宅建士試験の借地借家法はこう攻略する・覚え方や得点源に変えるコツとは?

勉強法

宅建士試験では幅広い法律知識が求められますが、その中でも「借地借家法」は特に苦手意識を持つ受験者が多い分野です。条文の細かさや専門用語の多さに戸惑い、「覚えづらい」「出題数が少ないので後回しにしたい」といった声もよく聞きます。

とはいえ、借地借家法は出題傾向に一定のパターンがあり、要点を押さえて効率的に学習すれば、十分に得点源として活用できます。

条文を丸暗記するのではなく、制度趣旨や出題意図を意識しながら学習を進めることで、実践的な得点力が身につくのです。

本記事では、借地借家法の基本的な構造から、試験で頻出のテーマ、効果的な覚え方や対策法まで、初心者でも理解できるよう丁寧に解説します。

苦手意識を克服し、得点につなげるために、この記事を活用しながら対策を始めていきましょう。

1. 借地借家法とは?

宅建士試験で問われる法律の中でも、借地借家法は特に「身近な法律」でありながら、学習に戸惑う受験者が多い分野です。ここでは、借地借家法の目的や、宅建士試験での位置付けについて解説します。基礎をしっかり押さえておくことが、得点力向上の第一歩となります。

1-1. 借地借家法の目的と概要

借地借家法(しゃくちしゃっかほう)とは、土地や建物の賃貸借に関するルールを定めた法律で、特に「借主」を保護する目的で制定されています。平成4年に、それまで別々に存在していた借地法と借家法を一本化する形で誕生しました。

この法律が重視しているのは、不動産取引の場面で「弱い立場にある借主の保護」です。土地や建物を借りる側は、生活や事業の拠点をそこに置くため、貸主の都合で一方的に契約を終了されたり賃料を変更されたりすると、深刻な影響を受けます。そこで、借地借家法では「建物の引き渡しを受けていれば賃借権を主張できる」「貸主からの契約解除には正当な事由が必要」といった借主を守るルールが整備されています。

民法にも賃貸借の規定はありますが、借地借家法はその民法の規定を補完する“特別法”です。試験では「民法と借地借家法のどちらが優先されるか」について問われることがありますが、基本的には特別法である借地借家法が優先されます。

このように、「弱い立場である借主を保護する」という借地借家法の目的を理解したうえで学習を進めると、単なる暗記に頼らず、出題の意図まで読み取れるようになります。

1-2. 宅建士試験での出題数・配点比率

宅建士試験では、借地借家法に関する問題が例年2問出題されます。全50問中の2問(全体の4%)というと少なく感じるかもしれませんが、試験全体の出題範囲が非常に広いため、1問でも確実に得点できるかどうかが合否を分ける要因になります。

宅建士試験の得点配分は1問1点です。合格ラインは年度ごとに設定される合否判定基準で決まり、直近の2025年(令和7年)は33点(合格率18.7%)でした。年度により基準は上下するため、1点の重みは決して軽くありません。そのため、借地借家法を「出るけど難しいから後回しにする」と考えず、確実に対策しておくことが合格への近道となります。

出典:一般財団法人不動産適正取引推進機構「試験実施概況(令和7年度以前10年間)

2. 宅建士試験に出る借地借家法の出題範囲と頻出テーマ

借地借家法は、土地や建物の賃貸借契約をめぐるトラブルを防止し、借主(借地人・借家人)の居住や営業の安定を守るための法律です。宅建士試験では、この法律に基づく賃貸借の仕組みや契約更新・終了のルール、特約の可否などが出題されます。民法の原則とは異なる特別な保護が設けられている点が多いため、制度趣旨や適用場面をしっかり理解することが重要です。

2-1. 借地権について

借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利です。宅建士試験では「旧借地権」「定期借地権」などの種類に関する知識や、存続期間や更新の可否、借地権の対抗力や借地上の建物の転貸・譲渡に関する問題などが頻出です。

【借地権に関する頻出テーマ】

・借地権の種類による違い(普通借地権と定期借地権の違い)
・存続期間
・期間の更新(期間満了前に建物が滅失した場合)
・借家権の対抗力
・借地上の建物の転貸・譲渡


