録に残る形で伝えてください。仮押さえの際に預けた金銭は、相手が宅地建物取引業者であれば預り金として返還を請求できます。
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賃貸契約後でも、入金前ならキャンセルできますか?
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入金していなくても、契約書に署名押印していれば賃貸借契約は成立しています。そのため、法律上は「キャンセル」ではなく「中途解約」の扱いとなり、契約書の解約条項に従って手続きします。初期費用を支払っていない場合でも、契約期間中の賃料や違約金の負担が生じることがあるため、まずは契約書の解約に関する条項を確認しましょう。
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賃貸契約後に、貸主側(業者・大家側)からキャンセルされることはありますか?
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賃貸借契約が成立した後は、貸主から一方的に契約を打ち切ることは原則としてできません。
借地借家法第28条により、貸主が更新拒絶や解約申入れをするには、貸主・借主双方が建物の使用を必要とする事情などを総合考慮した「正当の事由」が必要とされているからです。これは簡単には認められません。借地借家法第28条により、貸主が更新拒絶や解約の申入れをするには、貸主と借主の双方が建物の使用を必要とする事情などを総合的に考慮した「正当の事由」が必要とされているからです。正当の事由は簡単には認められないため、契約の成立後は借主の側が強く保護されます。
(出典:借地借家法28条|e-Gov法令検索)
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賃貸契約のキャンセルにクーリングオフは使えますか?
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居住用の賃貸借契約は、クーリングオフ制度の対象外です。クーリングオフは特定商取引法(訪問販売・電話勧誘販売など)や宅地建物取引業法第37条の2(宅建業者が売主となる宅地建物の売買)に定められた制度であり、賃貸借契約はどちらにも当てはまらないためです。ただし対象外であっても、契約書への署名押印前であればキャンセルできる点は変わりません。
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賃貸契約後、入居前のキャンセルでも違約金はかかりますか?
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入居しているかどうかにかかわらず、賃貸借契約の成立後のキャンセルは中途解約として扱われます。契約書に短期解約違約金の条項があれば、違約金が発生する場合があります。「まだ住んでいない」ことは判断の基準になりません。ただし違約金の額が貸主の平均的な損害を大きく超える場合は、超える部分が無効となる可能性があります。
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申込金(預り金)は、キャンセル後どのくらいで返金されますか?
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返金までの日数を定めた法律の規定はありません。宅地建物取引業法施行規則第16条の11第1項第2号が禁じているのは返還そのものを拒む行為であり、期限までは定めていないためです。実際の取扱いは会社によって異なるため、キャンセルを伝える際に返金の時期と振込先をあわせて確認し、そのやり取りを記録に残しておくと安心です。
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賃貸の「キャンセル」と「中途解約」は何が違うのですか?
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分かれ目は、賃貸借契約が成立しているかどうかです。契約書への署名押印前に申込みを取りやめることがキャンセルで、費用の負担は原則として生じません。署名押印後に契約を終わらせることは中途解約にあたり、契約書の解約条項に従って手続きします。呼び方の違いではなく、契約が成立した時点を基準に判断します。
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保証会社や連帯保証人の審査に通った後でもキャンセルできますか?
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キャンセルできます。保証会社の審査や連帯保証人の承諾は、賃貸借契約を結ぶための準備にあたる手続きであり、それ自体で貸主との賃貸借契約が成立するわけではないためです。ただし保証委託契約を別に結んで保証料を支払っている場合は、その返還の可否が保証会社との契約内容によって変わります。申込先の不動産会社と保証会社の双方に確認しましょう。
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預り金の返金を拒まれた場合は、どこに相談すればよいですか?
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消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながります。宅地建物取引業者による預り金の返還拒否は宅地建物取引業法に違反する行為であるため、その業者に免許を与えた都道府県の宅建業担当窓口や、国土交通省の地方整備局に申し出る方法もあります。相談の際は、申込書の控えや領収書、業者とのやり取りの記録を手元に用意しておきましょう。
8. 賃貸のキャンセルは契約書への署名押印前なら費用の負担なくできる
賃貸物件に申し込んだ後でも、入居審査を通過した後でも、賃貸借契約書に署名押印していなければ費用を負担せずに取りやめられます。判断の分かれ目は、連絡の早さでも業者の対応でもなく、契約が成立しているかどうかという一点にあります。
- 申込後も審査の通過後も、賃貸借契約書への署名押印を終えるまではキャンセルできる
- 申込金や申込証拠金など名目を問わず、契約の成立前に支払った金銭は全額返還される
- 署名押印を終えた後は中途解約の扱いとなり、契約書の条項によって違約金が生じる場合がある
- キャンセルの履歴が個人信用情報機関に登録されることはなく、ローンやカードの審査には影響しない
- キャンセルを決めたら、申込先の不動産会社にメールや書面など記録に残る形で速やかに伝える
いまキャンセルを検討している方は、契約書に署名押印したかどうかを先に確認し、まだであればその事実とあわせて連絡しましょう。すでに署名押印を終えた方は、契約書の解約条項を読み、請求されている違約金の根拠を確かめることが先になります。
不動産取引の知識を体系的に身につけたい方は、伊藤塾の「宅建士合格講座」で、法律をゼロから学ぶ第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。