借地権の分野では、借地権ごとの存続期間の年数など、細かい数字の違いを問う出題も多く見られます。混乱を避けるために、種類ごとに表や図で整理し、民法と比較しながら学ぶことが得点力アップの鍵となります。

2-2. 借家権について

借家権とは、建物を借りて居住または事業に使用するための権利です。宅建士試験では、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いや契約の更新、賃料増減請求権や造作買取請求権などに関する問題が出題されます。

普通借家契約では、借主の保護を重視し、原則として正当事由がなければ貸主からの契約終了はできません。一方、定期借家契約は契約の更新がなく、契約期間満了で確実に終了します。定期借家契約の有効性には「書面による契約」や「事前の説明義務」などが条件として求められます。

【借家権に関する頻出テーマ】

・普通借家権と定期借家権の違い
・存続期間
・期間の更新
・借家権の対抗力
・賃料増減請求権
・造作買取請求権
・賃借人が死亡した場合
・借家の転貸と譲渡

借家権の理解においては、「貸主側からの解約は基本的に難しい」という点を軸に考えると全体像がつかみやすくなります。また、定期借家契約の扱いは毎年のように問われる重要テーマなので、細かなルールを正確に覚えることが得点アップにつながります。

借地権と借家権は似ている制度ですが、両者に共通するのは「借主保護」の原則です。違いを正しく理解し、過去問演習を重ねながら知識を確実に定着させましょう。

3. 借地借家法の効率的な覚え方と学習法のコツ

借地借家法の内容は一見複雑ですが、出題傾向に沿った学習を進めれば、効率よく得点力を身につけられます。とくに重要なのが「丸暗記ではなく、仕組みや制度趣旨を理解すること」「過去問を活用すること」です。ここでは、借地借家法の効率的な覚え方と学習法のコツを紹介します。

3-1. 紛らわしい用語を図解・表で整理する

借地借家法では、似たような用語が多く登場します。たとえば、「普通借地権」と「定期借地権」や、「普通借家契約」と「定期借家契約」など、名称がよく似ているため、混同しやすいのが特徴です。これらを一つひとつ文章で暗記しようとすると、かえって混乱を招いてしまいます。

そこで効果的なのが、図解や表を使って整理する方法です。たとえば、借地権の種類ごとに「契約方法」「存続期間」「法定更新」「買取請求権」「減額しない特約」などを一覧で比較すると、違いが視覚的に明確になり、記憶の定着にもつながります。

市販のテキスト等に記載されている図解や表を、そのまま使うのも良いでしょう。また、自分で表やフローチャートを作成すると、自然と要点を整理できるため、記憶の補強にも効果があります。

3-2. 条文ではなく「仕組み・流れ」で理解する

借地借家法を学ぶ際には、条文を一つずつ丸暗記するのではなく、制度の「全体像」と「流れ」を意識しながら学習することが大切です。

たとえば、「借地契約を結んだ後に建物を建て、契約期間が満了しても建物が残っていれば自動的に契約が更新される」といった実務上の流れを理解しておけば、問題文に少し変化が加えられていても柔軟に対応できます。つまり、単なる暗記ではなく、制度がどのような意図で設けられているかという「背景」を踏まえた理解が重要だと言えます。

また、各規制において「貸主と借主のどちらをどのように保護したいのか」という視点で考えると、条文の趣旨がつかみやすくなります。借主保護が原則ですが、規制の場面によっては、貸主保護の観点も必要になる場面があるでしょう。文章で学ぶだけでなく、図式化やストーリー形式で内容を整理するのも有効です。

3-3. 過去問で“ひねった出題”への対応力を養う

宅建士試験では、条文の暗記だけでは対応しづらい「ひねり」のある問題が出題される可能性があります。たとえば、「建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるとき」と問題文に記載されていた場合には、本文の内容にかかわらず「そもそも更地目的での賃貸借契約の場合には借地借家法の適用がない」ことに気づかなくてはいけません。

こうした問題への対応力を身につけるには、過去問の反復演習が欠かせません。1回解いて終わるのではなく、間違えた問題や曖昧だった選択肢については、なぜ間違えたのか、どの知識が不足していたのかを明確にしておくことが重要です。

また、最新年度の本試験問題にも目を通し、出題傾向の変化や新しいパターンにも対応できるようにしておきましょう。宅建士試験は毎年のように出題形式が微妙に変化するため、柔軟な思考力も求められます。

4. 借地借家法の出題例と正解するための思考過程

本試験における借地借家法の出題例と、本試験で正解を導くための思考過程について解説していきます。ここでは2025年(令和7年)10月に実施された宅建士試験の問題を見てみましょう。

【問題】

【問 11】 AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 甲土地にBが賃借権の登記をしなくても、Bの配偶者であるCを所有者として登記されている建物が甲土地上に存在する場合には、甲土地がAからDに売却されても、BはDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる。
2 本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約を有効に定めることができる。
3 本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。
4 本件契約が公正証書によって行われていれば、専らBの居住の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を20年と定めていても、Aは正当事由があれば、20年が経過した時点で遅滞なく異議を述べて更新を拒絶することができる。

引用:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験 試験問題」問11


【解説】

選択肢1:✕
借地権の対抗力は、借地上に借地権者自身の名義で登記した建物を所有することで第三者に主張できます(借地借家法第10条第1項)。判例では、配偶者など借地権者以外の名義で登記された建物には対抗力が認められません(最高裁昭和41年4月27日判決)。本肢はC(配偶者)名義の登記なので、BはDに賃借権を対抗できません。「対抗力には借地権者本人の建物登記が必要」と押さえれば判定できます。

選択肢2:✕
地代等の増減額請求権(借地借家法第11条)は、借地人と地主の双方を保護する規定です。地代を増額しない特約は認められますが(同条第1項ただし書)、減額請求権を封じる特約は借地人に不利なため、原則として無効です。本肢は「減額請求ができない旨の特約を有効に定められる」とする点が誤りです。

選択肢3:◯
存続期間50年以上で設定する一般定期借地権(借地借家法第22条)では、契約の更新をしない、建物の築造による存続期間の延長をしない、建物買取請求(第13条)をしない、という3点を特約で定められます。この特約は公正証書に限らず、書面(電磁的記録を含む)で有効に定められます。用途制限がないため事業用建物でも設定でき、本肢は正しい記述です。

選択肢4:✕
普通借地権の存続期間は最短30年で、これより短く定めても30年となります(借地借家法第3条)。存続期間20年の定めは無効で、20年経過時点での更新拒絶はできません。また、専ら居住用建物の所有を目的とする場合、居住用を除外する事業用定期借地権(第23条)は利用できません。本肢は誤りです。


【正解するためのポイント】

正解は肢3です。借地権には普通借地権・一般定期借地権(第22条)・事業用定期借地権(第23条)・建物譲渡特約付借地権(第24条)の4類型があり、存続期間や更新の有無、書面要件が異なります。令和7年度問11は、この類型ごとの要件を横断的に問う出題でした。肢3の一般定期借地権(50年以上・3特約・書面)を正確に押さえられれば、他の肢が曖昧でも正解を導けます。

5. 難しく感じる場合は受験指導校の講義を活用しよう

借地借家法の学習では、「普通借地権と定期借地権の違いが分からない」「更新のルールが複雑で混乱する」「条文の趣旨や背景が理解しづらい」といった悩みを持つ受験生が少なくありません。特に宅建試験では、条文知識だけではなく、事例問題に対応する理解力も求められます。そのため、独学だけで乗り切るには限界を感じることもあるでしょう。

そういった悩みを抱えているのであれば、受験指導校の講義を活用するのが効果的です。宅建士試験のプロである講師による解説では、「なぜそうなるのか」という理由まで踏み込んで説明してくれます。とくに借地借家法は、民法の基本的な知識と密接に関係しているため、制度趣旨から流れを押さえることで理解が進みやすくなります。

さらに、「試験に出やすい箇所」や「出題者が狙いやすいひっかけポイント」についても熟知しており、自分ひとりで過去問を解いているだけでは気付きにくい重要事項を指摘してくれます。学習のペース配分や、効率的な復習方法を含めて体系的に学べるのも大きな利点です。

なかでも、宅建士試験の対策に定評のある伊藤塾は、法律初学者にもわかりやすい講義を提供しています。具体例を用いたわかりやすい講義と豊富な演習で、理解を確実に深められるでしょう。

このままでは宅建士試験の短期合格は難しいと感じたら、一度伊藤塾の講座をチェックしてみることをお勧めします。

※伊藤塾の宅建の通信講座がおすすめな理由について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

6. 宅建士試験の借地借家法に関するよくある質問(FAQ)

借地借家法の問題は捨ててもいい?

得点源になり得る分野なので、捨ててしまうのはもったいないです。
借地借家法の出題数は例年2問程度と少ないため、「時間がないなら捨てる選択肢もあるのでは」と考える受験者もいます。しかし、出題傾向を見ると、パターンが比較的限られており、過去問を繰り返し学習すれば得点しやすい分野です。確実に2点を取れる科目として位置付けることで、他の難問へのプレッシャーも軽減されます。
また、借地借家法は宅建業法や民法とも関連があり、全体的な理解を深める上でも役立ちます。「得点源に変えられる」分野である以上、捨てるよりも基本を押さえておくほうが合格には近づけます。

借地借家法と民法との違いがよくわからない…

借地借家法は、民法の特別法として位置付けられています。
民法の基本的な契約ルールに加えて、借地・借家に関する特別な事情を踏まえて、借主(借りる側)をより強く保護する目的で定められています。
たとえば、民法上では契約自由の原則があり、当事者の合意が重視されますが、借地借家法では、借主の生活基盤を守るために、一方的に契約を打ち切れないような制限が設けられています。この点を押さえると、両者の違いが理解しやすくなります。

条文は全部覚えないとダメ?

条文をすべて丸暗記する必要はありません。むしろ大切なのは、各制度の「目的」と「仕組み」を理解することです。
借地権・借家権の種類による違いなどの頻出項目を中心に、条文の流れを押さえておけば十分です。そのうえで、繰り返し出題されている条文の文言や判例に関しては、過去問演習などを通じて自然に覚えていくのが現実的です。
学習量にメリハリをつけ、重要度の高い部分から着実に理解を深めていきましょう。

定期借地権と普通借地権の違いは?

定期借地権と普通借地権の最大の違いは、「更新の有無」と「契約終了後の取り扱い」です。
普通借地権では、期間満了後に契約更新が可能であり、借地人の保護が強く意識されています。一方、定期借地権は「更新しない」ことが原則で、契約期間満了によって確実に契約が終了します。
これらの違いを明確にするには、表や図で比較しながら覚えるのが効果的です。視覚的に整理することで、頭の中で情報がごちゃごちゃになりにくくなります。テキストや市販の参考書にある対比表を活用する方法も有効です。

7. 宅建士試験は借地借家法を得点源に!

最後に、本記事の内容をまとめます。

・宅建士試験における借地借家法は、出題数こそ少ないものの、得点源にしやすい重要な分野。
・出題傾向は比較的安定しており、よく出る論点を効率よく学べば、確実に2点を積み上げることが可能。
・民法との違いを理解し、制度の仕組みをつかむことで、条文の丸暗記に頼らずとも問題に対応できるようになる。
・「定期借地権と普通借地権の違い」など混乱しやすいテーマも、図解や表を活用することで記憶に定着させやすくなる。
・過去問演習を通じて出題パターンに慣れておくことで、本試験での得点率も安定する。

以上です。

もし独学での勉強に不安を感じる場合には、受験指導校の講義を活用するのが得策です。特に伊藤塾の【宅建士 合格講座】は、初学者にもわかりやすく、借地借家法を含む各科目の重要ポイントを的確に解説しています。プロの講義で全体像をつかむことができれば、本番での得点力を効率良く上げることができます。

借地借家法は、正しい方法で学べば必ず得点につながる分野です。焦らず着実に、合格に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。 

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伊藤塾 宅建士試験科

著者:伊藤塾 宅建士試験科

宅地建物取引士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。毎年20万人以上が受験する宅建士試験について、民法改正の実務的影響・科目別の攻略法・効率的な学習スケジュールまで、法律指導のプロが正確にお届けします。